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鍵屋 2020.06.06 「鍵」(299字)
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一流だと聞いてやってきた鍵屋の主は想像以上に若かった。
凝視していた私に対し、「すみません、若輩者で」と一礼した。
「ご依頼というのは――そこのお嬢さんですね」
鍵屋は私が連れてきた娘に微笑みかけた。表情を変えず虚空を見つめるだけの娘。
「具合を見てみましょう」
彼の瞳が怪しく光った。私には見えない娘の心、固く閉ざされたそれをこじ開ける可能性《カギアナ》を探しているのだそうだ。
「なるほど。これなら鍵も作れます」
「本当ですか!」
「ええ。ですが、その後はお父様次第です。心を閉ざしているというには何かしらの原因があるものです。開錠出来たとしてもその後再び心が施錠されてしまうこともある」
鍵屋は悲しげに笑った。
凝視していた私に対し、「すみません、若輩者で」と一礼した。
「ご依頼というのは――そこのお嬢さんですね」
鍵屋は私が連れてきた娘に微笑みかけた。表情を変えず虚空を見つめるだけの娘。
「具合を見てみましょう」
彼の瞳が怪しく光った。私には見えない娘の心、固く閉ざされたそれをこじ開ける可能性《カギアナ》を探しているのだそうだ。
「なるほど。これなら鍵も作れます」
「本当ですか!」
「ええ。ですが、その後はお父様次第です。心を閉ざしているというには何かしらの原因があるものです。開錠出来たとしてもその後再び心が施錠されてしまうこともある」
鍵屋は悲しげに笑った。
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