140字BL缶詰

阿沙🌷

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2019

7月②いつまでも/思い出/水/虫刺され/一キロの氷

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いつまでも 2019.07.23(火) 
お別れの後で思い出すのはいつも君の横顔だった。
道ですれ違う君の隣に長い髪が揺れている。
足音軽く遠ざかるそれが幸せと
一筋の悲しさで胸を一杯にさせる。
青臭い時代の若気の至り、
それが君にとっての僕なのだとしても、
僕にとっても君はいつまでも朝露輝く憧れの花。

思い出  2019.07.24(水) 
「兄貴、そっちの角、持って」
「了解」
初めての帰省。
春のうちに間に合わなくて、
夏季休暇は僕の高校まで使っていた部屋の片付けだ。
 「あっ」
家具を動かすと、
隙間から何かがこぼれ落ちてきた。
拾い上げてみて思わず笑みが溢れる。
――兄ちゃん大好き――
幼少の頃弟から貰った手紙だった。


水 2019.07.26(金) 
飛沫が太陽光を反射する。
新緑の香り、汗の匂い、
全て青空に吸収されていくように夏が色付く。
彼の濡れた白いシャツは肌色を透かしていた。
「うわ、中までグジョグジョ!」
子供の甲高い声に混じって彼が俺に叫んだ。
滴る水がなんとやら。
子供好きはいいのだが、
目のやり場に困るのは俺だ。

虫刺され  2019.07.27(土) 
「掻くのが悪い」
俺は強引に彼の手首を掴むと腕を伸ばさせる。
ツーンとくる匂いと共に彼が顔をしかめた。
「他に刺されたところは?」
「ないと思う」
嘘かどうか確かめようとTシャツをめくる。
「アホ、変態!」
確かにいろんな意味で美味しそうだが、
蚊よ、あまり食らってくれるなよ。 

一キロの氷 2019.07.28(日)
スーパーで袋詰一キロの氷を買ってきてしまった。
買い物中に売り場の氷袋を見て、
彼の言動を思い出したのだ。
「夏って言ったらかき氷だろ!」と、
大人げなくはしゃいでいた彼。
帰ってきたらどう反応するのだろう。
考えているだけで楽しいのは彼のせいか、
夏の風物詩のせいなのか。
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