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2020
354.境目
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吸い込んだ土煙にむせあ。今日も昨日と何一つ変わりはしない。屍の跡とすり減っていく仲間。砲火の音は絶えず鼓膜を揺さぶり鉄は血と肉を切り裂いて魂にまで及んでいる。明日をも知れないのに塹壕の下で彼は空を眺めていた。「死ぬ前に好きって言ってみたら?」おどけた口調で俺を口説きながら。(了)2020.12.07
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