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5巻 新生活の幕開け (2部ここから)
魔力と聖力
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部屋でリンと今後の事を相談していたら、蒼が「風呂出たぞ、兄ちゃん達も入れよ」と声をかけてきた。
え?
扉も開けてないのに。
遮音魔法がかかってるはずなのに、外からの音が聞こえるってどういう事?
思わず扉を開けて廊下に顔を出すと、自室の扉を開けかけていた蒼が振り返る。
「今、蒼の声聞こえたんだけど……」
「ああ、すげーだろ。セリクの新しい遮音魔法な、二重になってて内から外には音漏れねーのに外の音は聞こえるんだぜ?」
蒼が、まるで自分のことみたいに自慢げに答える。
「……何それすごい……」
俺は素直に感心した。
蒼に手首を掴まれているセリクが「えへへ」と小さく照れ笑いを浮かべる。
今までの遮音魔法だと、魔法がかかっている部屋は、扉を少し開けておかないと外の音は全然聞こえなくなっていたのに。
これなら、外から親に呼ばれてるのに気づかなくていきなり部屋に乗り込まれるとか、そういう事故も防げそうだ。
二重って事は、内側に遮音魔法を張って、その外側に……。
「んじゃ、おやすみ兄ちゃん」
俺が考えている間に、蒼はそれだけ告げると、俺におやすみを伝えようとしていた様子のセリクの腕を引っ張りこむようにして部屋に消えた。
その性急な様子に、やっぱり蒼はセリクとコトに至る気満々なんだなぁと痛感する。
俺はため息を一つ飲み込んでから、リンをお風呂場に案内した。
使い方を一通り説明して「困ったことがあればこのボタンを押してね」と呼び出しボタンを教える。
リンは俺より先に入る事に対してめちゃくちゃ遠慮していたけど、俺が後から入って後片付けをした方が安心なので強引に先に入ってもらった。
教会には無かったけど、リンの家にはタンク式のシャワーがあったから、シャワーはそこまで珍しくないんだろうけどね。
ぐねぐね動かせるシャワーホースには何やら感動してた。
お風呂は初めてだって言ってたから、多分フロウリアには湯船に浸かる習慣がないんだろうなぁ。
あんまり急に慣れない事ばっかりさせるのもストレスだろうし、今日はシャワーだけで済ませたらいいよと説明してきたから、そう時間はかからないだろう。
リビングでテレビを見ている母さんの所へ顔を出すと、母さんは何やらニヤリと笑って言った。
「圭斗はディアリンドさんと一緒に入らなかったの?」
「ええっ!?」
「蒼は2人で仲良く入ったみたいよ?」
「えええ……」
俺が頭を抱えると、母さんはクスクス楽しそうに笑っている。
「……母さんは……いいの……?」
「んー……そうねぇ……。洗濯物を増やさないでくれれば文句はない、かな」
「なるほど……」
「だって生まれ育った世界を捨ててまで、あんた達を選んでくれた人達なんでしょ? 本気かどうかなんて、聞くまでもないじゃない」
「う、それは……、うん……、そうだね……」
答えながら、俺は赤くなってきた自分の顔を両手で覆う。
母さん的には、行為自体は互いに望んでるならOKって事なのか……。
洗濯物については浄化を使えば大丈夫だろうな。と考えてから、そういえばまだこちらで聖力が使えるのかどうか試していなかったなと思い出す。
俺は試しに自分の手を浄化してみる。
キラキラと輝く白い光はいつもよりずっと見えづらかったけど、それでも俺の手は確かに浄化されたようだった。
「圭斗……? 今なんか、手が光らなかった?」
「うん、魔法使った」
「………………は?」
「浄化ってやつ。多分蒼も使えるよ」
「えええ?」
ケイト様、と声をかけられて、開けたままのリビングの扉からリンがのぞいている事に気づく。
「俺もお風呂もらってくるね。母さん、俺が出るまでリンの事頼んでいい?」
母の了承を得て、俺は風呂場に向かう。
リンは全ての道具を元通りの位置に戻していて、泡を残すようなこともなく、風呂場は綺麗に使われていた。
リンは貴族出身ではあるけど、騎士として巡礼に参加する時点で自分の事は自分で一通りできるんだよね。
俺が心配する必要はなかったみたいだ。
風呂から出て寝る支度を済ませてからリビングに戻ると、テレビは消えていて、ソファ前のローテーブルにはノートが広げられていた。
「おかえりなさいませ、ケイト様」
俺の気配に振り返ったリンが柔らかく微笑む。
「ただいま、リン」
こんなささやかなやりとりが、なんだか嬉しい。
「お風呂の蓋閉めた?」
「閉めてない。母さん次入らないの?」
「入るつもりだったんだけど……これが楽しくて……」
リンはテーブルに向き直って、ノートに何やら書いてゆく。
母はそれを覗き込んでいるようだ。
何してるんだろ。
リンの後ろから肩越しに覗き込むと、それは魔法の基礎構造図のようだった。
「それ理解しても、母さんは魔法は使えないと思うよ?」
「ええ? そうなの?」
「うん、俺達には魔力ってのがないからさ」
「魔力……」
母さんは何やら難しい顔をして自分の手を握ったり開いたりしている。
「じゃあ圭斗がさっき使ってたのは?」
「あれは魔力じゃなくて聖力ってのを使うんだよ」
「精力……?」
「多分違う」
母さんが首を傾げる。
俺は図を書き終えてペンを下ろそうとしていたリンからペンを受け取ると、ノートの端に『聖力』と書いた。
「魔力とは相反する感じの力……?」
「別に反さないと思うけど……。とにかく、母さんもお風呂入って寝た方がいいよ。明日も仕事でしょ?」
魔法のことはまた今度教えてあげるからさ。と言うと、母も渋々ながら立ち上がる。
今日は俺達の話聞いてもらうのに時間取らせちゃったから、もう時刻は23時を回っている。
俺はリンに寝支度を済ませてもらうと、家の中をざっと案内してから部屋に戻った。
え?
扉も開けてないのに。
遮音魔法がかかってるはずなのに、外からの音が聞こえるってどういう事?
思わず扉を開けて廊下に顔を出すと、自室の扉を開けかけていた蒼が振り返る。
「今、蒼の声聞こえたんだけど……」
「ああ、すげーだろ。セリクの新しい遮音魔法な、二重になってて内から外には音漏れねーのに外の音は聞こえるんだぜ?」
蒼が、まるで自分のことみたいに自慢げに答える。
「……何それすごい……」
俺は素直に感心した。
蒼に手首を掴まれているセリクが「えへへ」と小さく照れ笑いを浮かべる。
今までの遮音魔法だと、魔法がかかっている部屋は、扉を少し開けておかないと外の音は全然聞こえなくなっていたのに。
これなら、外から親に呼ばれてるのに気づかなくていきなり部屋に乗り込まれるとか、そういう事故も防げそうだ。
二重って事は、内側に遮音魔法を張って、その外側に……。
「んじゃ、おやすみ兄ちゃん」
俺が考えている間に、蒼はそれだけ告げると、俺におやすみを伝えようとしていた様子のセリクの腕を引っ張りこむようにして部屋に消えた。
その性急な様子に、やっぱり蒼はセリクとコトに至る気満々なんだなぁと痛感する。
俺はため息を一つ飲み込んでから、リンをお風呂場に案内した。
使い方を一通り説明して「困ったことがあればこのボタンを押してね」と呼び出しボタンを教える。
リンは俺より先に入る事に対してめちゃくちゃ遠慮していたけど、俺が後から入って後片付けをした方が安心なので強引に先に入ってもらった。
教会には無かったけど、リンの家にはタンク式のシャワーがあったから、シャワーはそこまで珍しくないんだろうけどね。
ぐねぐね動かせるシャワーホースには何やら感動してた。
お風呂は初めてだって言ってたから、多分フロウリアには湯船に浸かる習慣がないんだろうなぁ。
あんまり急に慣れない事ばっかりさせるのもストレスだろうし、今日はシャワーだけで済ませたらいいよと説明してきたから、そう時間はかからないだろう。
リビングでテレビを見ている母さんの所へ顔を出すと、母さんは何やらニヤリと笑って言った。
「圭斗はディアリンドさんと一緒に入らなかったの?」
「ええっ!?」
「蒼は2人で仲良く入ったみたいよ?」
「えええ……」
俺が頭を抱えると、母さんはクスクス楽しそうに笑っている。
「……母さんは……いいの……?」
「んー……そうねぇ……。洗濯物を増やさないでくれれば文句はない、かな」
「なるほど……」
「だって生まれ育った世界を捨ててまで、あんた達を選んでくれた人達なんでしょ? 本気かどうかなんて、聞くまでもないじゃない」
「う、それは……、うん……、そうだね……」
答えながら、俺は赤くなってきた自分の顔を両手で覆う。
母さん的には、行為自体は互いに望んでるならOKって事なのか……。
洗濯物については浄化を使えば大丈夫だろうな。と考えてから、そういえばまだこちらで聖力が使えるのかどうか試していなかったなと思い出す。
俺は試しに自分の手を浄化してみる。
キラキラと輝く白い光はいつもよりずっと見えづらかったけど、それでも俺の手は確かに浄化されたようだった。
「圭斗……? 今なんか、手が光らなかった?」
「うん、魔法使った」
「………………は?」
「浄化ってやつ。多分蒼も使えるよ」
「えええ?」
ケイト様、と声をかけられて、開けたままのリビングの扉からリンがのぞいている事に気づく。
「俺もお風呂もらってくるね。母さん、俺が出るまでリンの事頼んでいい?」
母の了承を得て、俺は風呂場に向かう。
リンは全ての道具を元通りの位置に戻していて、泡を残すようなこともなく、風呂場は綺麗に使われていた。
リンは貴族出身ではあるけど、騎士として巡礼に参加する時点で自分の事は自分で一通りできるんだよね。
俺が心配する必要はなかったみたいだ。
風呂から出て寝る支度を済ませてからリビングに戻ると、テレビは消えていて、ソファ前のローテーブルにはノートが広げられていた。
「おかえりなさいませ、ケイト様」
俺の気配に振り返ったリンが柔らかく微笑む。
「ただいま、リン」
こんなささやかなやりとりが、なんだか嬉しい。
「お風呂の蓋閉めた?」
「閉めてない。母さん次入らないの?」
「入るつもりだったんだけど……これが楽しくて……」
リンはテーブルに向き直って、ノートに何やら書いてゆく。
母はそれを覗き込んでいるようだ。
何してるんだろ。
リンの後ろから肩越しに覗き込むと、それは魔法の基礎構造図のようだった。
「それ理解しても、母さんは魔法は使えないと思うよ?」
「ええ? そうなの?」
「うん、俺達には魔力ってのがないからさ」
「魔力……」
母さんは何やら難しい顔をして自分の手を握ったり開いたりしている。
「じゃあ圭斗がさっき使ってたのは?」
「あれは魔力じゃなくて聖力ってのを使うんだよ」
「精力……?」
「多分違う」
母さんが首を傾げる。
俺は図を書き終えてペンを下ろそうとしていたリンからペンを受け取ると、ノートの端に『聖力』と書いた。
「魔力とは相反する感じの力……?」
「別に反さないと思うけど……。とにかく、母さんもお風呂入って寝た方がいいよ。明日も仕事でしょ?」
魔法のことはまた今度教えてあげるからさ。と言うと、母も渋々ながら立ち上がる。
今日は俺達の話聞いてもらうのに時間取らせちゃったから、もう時刻は23時を回っている。
俺はリンに寝支度を済ませてもらうと、家の中をざっと案内してから部屋に戻った。
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