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優しい大きな人達に、子供扱いされる私は中年女
だから、どうしてそうなった?
しおりを挟む「あのう、それで、ルーシェさんがお帰りになるのはいつでしょう?」
なるべく真剣な表情になるように(それでも情けない顔になってるだろうけど)努めて、ルーテシアさんの目をみつめる。
「……っ」
なんかわからんけど、ルーテーシャさんは頰を薔薇色に染めて目を反らし、息を詰める。
……そんなに見苦しかったかしら。まあ、真正面から見続けるのに耐えられる造りではないけれど、そんなにブッサイクでもない特徴もない普通だと思ってたけど、キラキラしい人達からすると、見るに耐えないものだったのかも。すみませんね、お見苦しいものを見せて。
ルーテーシャさんは両手で顔を覆うと、ベッドサイドから離れ、部屋を出て行った。
そんなに……?
入れ替わりにベッドに近寄り端っこに腰をおろしたお母様が、なんでかしらんけど、私の頭を豊かなお胸に抱き締めてくれる。はて? なんでそうなるねん?
よう解らんけど、私の要求は通じてなくて何か可哀想な子に思われてるのだろうか……
ルーシェさんが本当はお帰りになってて、理由があって会わせてもらえないのか、お仕事が大変で、しばらく帰れないのか、判断しかねるが、取り敢えずまだまだ会えなさそうなのは解った。と、思う。
現代のブラジャーや補整下着をつけずともナイスバディなお母様。寄せ上げコルセットも使ってないみたい。どっこもかしこも柔らかい♡
男性がされたら大喜びだね。
ぽよぽよの柔らか~いお胸をしばらく堪能してたけど、熟女?のお胸で窒息死とゆうのも、中年女性の死因としてはどうなのかと思うので、少しずつ脱出を試みて、なんとか生還する。
「ヴァニラ、クィルフ……(以下略)」
ここの人達は、魔法使いなんだから(正確には違うらしいけど)誰か、翻訳ソフト的な魔法を編み出してくれないかしらん。まぁ、どちらの言葉もネイティブでないと無理かな? それか、意思思考を読み取り、イメージを伝達する魔法とか、こう、ラノベにありがちな便利魔法ないのかな。
お母様がなんと言って慰めてくれたのかは解らなかったけど、改めて頰を撫でてくれてから、食事のお片付けしたワゴンとメイド達と共にお部屋を出て行かれた。
考えすぎて、ジワジワ泣き続け過ぎてあがった微熱も少しずつ下がって来たみたいだし、絵本を見て、正しいのかわからない自主勉強を始める。
……このまま、寝落ちしてしまったらしい。
バターンと、公爵邸では聴いた事のなかった騒音に目が覚める。
また、あちらでの仕事中と学生時代のみんなとのやりとりが同時に混在した、職場なのにクラスメイトが一緒に休憩室で喋ってるみたいな夢を見てた。なぜか、弟や母も居たり。夢の中では不思議に思ったりしないで、普通に相手してるんだよね。
目に溜まった涙を拭い、擦っていると、急に目の前が真っ暗になる。
それだけじゃなく、息苦しい。布団蒸しにされてる感じ? ただし、おふとんほど柔らかくない。
微妙な弾力はあるけど、基本硬め。そう、ちょうどお父さんとか、男性に締められたらこんな感じ?
「ヴァニラ、クルウェルティナリア、ウィッティンスゥェリアノフクリヒ、(以下略)」
ビックリしたが、3日ぶりの公爵様であった。
きゅうきゅうに締められてたのを緩めてもらって(背中や肩をタップしたらロープ(降参)なのは同じなのか、必死さが伝わったのか、放してもらえた)息をはくはくと吸い込む。
「ヴァニラ、〓〓〓〓〓(訳せないデス)」
柔らかくて上質の絹のようにするするのクラヴァットで私の目元を拭ってくれる。
「わああ綺麗な布が!? 染みになっちゃうよ?」
ベッドの淵に座って抱き込まれてたのを放して目元を拭ってくれた後は、ベッドサイドに膝立ちになって、目線を合わせてくる。
さすが公爵様は、真正面から見合うのに耐えうる顔面ですね……
寝てて熱が籠もった頰を大きな手のひらで包み込み、めっちゃ目を合わせてくる。
……ううう、反らしたい! ダメかな。
公爵様──ルーシェさんの肩越しに、扉の横で両手を組み、心配げに様子を覗うルーティーシャさんと、微笑ましい光景を見守る慈愛の女神様みたいな表情でこちらを観察してるお母様が見える。
いや、見てないで止めてよ。お母様のお胸で窒息死もアレだけど、ルーシェさんに絞め殺されるのもどうなのよ?
どうやら、私が愚図った幼児のようにさめざめしてたのや、やる気なくてだらーっとしてたのは、ルーシェさん恋しさに泣き濡れていたのと勘違いされたらしい。わざわざ、お仕事中のルーシェさんを呼び戻してくれたのか。
また、迷惑をかけてしまった……
でも、泣き暮らす(笑)私のために跳んで帰ってきてくれたのかと思うと、ちょっと嬉し恥ずかしいかも。
そう思ってみると、頰に熱が集まるのを感じ、俯く(キモい表情を見られたくないのだ)しかないのだが、恥ずかしがってると思ったのか(間違いでもないか)微笑みながら、頭を撫でて、顎クイで上向けさせられる。
美男子がやると、嫌味なく様になってますね。
でも、恥ずかしいからやめてくれないかな。
ルーシェさんは、困ったように微笑みながら、両脇の下に手を刺し、サッと抱き上げて、膝に載せてベッドに座り直した。
いや、だから、どうしてそうなった?
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