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🐾消えたアイツらを探して🐾

🐾7 新しい依頼

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『求む、敏腕狩人ニムロド

 協会ギルドの求人掲示板に貼られた一通の依頼書。

 パーティの足りない戦力の求人であったり、特殊なクエストに必要な技能スキルを持った探索者ハンターをスポット参加で探していたり。

 別に、そう珍しいものでもない。

 でも、目に留めた理由。

『セネカ村の草原に出るソウルイーターの討伐』

 トゥグリが居たという村。
 過去に鳥人が居た記録がないとの事だったけど、ロスクラリスの話だと、トゥグリはみんなの前で半人の姿に変わったという。

 鳥人は住んでいなくても、何か手掛かりはあるかもしれない。


「まあ、ウルトルさんなら大丈夫かしら?」
僕なら • • • ?」

 協会ギルド受付嬢のアマリアは小首を傾げて考え込む。

「隣の国の依頼なのに、どうしてこんな小さな街に来ると思う?」
「国内に対応できる探索者ハンターが居なかった、或いは断られた。で、順に近隣国の協会ギルドにもまわってきた⋯⋯?」

「そうよ。クエストレベルが討伐3。ある程度こなれた探索者ハンターか、狩りの得意なパーティなら達成できると思うわ」

 なら、なぜ誰も引き受けないのか?

 ソウルイーターは精気や魔力を吸い取る幽体や生き物の総称で、斃し方を知っていれば、そう難しい討伐でもない。

「まず、報酬額が見合わないのね。面倒くさい相手を斃したのに、報酬が金貨二枚と、現地での食費や寝る場所の保証」

 態々わざわざ隣の国の草原の中に点在する集落の一つまで出向いて、対応能力や魔武具を持っていれば比較的楽に斃せるけど、相性の悪い技能スキルしか持っていなかったり、魔武具を身につけていなければ、逆に喰われるような相手なのだ。

 そこまでして金貨二枚なら、近場で中級の魔物を数体狩って素材を売った方が実入りは良い。

「ただね、この村で出せる額がここまでって事なのかも。可哀想だから依頼書の掲示だけは引き受けたのよ」

「いいですよ。僕、一度はセネカ村に行ってみたかったんです。旅行がてら行ってきますよ」

 金貨二枚なら、往復の交通費、出入国の際の税を出しても多少は残るはず。
 それに、ラルクの店の二階の部屋に座標を固定しておけば、帰りは転移魔法を使うと言う手もある。

「そう? ウルトルさんなら、魔力も高いし、強い精霊と契約してるから、大丈夫だと思うわ」

 協会ギルドでも、ロスクラリスはダンジョンの中で出会い、助けてもらった際に契約状態になってしまった光の精霊ということになっている。

〔任せて!! ソウルイーター程度なら、ボクの〘洗浄一閃クリーンアップ〙で一掃さ〕
「頼もしいわね」

 隣国の草原にあるセネカ村へ行くための入国許可証を依頼書の写しと共に受けとる。

 セネカ村で、何かトゥグリの手掛かりが掴めたらいいんだけど。




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