死神と恐れられた俺、転生したら平和な時代だったので自由気ままな人生を享受する

オカさん

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魔導大会一日目

102話 多くの謎

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 百キロ走ハンドレッド・ラン終了後、俺たちはマリアの病室を訪ねた。
 幸いなことに意識も戻って容体ようだいも安定しており、笑顔で俺たちを迎えてくれた。

「竜種と一緒に巻き込まれてしまった時はどうなるのかと心配しましたが、本当に無事でよかったです」

「いえ、トールズ先輩に最終確認を取らなかった俺の責任です。本当に申し訳ありませんでした」

「アルム君が謝ることは何もありません! 私の軽率な行動が招いた結果なんですから!」

 そう言ってマリアは頭を下げて謝罪する。

「お聞きしたいのですが、どうしてあのような行動を?」

「……信じられないと思うんですけど――――」

 彼女らしくない行動にカルティアは尋ねると、マリアは前置きをおいて先の奇行を説明した。

「竜種の声が聞こえた、ですか……」

「そんな事があり得るんですかね?」

 カルティアやテイバンがその現象について考える中、ラビスが静かに手を挙げた。

「マリアさんが召喚しょうかん魔法を使えるから竜種の声が理解できた、という可能性は無いんですか?」

 魔物と友好的な関係を築く彼女だから聞こえた、そう仮説を立てる彼女だがマリア本人が首を横に振る。

「私たち召喚者は召喚獣に対して一方的な指示や命令しか出せないんです。ですから大熊グリちゃん、いえ私の召喚獣の声を聞いたことは一度もありません」

「お兄さんから召喚獣の声が聞こえると言ってたりは?」

「聞きませんね、そもそも召喚魔法は魔物との会話を前提に作られてはいないので……」

 ラビスの仮説、そしてスベンの質問に答えると彼女は寂しそうな表情を浮かべる。
 召喚魔法は召喚者の魔力を供給する代わりに魔物を使役しえきする魔法だ。
 もし召喚者に反旗はんきひるがえそうとすれば、構築式の特性が働いて召喚獣に相応の制裁せいさいが下される。そのため彼女のように召喚獣を対等に接する者はそう居ない。

「……そう言えば、百キロ走ハンドレッド・ランで学園総合順位はどうなりましたか?」

「二位から五位まで我が校が独占し、初日は暫定ざんてい一位です」

 話題を変えようとマリアが質問するとカルティアが誇らしそうに答える。

「マリアちゃんの作戦、そしてアルム君やラビスちゃんが頑張ってくれたお陰だね」

「何言っているんですか! スベン先輩の氷結魔法が無ければ集団を抜け出すことは難しかったですよ」

「トールズさんも倒せなかったはずです!」

 スベンの功績をたたえるとラビスも大きく頷く。

「それを言うならアルム君があの場で他校の選手を足止めしてくれなかったら、山岳地帯まで行くのは難しかったさ。それにラビスちゃんが決死の攻撃で注意を引いてくれたから僕の魔法が刺さったんだよ」

「ふふ、ずいぶん仲がよろしいですね」

「誰が欠けてもこの結果は得られなかった、って事でいいだろ?」

 謙遜けんそんしあう光景にカルティアとライザは軽く笑った。 

「今日中に退院は難しいのですか?」

「出来なくはないのですが……」

 ミリエラの問いに答えるとマリアはこちらに視線を向ける。

「外傷が見当たらないとはいえ心配ですから、他の検査も受けて頂きたく……」

「確かに検査しておくに越したことはない。魔力も相当消耗しただろうから、ゆっくり療養りょうようしたほうがいい」

「明日の試合を会場で見れないのは残念ですが、アルム君を心配させないためにも仕方ありませんね」

 テイバンも賛同してくれたおかげで彼女の説得に成功した。

「ありがとうございます」

 彼女が承諾したことで額に刻まれていた紋様もんようは胸の内に留めることに決める。
 彼女自身がその存在を認知しているのか分からず、紋様がどういったものなのか確証がない以上は下手なことは言わないほうが良いだろう。
 その上でこれからの検査で判明した際は内密に伝えよう。

「……何ですか、ミリエラ先輩?」

「いえ、何でもありません……」

 無表情で俺を見つめる彼女が気に掛かって尋ねるが、気にしないでとあしらわれた。

「あまり長居しても悪いですし、そろそろおいとましましょう」

 カルティアに促され、俺たちは別れの挨拶を述べて退室して行く。

「マリアさん、元気そうでよかったね」

「ああ、とりあえず一安心――――げェ⁉」

 廊下を歩いていると反対側からレイゼンと出くわしてしまう。

「これはレイゼン理事長、こちらにはどういったご用件で?」

「あなた方と同じくマリアさんのお見舞いですよ」

 そう言ってレイゼンは果物が入れられたバケットを見せつける。

百キロ走ハンドレッド・ランの活躍、じつにお見事でした。明日の活躍も期待しています」

「「ッ……!」」

 今日の活躍を軽い一言で済ませてしまう彼だが、ラビスとスベンはその言葉に感激している様子だった。

「貴方もお疲れさまでした」

「チィ――――」
「夕食後、私の部屋に来てください」

 すれ違いざまに俺の肩に触れるレイゼン、払い除けようとするが耳元でそうささかれる。

「……なんだ?」

 咄嗟とっさに振り返ってしまうが、問いただせる状況ではないため諦めてその場を後にした。
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