死神と恐れられた俺、転生したら平和な時代だったので自由気ままな人生を享受する

オカさん

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魔導大会二日目

106話 開幕と笑顔

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 競技説明後、初戦のアルムたち選手と監督者を除いた全員が中央のフィールドから離れさせた。

「まさか奴が魔撃墜ホープ・シューティングに出場するなんて……」

「全くアルムも面倒な奴に目をつけられたな」

 明後日あさって一対一ワオン・デュエルまでやる事の無いテイバンとライザは会場の観客席で試合を見守っていた。

「お隣、失礼します」

「ミリエラか、会長たちはどうした?」

「会長は下で他校の選手たちに囲まれています。『あのベレスが興味を持つ彼は何者だ』、と」

「ったく、そんな事を会長が答えられる訳ないだろう!」

「だったら助けに行ったらどうですか、テイバン副会長殿」

 彼が悪態あくたいを吐くとセロブロが後ろの席から呟いた。

「……会長も望んだ状況では無いだろうが、俺が首を突っ込むほどの問題でもない。会長であれば上手く対応出来るはずだ」

「そうですか……」

「「「…………」」」

 いつもの調子で揶揄からかおうと思っていたセロブロだが冷静にかわされ、一同がホッと息を吐く。
 
「そっちこそベレスに会いに行ったらどうだ? あんなボコボコにされたのに眼中にすら無かったようだが」

「あァ?」

「「「はぁ……」」」

 大人な対応から一転し、一同はため息を漏らす。 

「ボコボコなんて、あんなのはかすり傷ですよ」

「自分の魔法で自爆して、首を絞めつけられてよく言うな」

「……知らねェなぁ」

 気を失って自分の知らない事を言いふららされ、明らかに不機嫌な様子を見せる。

「まあ実力が劣っている相手を覚える必要は無いから仕方ありませんよ。しかしテイバン殿と一緒にしないでもらいたい」

「……? 一緒ってどういう事だ?」

「いえ、ボコボコにされて覚えて貰えるなんて貴方くらいだという事です」

 セロブロの発言でその場の空気がで凍り付く。

「セロブロ、そういう話はそとでしような」

「僕は明日まで大会があるので、そのあとで良ければ是非ぜひお願いしたい」

 下の席では冷気が、上の席では熱気が観客席にただよった。

「……公爵家がなにを喧嘩しているんだ」

「相変わらず犬猿けんえんの仲ですね」

 ライザは頭を抱え、ミリエラは見慣れた光景に呆れた。 

(マインたち、何時ごろ着くんだろ……)

 険悪な雰囲気の観客席を横目にアルムは試合と関係ない事を考えていた。

「アルム=ライタード。貴様、二種目出場とか舐めてんのか?」

「ははっ、舐めてなんかいませんよ……」

「学園もよく許可を出したな、たまたま好成績を収めて調子に乗ったのだろう」

 対戦前に事を荒立てたくなかったアルムだが、彼の発言に眉をピクッと動かす。

「容易に勝ち上がれると見込まれれば、許可だっております」

「何だと……!」

 挑発的な物言いに対戦選手の彼も怒りを露わにした。

「そして先生方の目に狂いは無かったみたいだ。お前みたいな奴しか居ないなら竜種が乱入しても一位を獲るなんて朝飯前だぜ」

「てめェ! ベレスに気に入れられたからって図に乗んなよ!」

「双方、競技が始まります。所定の位置に移動してください」

 静観していた監督者もこれ以上の言い争いは見過ごせないと判断したようだ。

「……消耗した状態で俺に勝てると思うなよ!」

「お互いにベスト尽くしましょうね!」

 相手選手は最後まで罵倒ばとうの言葉を言い続けたが、アルムは監督者に目を付けられることを恐れて軽く受け流す。

『これから魔導大会二日目、魔撃墜ホープ・シューティングが始まります!』

『第三回戦まで続くトーナメント方式では、土魔法を行使する監督者たちが開始と同時に的を出現させ、その的の撃破数によって勝敗を決めてきました。しかし今年度からは撃破数だけでなく、その精度や威力なども採点基準に加えられ、それぞれの選手の強みを活かせるようなルールに変更されました』

『この変更が吉と出るか凶と出るか、まもなく第一試合スタートです!』

「ようやく始まるぜェ!」
「ベレスの参入にエンドリアスの新入生……今年の魔導大会は波乱続きだ!」

 競技の始まり、そして竜種討伐という快挙かいきょを成し遂げたアルムへの期待に会場全体が包まれた。

「……何だが遠くへ行ってしまったみたいだ」

「……? アルムの事ですか?」

 テイバンたちとともに観客席で見守ていたスベンは寂しそうに呟く。

「勿論、彼が特別な人間だというのは理解していた……けど、周りの反応を見ていると一緒に走っていたのが夢だった、そんな風に思ってしまってね」

「…………」

「ごめん、急に何言ってんだろ、ぼく……」 
  
「……いえ、私もアルムもそばに居ても良いのかと考える時があるので、お気持ちは分かります」

「何言ってんの、ラビスちゃんがそばに居て悪いわけが無い――――!」

 即座に否定するスベンだが、先ほどの自信の発言と同じであることに気付いたようだった。

「――――でもっ! 考える時はあっても、絶対に離れませんけどね!」

「お互い、準備は良いですね?」

 選手たちのあいだに入って尋ねる監督者、アルムは人差し指を突き出し、対戦相手も構築式を展開する。

「それでは――――競技始めっ!」

「【魔黒閃ビルスター】」
「【岩弾ロックバレッド】」 

「アルムの事が大好きですから!」

 ラビスの明るい笑顔とともに魔撃墜が開幕した。
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