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【SIDE】ロシュ
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「魔族ーー?」
このゲームにそんな設定あっただろうかと記憶を辿ると……あ、あった。
恋愛色が強くてすっかり忘れていたが、そもそも聖女であるヒロインが召喚された理由が“世界を脅かす魔族を滅ぼすため”だったか。学園での恋愛がほとんどだったからすっかり忘れていた。
でもーー
「この子、行き倒れてたよ? こんなに弱い魔族がいるーー?」
「ーーそれに、この目の色、私好きだよーー」
転生前の世界では普通だった、懐かしい色だ。
「ーーぞくじゃ、ありません」
スープにぽたぽたと涙が落ちる。
「まっ、魔族じゃ、ありません。い……行くとこがなくてっ」
「まぁまぁ……怖がってしまってごめんなさいね。こんなにか弱い魔族なんて、いるわけがないわよね。ここは孤児院だから。独り立ちするまで、ここにいていいのよ?」
リゼも謝りなさい、とグレースにうながされて謝ると、子供はまたひとしきり泣いた後、スープを2杯おかわりした。
「じゃあロシュ、その子を洗うのは任せていいかしら」
「はーい! こっちに来て!体を清潔にして着替えましょ」
グレースに言われて洗い場まで手を引いていくと。え、あの……と恥ずかしいのか軽く抵抗されるが力は弱い。
「心配しないで! 私、水魔法と火魔法がすこーしだけ得意なの!」
ーー嘘だ。本当は光魔法以外全部いける。
これは悪役令嬢定番ハイスペックの恩恵である。本来のストーリーで公爵がルイーズを手元に置いていたのも、王太子との婚約も、それが理由だろう。しかしそんなことを暴露したら即身元が特定されてしまうため、孤児院では水と火魔法が少しだけ使えるとして、生活に便利なお湯係りになっていた。沢山練習して、温度も自由自在である。
タライに手からお湯をじゃーっと出すとタオル代わりの布の切れ端をひたし、庶民用の石鹸をよく泡立てていく。
「さ、洗うから脱いで! 服は他のを用意するから、今着てるのはボロボロだし……捨ててもいいかな?」
「えっ!!!? あ、ちょっと!」
そう言って元々の色なのか汚れなのか灰色で所々茶色くなった、袋に首と腕の穴を開けただけのようなワンピース状のものを脱がせる。
すると、足の付け根より少しだけ長いズボンも履いていて、しゃがんで勢いよく下げた。
「ーーーー○△#?×!?」
子供が声にならない声をあげると、あら、目の前にーーーー
「えっ!!? ごめんっ! 男の子だったのね! 」
てっきり女の子だと思っていた。小さい子たちに使っているタオルを取ると、手早く腰に巻く。
「孤児院に来てからと言うもの、小さい子たちの身体洗いも手伝っているから……み、見慣れてるから気にしないで! お姉さんに任せて! 洗っちゃうね~~」
耳まで真っ赤にして手で顔を覆い子鹿のようにプルプル震える彼を上から下まで洗うと、魔法でタライにお湯を入れてはかけ流していく。
うん。ごめん恥ずかしかったよね。
頭もわしゃわしゃと2度3度洗い流しを繰り返し、ようやく綺麗になった。
髪を後ろでまとめてよく絞ると、少し日に焼けた綺麗な顔立ちが見えた。少し痩せこけているがゆで卵のような輪郭に色素の薄く長い睫毛に縁取られる零れ落ちそうな黒い瞳。
「わ! キミかわいいね! 絶対前髪分けた方がいいよ」
「そ、そうですか? それより、早く服着たいです」
ごもっともだった。服を着せて髪をよく拭いていると、戸口から他の子供達が覗いてきてヒソヒソ話している。
『本当に黒い目だ』
『でもとっても弱そうだよ』
『うんうん、見て。ロシュにされるがままだよ』
『マゾクなら、今頃ロシュが食べられちゃってるよ』
『そうだね。それに魔族って、ツノとシッポがあるんでしょ』
「ほらーー、こっちおいで! 新しい仲間のーー、そう言えばお名前は?」
「……ィミリオン」
「ミリオン! これからよろしくね」
夕食の支度が整うと、グレースがミリオンをみんなに紹介した。伸びっぱなしの前髪を分け巻き髪と一緒に後ろで一つ結びにしたミリオンは、目元もよく見え……私以外は遠巻き気味だ。
夜はグレースと乳幼児以外、大部屋の簡素なベッドで寝る。ミリオンは私の隣のベッドになった。
夜中に、喉が渇いて目が覚めると、隣から小さくしゃくりあげる声が聞こえる。
『どうしたのーー? 眠れない? 』
月明かりがほのかに入る部屋で、ポンと手を行くと布団がビクッと震え、濡れた黒い瞳が布団から出てきた。
『水飲みに行くんだけど、一緒に行く? それともトイレ? 』
こくりと頷くミリオンの手を引いてトイレの外で待ち、食堂で一緒にミルクを飲んだ。
「ちょっとだけなら大丈夫。よく、ここに初めて来た子は夜寝付けなくて……こうして夜中にミルクを飲むんだ」
「ーーロシュ、は、ここに来て長いの?」
「5年くらい経ったかな? グレースさんは優しいし、他の孤児院みたいに運営費の横領もしない、良いところだよここは」
「そっかーーロシュもきっと色々あったんだね。お……ぼく、こんな見た目だから、どこへ行っても、長く置いてもらえたことがなくてーー」
「この目を見て、好きだって言ってくれたのはロシュが初めてだよ……」
そう言うとミリオンは顔を赤くし、もじもじと手元のカップを見つめた。
「うんーーミリオンの目、懐かしい感じがするんだぁ……あ! 魔族と繋がってるとか、そんなんじゃ全然ないけどさ」
「ロシュも、やっぱり魔族は怖いーー?」
「んーー、どうだろうね。会った事もないし。本当に人間を食べちゃうなら、怖い存在なのかなぁ?」
ドキ☆ストは7ルート周回済みだが、魔族について多く語られていない。学園恋愛ものだから、当然と言えば当然なのかもしれないけれど、愛され聖女はどのルートでも悪役令嬢を断罪し、魔族から世界を救いみんなから祝福されてハッピーエンドだ。
ーー嫌なことを思い出した。記憶を振り払うように頭の横で手をパッパッと振る。
大部屋へ戻りベッドへ入ると、みんなの寝息が聞こえてすぐにでも寝れそうだ。
『ね、ねぇロシュ』
『なぁに』
『一緒に寝てもいい? その……心細くって』
少し考えた後、まぁ6歳だし無理もないかと結論を出す。
『いいよ。こっちおいで』
枕を持っていそいそと、ベッドに入ってきた。
『狭いから、これで我慢してね……ふあぁーーもう、限界……』
そう言って、仰向けで寝転んだミリオンを横から抱き枕のように抱えて睡魔に襲われる。
『あったかい……おやすみ、ロシュ』
『……ゃすみぃ……』
それからしばらく、ミリオンは孤児院の子供達に仲間はずれにされたり、嫌がらせを受ける日々が続いた。長かった髪を束ねた部分ごと襟足でざっくり切られた時は、思わず犯人のヘンリーにゲンコツ、身体洗いの時お湯を出してやらない等してしまった。
ミリオンは何をされてもポロポロ泣くばかりで、あまりに弱々しく泣くから“泣き虫ミリオン”と呼ばれ、次第に“危険な魔族とは全然違う”とわかったヘンリー率いるいじめっ子達と和解していった。
「ロシュ、いつも庇ってくれてありがとう」
あの夜からミリオンは毎晩私のベットで一緒に寝た。“泣き虫ミリオン”だからか孤児院のみんなから公認である。
「お姉ちゃんって、いたらこんな感じなのかなーー」
そんなことを寝る間際に言われたからか、久しぶりに幼い弟の夢を見たーー。
ノア。やっとヨチヨチ歩きをするようになった、可愛いノア。あの家で温かかったのは、あどけなく“ネーネ”と呼ぶノアだけだったーー。大好きだったノア。会いたいけどもう会えないーー幸せになって。
「むにゃ……ノア……大好きーー幸せになって……」
偶然そんな寝言をミリオンは聞いていた。
ーーーーーー
ミリオンが来て2年が過ぎたある日、14歳のリズが独り立ちする日がやってきた。
最も、リズは隣町の年上男性と恋に落ち来年には結婚するそうだ。
「ロシュ……独り立ちって?」
8歳になったミリオンは出会った頃と変わらない程に身体が小さく、年下の子にも背を抜かされていた。
「そっか、ミリオンは初めてだったわね。14歳になったら、この孤児院を出て外で暮らすの! その位になれば雇ってくれるお店も増えるし、住むところも借りられるから。冒険者になった子もいたかなぁ。私もそろそろ、2年後のこと考えなくっちゃーー」
とは言ったものの、ルイーズ時代に銀行へ預けたお金は、庶民なら家が買えるし一生遊んで暮らせるだけはある。14歳になると、メインストーリーも始まるし、いっそ国外へ出るのも手かもしれない。
「そんな……! ロシュと離れるなんてーーぼく嫌だよ! 」
突然大きな声をあげ、リズのお祝いムードだったみんなもポカンとした後、大きく笑った。
「あははっ! じゃあミリオンも、リズみたいに結婚するしかねーな! ロシュと」
「そうだよーミリオン。いつまでも“泣き虫ミリオン”のままじゃあロシュは捕まえておけないわよぉ。結婚するには愛と甲斐性が必要なんだからーー」
「ちょ、ちょっとからかわないでよーー。ミリオンは可愛い弟みたいなものなんだからっ」
冗談めかしてリズ、ヘンリーに笑われたミリオンの黒い瞳が、赤黒く輝いたことに誰も気づかなかった。
このゲームにそんな設定あっただろうかと記憶を辿ると……あ、あった。
恋愛色が強くてすっかり忘れていたが、そもそも聖女であるヒロインが召喚された理由が“世界を脅かす魔族を滅ぼすため”だったか。学園での恋愛がほとんどだったからすっかり忘れていた。
でもーー
「この子、行き倒れてたよ? こんなに弱い魔族がいるーー?」
「ーーそれに、この目の色、私好きだよーー」
転生前の世界では普通だった、懐かしい色だ。
「ーーぞくじゃ、ありません」
スープにぽたぽたと涙が落ちる。
「まっ、魔族じゃ、ありません。い……行くとこがなくてっ」
「まぁまぁ……怖がってしまってごめんなさいね。こんなにか弱い魔族なんて、いるわけがないわよね。ここは孤児院だから。独り立ちするまで、ここにいていいのよ?」
リゼも謝りなさい、とグレースにうながされて謝ると、子供はまたひとしきり泣いた後、スープを2杯おかわりした。
「じゃあロシュ、その子を洗うのは任せていいかしら」
「はーい! こっちに来て!体を清潔にして着替えましょ」
グレースに言われて洗い場まで手を引いていくと。え、あの……と恥ずかしいのか軽く抵抗されるが力は弱い。
「心配しないで! 私、水魔法と火魔法がすこーしだけ得意なの!」
ーー嘘だ。本当は光魔法以外全部いける。
これは悪役令嬢定番ハイスペックの恩恵である。本来のストーリーで公爵がルイーズを手元に置いていたのも、王太子との婚約も、それが理由だろう。しかしそんなことを暴露したら即身元が特定されてしまうため、孤児院では水と火魔法が少しだけ使えるとして、生活に便利なお湯係りになっていた。沢山練習して、温度も自由自在である。
タライに手からお湯をじゃーっと出すとタオル代わりの布の切れ端をひたし、庶民用の石鹸をよく泡立てていく。
「さ、洗うから脱いで! 服は他のを用意するから、今着てるのはボロボロだし……捨ててもいいかな?」
「えっ!!!? あ、ちょっと!」
そう言って元々の色なのか汚れなのか灰色で所々茶色くなった、袋に首と腕の穴を開けただけのようなワンピース状のものを脱がせる。
すると、足の付け根より少しだけ長いズボンも履いていて、しゃがんで勢いよく下げた。
「ーーーー○△#?×!?」
子供が声にならない声をあげると、あら、目の前にーーーー
「えっ!!? ごめんっ! 男の子だったのね! 」
てっきり女の子だと思っていた。小さい子たちに使っているタオルを取ると、手早く腰に巻く。
「孤児院に来てからと言うもの、小さい子たちの身体洗いも手伝っているから……み、見慣れてるから気にしないで! お姉さんに任せて! 洗っちゃうね~~」
耳まで真っ赤にして手で顔を覆い子鹿のようにプルプル震える彼を上から下まで洗うと、魔法でタライにお湯を入れてはかけ流していく。
うん。ごめん恥ずかしかったよね。
頭もわしゃわしゃと2度3度洗い流しを繰り返し、ようやく綺麗になった。
髪を後ろでまとめてよく絞ると、少し日に焼けた綺麗な顔立ちが見えた。少し痩せこけているがゆで卵のような輪郭に色素の薄く長い睫毛に縁取られる零れ落ちそうな黒い瞳。
「わ! キミかわいいね! 絶対前髪分けた方がいいよ」
「そ、そうですか? それより、早く服着たいです」
ごもっともだった。服を着せて髪をよく拭いていると、戸口から他の子供達が覗いてきてヒソヒソ話している。
『本当に黒い目だ』
『でもとっても弱そうだよ』
『うんうん、見て。ロシュにされるがままだよ』
『マゾクなら、今頃ロシュが食べられちゃってるよ』
『そうだね。それに魔族って、ツノとシッポがあるんでしょ』
「ほらーー、こっちおいで! 新しい仲間のーー、そう言えばお名前は?」
「……ィミリオン」
「ミリオン! これからよろしくね」
夕食の支度が整うと、グレースがミリオンをみんなに紹介した。伸びっぱなしの前髪を分け巻き髪と一緒に後ろで一つ結びにしたミリオンは、目元もよく見え……私以外は遠巻き気味だ。
夜はグレースと乳幼児以外、大部屋の簡素なベッドで寝る。ミリオンは私の隣のベッドになった。
夜中に、喉が渇いて目が覚めると、隣から小さくしゃくりあげる声が聞こえる。
『どうしたのーー? 眠れない? 』
月明かりがほのかに入る部屋で、ポンと手を行くと布団がビクッと震え、濡れた黒い瞳が布団から出てきた。
『水飲みに行くんだけど、一緒に行く? それともトイレ? 』
こくりと頷くミリオンの手を引いてトイレの外で待ち、食堂で一緒にミルクを飲んだ。
「ちょっとだけなら大丈夫。よく、ここに初めて来た子は夜寝付けなくて……こうして夜中にミルクを飲むんだ」
「ーーロシュ、は、ここに来て長いの?」
「5年くらい経ったかな? グレースさんは優しいし、他の孤児院みたいに運営費の横領もしない、良いところだよここは」
「そっかーーロシュもきっと色々あったんだね。お……ぼく、こんな見た目だから、どこへ行っても、長く置いてもらえたことがなくてーー」
「この目を見て、好きだって言ってくれたのはロシュが初めてだよ……」
そう言うとミリオンは顔を赤くし、もじもじと手元のカップを見つめた。
「うんーーミリオンの目、懐かしい感じがするんだぁ……あ! 魔族と繋がってるとか、そんなんじゃ全然ないけどさ」
「ロシュも、やっぱり魔族は怖いーー?」
「んーー、どうだろうね。会った事もないし。本当に人間を食べちゃうなら、怖い存在なのかなぁ?」
ドキ☆ストは7ルート周回済みだが、魔族について多く語られていない。学園恋愛ものだから、当然と言えば当然なのかもしれないけれど、愛され聖女はどのルートでも悪役令嬢を断罪し、魔族から世界を救いみんなから祝福されてハッピーエンドだ。
ーー嫌なことを思い出した。記憶を振り払うように頭の横で手をパッパッと振る。
大部屋へ戻りベッドへ入ると、みんなの寝息が聞こえてすぐにでも寝れそうだ。
『ね、ねぇロシュ』
『なぁに』
『一緒に寝てもいい? その……心細くって』
少し考えた後、まぁ6歳だし無理もないかと結論を出す。
『いいよ。こっちおいで』
枕を持っていそいそと、ベッドに入ってきた。
『狭いから、これで我慢してね……ふあぁーーもう、限界……』
そう言って、仰向けで寝転んだミリオンを横から抱き枕のように抱えて睡魔に襲われる。
『あったかい……おやすみ、ロシュ』
『……ゃすみぃ……』
それからしばらく、ミリオンは孤児院の子供達に仲間はずれにされたり、嫌がらせを受ける日々が続いた。長かった髪を束ねた部分ごと襟足でざっくり切られた時は、思わず犯人のヘンリーにゲンコツ、身体洗いの時お湯を出してやらない等してしまった。
ミリオンは何をされてもポロポロ泣くばかりで、あまりに弱々しく泣くから“泣き虫ミリオン”と呼ばれ、次第に“危険な魔族とは全然違う”とわかったヘンリー率いるいじめっ子達と和解していった。
「ロシュ、いつも庇ってくれてありがとう」
あの夜からミリオンは毎晩私のベットで一緒に寝た。“泣き虫ミリオン”だからか孤児院のみんなから公認である。
「お姉ちゃんって、いたらこんな感じなのかなーー」
そんなことを寝る間際に言われたからか、久しぶりに幼い弟の夢を見たーー。
ノア。やっとヨチヨチ歩きをするようになった、可愛いノア。あの家で温かかったのは、あどけなく“ネーネ”と呼ぶノアだけだったーー。大好きだったノア。会いたいけどもう会えないーー幸せになって。
「むにゃ……ノア……大好きーー幸せになって……」
偶然そんな寝言をミリオンは聞いていた。
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ミリオンが来て2年が過ぎたある日、14歳のリズが独り立ちする日がやってきた。
最も、リズは隣町の年上男性と恋に落ち来年には結婚するそうだ。
「ロシュ……独り立ちって?」
8歳になったミリオンは出会った頃と変わらない程に身体が小さく、年下の子にも背を抜かされていた。
「そっか、ミリオンは初めてだったわね。14歳になったら、この孤児院を出て外で暮らすの! その位になれば雇ってくれるお店も増えるし、住むところも借りられるから。冒険者になった子もいたかなぁ。私もそろそろ、2年後のこと考えなくっちゃーー」
とは言ったものの、ルイーズ時代に銀行へ預けたお金は、庶民なら家が買えるし一生遊んで暮らせるだけはある。14歳になると、メインストーリーも始まるし、いっそ国外へ出るのも手かもしれない。
「そんな……! ロシュと離れるなんてーーぼく嫌だよ! 」
突然大きな声をあげ、リズのお祝いムードだったみんなもポカンとした後、大きく笑った。
「あははっ! じゃあミリオンも、リズみたいに結婚するしかねーな! ロシュと」
「そうだよーミリオン。いつまでも“泣き虫ミリオン”のままじゃあロシュは捕まえておけないわよぉ。結婚するには愛と甲斐性が必要なんだからーー」
「ちょ、ちょっとからかわないでよーー。ミリオンは可愛い弟みたいなものなんだからっ」
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