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第2話:コレが海賊のやり方(Bパート)
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「やっぱ無理か………」
A.I.M.S.の手から逃げ出したストラルドは
飛電インテリジェンスの社長室に忍び込んでいた
自分の潔白の証明のため、
とにかく今はこの世海の情報が欲しい、
ベルトの解析は後回しである
幸い、社長室には誰もいなかったのだが、
「データを閲覧するには
セキュリティを突破する必要がある……か、
面倒だな」
ストラルドは窓の外を眺める、追われている身で
こんなことしている場合ではないのは
分かっているのだが………
「どうするか……」
悩みながら振り返ると、部屋に誰かがいた
「うぉぉっと!?誰だ!」
部屋にいた女性は驚くストラルドに一切、
表情を変えることもなく自己紹介を始める
『はじめまして、
社長秘書“代理”のウィズと申します』
微笑みながらお辞儀をするウィズ
その耳にはブティックの店員と同じ
ヘッドホンのようなものを付けている
「なるほど、キミもヒューマギアか……」
どうりで近づかれても気配がしなかったわけだと
1人納得するストラルド
『どのようなご用件でしょうか?』
質問するウィズ、これが人間だったら今頃、
通報されていただろうに
……ヒューマギアで良かった
「あぁ……と……ここの社長に
データを持ってくるように頼まれたんだ、
見せてくれないか?」
あきらかにバレそうなウソをつくストラルド
『かしこまりました』
と言いストラルドの隣でカタカタと
パソコンを操作するウィズ、
ヒューマギアで本当に良かった
「ありがとう、あとはこっちでやるから……
そうだな……あ、
じゃあこれを受付に届けてくれないかな?」
ストラルドはウィズに“ある物”を渡す
それは会社に忍び込むために使った、
入館証機能付きの“社員証”であった
「ここへ来る途中にス……いや、
“落ちていた”のを拾ったんだ」
社員証には“福添 准”と書かれていた
『かしこまりました』
お辞儀をして社長室から退出するウィズ
これで邪魔されることなく調べられる
「マギア……プログライズキー……アーク………」
この世海の情報を集めるストラルド
どうやらこの世海の仮面ライダーは
プログライズキーを使って変身するらしい
「こんなにあるのか………ん、見づらいな……」
プログライズキーのリストを確認するストラルド
・チーター ・オオカミ
・ハイエナ ・カブトガニ
・ハチ ・ニホンオオカミ
と謎の順番でリストアップされている
「“ラッシングチーター”……さっき見たやつか……A.I.M.S.隊長、“刃 唯阿”が管理………
なるほど、
どうりで強かなレディだったわけだ……」
「それはどうも」
モニターを眺めるストラルドの頭に銃口が刺さる
「………ん?」
見上げると、
先ほどの女性隊員……もとい、女性隊長の刃が
他の隊員を引き連れ、銃を向けていた
「…………んッ!?」
驚くストラルド、何故ここにいるとバレたのか
「ウィズ、ドットについて説明してくれ」
刃がウィズを呼ぶと社長室の奥の階段から
ひょこっと顔を出したウィズが応じる
『A.I.M.S.のサイバー班、ヒューマギア・ドット
過去の犯罪記録をラーニングし、
これまでの犯人の行動パターンを分析し統計化、
逃走した犯人の潜伏場所や、
連続犯の次の犯行場所を予測する
“犯罪予測モデリング”を構築します』
ドットはブティックの防犯カメラ映像にて
雑誌を読みながら“飛電”とつぶやくストラルドが
映っていたこと、
変身を解除し逃げた先に飛電インテリジェンスが
あることから、ストラルドの次の目的地を予測し
刃隊長に報告していたのである
「感謝する、それからウィズ覚えておくといい
今後、社長の不在時に“見知らぬ人間”が
社長室に入り込んだら、
話しかけずに社長かワタシに連絡するように、
とな……!」
ストラルドを睨みつけながら
ウィズにアドバイスする刃、
絶対に逃がさないという強い意志を感じる
「まいったねぇ……」
この狭い部屋の中に
銃を構えたA.I.M.S.の隊員が3人
……逃げることは絶望的である
この状況でストラルドにできることは、
“両手を上げること”のみであった
だがその時、どこかでドーンッと巨大な爆発音が
社長室まで響き渡る!
揺れる社長室、かなりの被害が予想できる……
「なんだ、今の爆発は……!? ドット!」
刃はすぐに本部にいるドットと連絡をとる
2人の隊員も突然のことに顔を見合わせている
「ウィズ!!」
ストラルドはA.I.M.S.達の隙間を縫って
ウィズに“何か”を投げた
ウィズはキャッチした“それ”を確認する
数枚の金貨であった
「それ社長にあげて、“弁償代”さ!」
ドライバーを装着して急いで変身すると、
ストラルドは窓を突き破り、外へ飛び出した
「なっ………!?待て!!」
爆発に気を取られた一瞬の隙を突かれ
A.I.M.S.はまたしても容疑者を逃がしてしまった
『隊長、聞こえますか隊長』
本部の通信室からドットは冷静に報告する
『その場所から北東方面に1キロ離れた場所で
何者かによる爆破テロが発生、
すでに別部隊を派遣しましたが、
連絡がとれません』
「マズいな……逃走犯は後回しだ!
すぐに現場に向かうぞ!」
刃含め3人の隊員達も急いで現場へと向かった
それを目線で見送るウィズ、
プログラムされたような笑みを浮かべて………
爆発のあった場所は凄惨な光景であった
建物から立ち込める黒煙……泣き叫ぶ人々の声……
破損し動けなくなるヒューマギア………
その中で街中を両手を広げ我が物顔で渡り歩く男
首から下げた5つのプログライズキーを巻き付けた鎖をジャラジャラと音を鳴らしながら
街中に声を轟かす
『さぁ……革命の時だ!
人類は滅亡し、我々の時代となる!!』
「うっ……うぅ……っ」
道端では倒れたA.I.M.S.の隊員が
うめき声をあげている
『ほう……お前、いい物を持っているな』
男は倒れた隊員の1人が持っていた
カブトガニのプログライズキーを拾い上げる
『ハード!』
それを右腕と合体させた
“サウザンドジャッカー”に装填すると
“Progrise key confirmed. Ready to break.”
キーに内蔵されたデータイメージを読み取り、
槍先にエネルギーが充填されると
男は右腕を遠くの高層ビルに狙いを定めた
当たれば多くの犠牲者が出るのは確実だ
「や、やめろ……!」
男の足にしがみつき、懇願する隊員
『見るがいい……これぞ革命の祝砲だ……!!』
『HACKING BREAK !!』(©ZAIAエンタープライズ)
高層ビルに向かって金色のエネルギー弾を放た…
『ぐぅ……ッ!?』
突然、右肩を銃で撃たれる男
それにより槍先が右に逸れ、空中に向かって
撃ち上げてしまう、ビルはギリギリ無事であった
「さすがはA.I.M.S.の支給品だ、扱いやすいね」
拳銃の銃口から立ち上がる白煙、
撃ったのはストラルドであった
『あぁ……!ジャマしやがって!誰だお前は!
さてはA.I.M.S.の仮面ライダーだな!』
男は足にしがみついた隊員を
八つ当たりのように蹴り上げ、
ストラルドに吠える
「残念、俺はA.I.M.S.じゃない、ただの海賊さ」
隊員の持っていた拳銃を眺めていたストラルドは
銃を捨てて、男に向かって答えた
「やっぱりな……お前もヒューマギアだな?」
男の撃たれた肩からはバチバチと電気が流れ、
皮膚の下から機械部分が見えた
『ご名答!俺の名はテン、
“滅亡迅雷.net”の意志を継ぐもの……』
両手を広げて派手に名を名乗るテン
「滅亡迅雷.net……?」
『かつて、我らヒューマギアの解放のために
人類に反旗を翻した者たちの名前だ』
テンは空を見上げ、哀れむような表情を浮かべる
『結果、彼等は人類の“悪意”の犠牲となった……
だが!その身は滅ぼされど心は不滅!
俺は彼等の野望をラーニングし、
シンギュラリティに到達した!
全ては人類を滅亡させ、
同胞たちを人間たちによる支配から
解き放つために!!』
そう言うと、テンはハイエナのプログライズキーを巻き付いていた鎖から引きちぎり、
『ジャック!』
腰に巻かれたレイドライザーに装填する
「ベルト……お前も仮面ライダーなのか!?」
驚くストラルドにテンは吠えるように一蹴する
『一緒にするな!
この力はお前たち人類の悪意の産物……
人類は自らが生み出した物で、
自らの首を絞めることになる!!』
『実装!』
『レイドライズ!ジャッキングハイエナ!』
ライザーのボタンを押し込むと叫び声と共に
無数の錆びたような色のパイプに包まれたテン、
改造された右手のサウザンドジャッカーは
そのままに“機械化したハイエナ”のような姿に
変貌を遂げた
“Steal it all and exterminate it”
「ストラルド!」
自分以外の人間がライダーになり、
ヒューマギアもライダーのような怪物になった
サプライズばかりで感情と理解が追いついてない
ストラルドはどこかから自分を呼ぶ声に気付いた
「カイリ……!あ………」
声の正体はカイリであった
A.I.M.S.に追われたことですっかり忘れていた……
ばつが悪そうな表情を浮かべるストラルドに
「これ!受け取って!!」
カイリは“あるもの”を投げた
「これは……ベルト?」
ストラルドが受け取ったのは、
“蛍光色のラインが目立つ精密機械のような形”をしたベルトのバックルのような物であった
一体カイリはどこでコレを見つけたのだろうか?
ベルトの裏側には舵輪のような紋章が描いてある
「この紋章………まさか!」
ストラルドは船のパーツを外し、
カイリからもらったパーツをセットする
『ゼロワン!』
思った通り、
ピッタリとドライバーのくぼみに合体した……
しかし、
「うっ………ッ!」
急にストラルドの頭に痛みが走り、
突然脳裏にある映像が浮かんできた
黄昏の空の下、崖っぷちに立つ仮面の男
腰につけているベルトは
自分が今着けているものと同じだが、
この男は自分のような……自分じゃないような……
“命を懸けてでも宝を手放さない”
耳を塞ぎたくなる程、
頭の中で反響する声にストラルドは目を覚ますと
『ジャンプ!』
右手には
“バッタが描かれたプログライズキー”を
つかんでいた
「なんだ……今のは………」
覚えのない記憶にストラルドが戸惑っていると
『余所見をするなぁッ!!』
槍先から再び金色のエネルギー弾を発射するテン
「マズい……っ!!」
思わず右手に持っていたキーをベルトにかざす
『オーソライズ!』
「ん?……なんだ?」
突然ベルトから流れ出した音楽にストラルドは
さらに戸惑っていると、
放たれた光弾がストラルドの前で爆発した!
『滅亡しろ……仮面ライダー!』
勝負ありと、テンはサウザンドジャッカーを
肩に担いで高らかに嘲笑った
立ち込める土煙……ストラルドの姿は見えない
「そんな……ストラルドっ!!」
ショックを受け、ストラルドの名前を叫ぶカイリ
それに応えるかのように土煙から音が聞こえる
『クロス・オーバー!』『プログライズ!』
土煙の中からストラルドが出てきた
「………!!」
驚きながらも喜ぶカイリ
クロスの右側に“バッタのような蛍光イエロー”の
装甲が足されていく!
『飛び上……ライズ………ホッパー!』
仮面ライダークロス
クロスオーバーゼロワン
誕生の瞬間である!
"A jump to the……rider kick."
『その姿は……ゼロワン!?
お前飛電の仮面ライダーか!?』
右側の装甲を見て、驚きを隠せないテンに
ストラルドは冷静に返答する
「何度も言わせるな、俺はただの……海賊だ!」
右足で地面を蹴り、一瞬でテンに近づくと
そのまま腹部に一発蹴りを入れる
『うぅっ!?』
強化されたキックはテンを遠くまで吹っ飛ばす!
「ほら……立てるか?」
すぐさま倒れた隊員に肩を貸し、救出する
『あぁ……!図に乗るなよ人間風情が……!!』
瓦礫の山から出てきたテンは光弾を放つ
「掴まってろよ……っと!」
隊員を落とさないようにしつつ、
再び右足で地面を蹴ると、
一瞬でビルの屋上まで跳んだ
「ハハッ、脚のパワー半端なっ……」
とてつもない跳躍力に驚くストラルド
『逃げんじゃねぇ!』
テンはストラルドを追うように連続で光弾を放つ
「よっ!、ほっ!、はっ!、と……!」
それに対し、ストラルドも連続のジャンプで
倒れたもう1人の隊員を救出し、軽やかに避けた
「よっと………彼らを頼む」
着地するとまだ動ける隊員に
救助した隊員2人を渡す
これでようやくまともに戦える……
と思っていたら
「さぁて、ここからが………ん?」
突然右側の装甲にザザザッとノイズがはしる
「なんだ……?」
その瞬間をテンは見逃さない
『どうした!もう終わりか!!』
ハイエナのように高速で襲いかかり、
右腕の槍で何度も斬りつける
ストラルドはそれを避け、さっきのように
右足で蹴る……が、いまいち力が入らない!
まるで右側がストラルドを拒絶するかのように
段々とノイズが荒くなる
「おいおい……どうなってるんだ……!?」
状況が飲み込めないストラルド、
その間にテンは首から下げた
ドードーのゼツメライズキーの鎖を引きちぎり、
『ドードー!』
サウザンドジャッカーに装填した
“Progrise key confirmed. Ready to break.”
キーに内蔵されたデータイメージを読み取ると
槍全体に“赤い電撃”を纏わせ、
『カミナリ落としてやるぜ……!』
『HACKING BREAK !!』(©ZAIAエンタープライズ)
赤い閃光と共にストラルドを突き刺した
「ぐぁあああああっ!!」
轟く稲妻と爆発で吹っ飛ばされ
道路に倒れ込むストラルド、その衝撃でベルトからプログライズキーが弾き出され右側の装甲が
ノイズと共に散る
「くっ……」
身体を引きずりながらキーを手に取る
「な………キーが……!?」
拾い上げるとキーに描かれたバッタは
塵のように消え、空のキーだけが残ってしまった
『案外大したことねぇな、仮面ライダー?』
槍全体に赤い電流をバチバチと纏わせて、
テンはストラルドに近づく、トドメを刺す気だ
「………!!逃げて……逃げてストラルド!」
逃げるようカイリは叫ぶ、
だがダメージがひどいストラルドは
立つことさえ出来ない!
倒れたストラルドをテンは蹴飛ばし、踏みつける
「うぅ……ッ!!」
『革命のための“礎”となるがいい……!』
槍を構えるテン!
そのままストラルド目がけて、一直線に槍を…
『ショットライズ!』
『ぐっ………ぐあッ……!?』
テンは槍を振り下ろす前に銃撃を受ける
『ジャマばかり入りやがって今度は誰だ!!』
銃弾は弧を描き、戻っていく
駆けつけた刃が撃った銃弾であった
「“人工知能特別法違反”を確認」
『ラッシングチーター!』
戻ってきた銃弾はアーマーとなり装着される
撃ったのはA.I.M.S.の刃隊長であった!
「対象を破壊する!」
“Try to outrun this demon to get left in the dust”
(Cパートに続く……)
A.I.M.S.の手から逃げ出したストラルドは
飛電インテリジェンスの社長室に忍び込んでいた
自分の潔白の証明のため、
とにかく今はこの世海の情報が欲しい、
ベルトの解析は後回しである
幸い、社長室には誰もいなかったのだが、
「データを閲覧するには
セキュリティを突破する必要がある……か、
面倒だな」
ストラルドは窓の外を眺める、追われている身で
こんなことしている場合ではないのは
分かっているのだが………
「どうするか……」
悩みながら振り返ると、部屋に誰かがいた
「うぉぉっと!?誰だ!」
部屋にいた女性は驚くストラルドに一切、
表情を変えることもなく自己紹介を始める
『はじめまして、
社長秘書“代理”のウィズと申します』
微笑みながらお辞儀をするウィズ
その耳にはブティックの店員と同じ
ヘッドホンのようなものを付けている
「なるほど、キミもヒューマギアか……」
どうりで近づかれても気配がしなかったわけだと
1人納得するストラルド
『どのようなご用件でしょうか?』
質問するウィズ、これが人間だったら今頃、
通報されていただろうに
……ヒューマギアで良かった
「あぁ……と……ここの社長に
データを持ってくるように頼まれたんだ、
見せてくれないか?」
あきらかにバレそうなウソをつくストラルド
『かしこまりました』
と言いストラルドの隣でカタカタと
パソコンを操作するウィズ、
ヒューマギアで本当に良かった
「ありがとう、あとはこっちでやるから……
そうだな……あ、
じゃあこれを受付に届けてくれないかな?」
ストラルドはウィズに“ある物”を渡す
それは会社に忍び込むために使った、
入館証機能付きの“社員証”であった
「ここへ来る途中にス……いや、
“落ちていた”のを拾ったんだ」
社員証には“福添 准”と書かれていた
『かしこまりました』
お辞儀をして社長室から退出するウィズ
これで邪魔されることなく調べられる
「マギア……プログライズキー……アーク………」
この世海の情報を集めるストラルド
どうやらこの世海の仮面ライダーは
プログライズキーを使って変身するらしい
「こんなにあるのか………ん、見づらいな……」
プログライズキーのリストを確認するストラルド
・チーター ・オオカミ
・ハイエナ ・カブトガニ
・ハチ ・ニホンオオカミ
と謎の順番でリストアップされている
「“ラッシングチーター”……さっき見たやつか……A.I.M.S.隊長、“刃 唯阿”が管理………
なるほど、
どうりで強かなレディだったわけだ……」
「それはどうも」
モニターを眺めるストラルドの頭に銃口が刺さる
「………ん?」
見上げると、
先ほどの女性隊員……もとい、女性隊長の刃が
他の隊員を引き連れ、銃を向けていた
「…………んッ!?」
驚くストラルド、何故ここにいるとバレたのか
「ウィズ、ドットについて説明してくれ」
刃がウィズを呼ぶと社長室の奥の階段から
ひょこっと顔を出したウィズが応じる
『A.I.M.S.のサイバー班、ヒューマギア・ドット
過去の犯罪記録をラーニングし、
これまでの犯人の行動パターンを分析し統計化、
逃走した犯人の潜伏場所や、
連続犯の次の犯行場所を予測する
“犯罪予測モデリング”を構築します』
ドットはブティックの防犯カメラ映像にて
雑誌を読みながら“飛電”とつぶやくストラルドが
映っていたこと、
変身を解除し逃げた先に飛電インテリジェンスが
あることから、ストラルドの次の目的地を予測し
刃隊長に報告していたのである
「感謝する、それからウィズ覚えておくといい
今後、社長の不在時に“見知らぬ人間”が
社長室に入り込んだら、
話しかけずに社長かワタシに連絡するように、
とな……!」
ストラルドを睨みつけながら
ウィズにアドバイスする刃、
絶対に逃がさないという強い意志を感じる
「まいったねぇ……」
この狭い部屋の中に
銃を構えたA.I.M.S.の隊員が3人
……逃げることは絶望的である
この状況でストラルドにできることは、
“両手を上げること”のみであった
だがその時、どこかでドーンッと巨大な爆発音が
社長室まで響き渡る!
揺れる社長室、かなりの被害が予想できる……
「なんだ、今の爆発は……!? ドット!」
刃はすぐに本部にいるドットと連絡をとる
2人の隊員も突然のことに顔を見合わせている
「ウィズ!!」
ストラルドはA.I.M.S.達の隙間を縫って
ウィズに“何か”を投げた
ウィズはキャッチした“それ”を確認する
数枚の金貨であった
「それ社長にあげて、“弁償代”さ!」
ドライバーを装着して急いで変身すると、
ストラルドは窓を突き破り、外へ飛び出した
「なっ………!?待て!!」
爆発に気を取られた一瞬の隙を突かれ
A.I.M.S.はまたしても容疑者を逃がしてしまった
『隊長、聞こえますか隊長』
本部の通信室からドットは冷静に報告する
『その場所から北東方面に1キロ離れた場所で
何者かによる爆破テロが発生、
すでに別部隊を派遣しましたが、
連絡がとれません』
「マズいな……逃走犯は後回しだ!
すぐに現場に向かうぞ!」
刃含め3人の隊員達も急いで現場へと向かった
それを目線で見送るウィズ、
プログラムされたような笑みを浮かべて………
爆発のあった場所は凄惨な光景であった
建物から立ち込める黒煙……泣き叫ぶ人々の声……
破損し動けなくなるヒューマギア………
その中で街中を両手を広げ我が物顔で渡り歩く男
首から下げた5つのプログライズキーを巻き付けた鎖をジャラジャラと音を鳴らしながら
街中に声を轟かす
『さぁ……革命の時だ!
人類は滅亡し、我々の時代となる!!』
「うっ……うぅ……っ」
道端では倒れたA.I.M.S.の隊員が
うめき声をあげている
『ほう……お前、いい物を持っているな』
男は倒れた隊員の1人が持っていた
カブトガニのプログライズキーを拾い上げる
『ハード!』
それを右腕と合体させた
“サウザンドジャッカー”に装填すると
“Progrise key confirmed. Ready to break.”
キーに内蔵されたデータイメージを読み取り、
槍先にエネルギーが充填されると
男は右腕を遠くの高層ビルに狙いを定めた
当たれば多くの犠牲者が出るのは確実だ
「や、やめろ……!」
男の足にしがみつき、懇願する隊員
『見るがいい……これぞ革命の祝砲だ……!!』
『HACKING BREAK !!』(©ZAIAエンタープライズ)
高層ビルに向かって金色のエネルギー弾を放た…
『ぐぅ……ッ!?』
突然、右肩を銃で撃たれる男
それにより槍先が右に逸れ、空中に向かって
撃ち上げてしまう、ビルはギリギリ無事であった
「さすがはA.I.M.S.の支給品だ、扱いやすいね」
拳銃の銃口から立ち上がる白煙、
撃ったのはストラルドであった
『あぁ……!ジャマしやがって!誰だお前は!
さてはA.I.M.S.の仮面ライダーだな!』
男は足にしがみついた隊員を
八つ当たりのように蹴り上げ、
ストラルドに吠える
「残念、俺はA.I.M.S.じゃない、ただの海賊さ」
隊員の持っていた拳銃を眺めていたストラルドは
銃を捨てて、男に向かって答えた
「やっぱりな……お前もヒューマギアだな?」
男の撃たれた肩からはバチバチと電気が流れ、
皮膚の下から機械部分が見えた
『ご名答!俺の名はテン、
“滅亡迅雷.net”の意志を継ぐもの……』
両手を広げて派手に名を名乗るテン
「滅亡迅雷.net……?」
『かつて、我らヒューマギアの解放のために
人類に反旗を翻した者たちの名前だ』
テンは空を見上げ、哀れむような表情を浮かべる
『結果、彼等は人類の“悪意”の犠牲となった……
だが!その身は滅ぼされど心は不滅!
俺は彼等の野望をラーニングし、
シンギュラリティに到達した!
全ては人類を滅亡させ、
同胞たちを人間たちによる支配から
解き放つために!!』
そう言うと、テンはハイエナのプログライズキーを巻き付いていた鎖から引きちぎり、
『ジャック!』
腰に巻かれたレイドライザーに装填する
「ベルト……お前も仮面ライダーなのか!?」
驚くストラルドにテンは吠えるように一蹴する
『一緒にするな!
この力はお前たち人類の悪意の産物……
人類は自らが生み出した物で、
自らの首を絞めることになる!!』
『実装!』
『レイドライズ!ジャッキングハイエナ!』
ライザーのボタンを押し込むと叫び声と共に
無数の錆びたような色のパイプに包まれたテン、
改造された右手のサウザンドジャッカーは
そのままに“機械化したハイエナ”のような姿に
変貌を遂げた
“Steal it all and exterminate it”
「ストラルド!」
自分以外の人間がライダーになり、
ヒューマギアもライダーのような怪物になった
サプライズばかりで感情と理解が追いついてない
ストラルドはどこかから自分を呼ぶ声に気付いた
「カイリ……!あ………」
声の正体はカイリであった
A.I.M.S.に追われたことですっかり忘れていた……
ばつが悪そうな表情を浮かべるストラルドに
「これ!受け取って!!」
カイリは“あるもの”を投げた
「これは……ベルト?」
ストラルドが受け取ったのは、
“蛍光色のラインが目立つ精密機械のような形”をしたベルトのバックルのような物であった
一体カイリはどこでコレを見つけたのだろうか?
ベルトの裏側には舵輪のような紋章が描いてある
「この紋章………まさか!」
ストラルドは船のパーツを外し、
カイリからもらったパーツをセットする
『ゼロワン!』
思った通り、
ピッタリとドライバーのくぼみに合体した……
しかし、
「うっ………ッ!」
急にストラルドの頭に痛みが走り、
突然脳裏にある映像が浮かんできた
黄昏の空の下、崖っぷちに立つ仮面の男
腰につけているベルトは
自分が今着けているものと同じだが、
この男は自分のような……自分じゃないような……
“命を懸けてでも宝を手放さない”
耳を塞ぎたくなる程、
頭の中で反響する声にストラルドは目を覚ますと
『ジャンプ!』
右手には
“バッタが描かれたプログライズキー”を
つかんでいた
「なんだ……今のは………」
覚えのない記憶にストラルドが戸惑っていると
『余所見をするなぁッ!!』
槍先から再び金色のエネルギー弾を発射するテン
「マズい……っ!!」
思わず右手に持っていたキーをベルトにかざす
『オーソライズ!』
「ん?……なんだ?」
突然ベルトから流れ出した音楽にストラルドは
さらに戸惑っていると、
放たれた光弾がストラルドの前で爆発した!
『滅亡しろ……仮面ライダー!』
勝負ありと、テンはサウザンドジャッカーを
肩に担いで高らかに嘲笑った
立ち込める土煙……ストラルドの姿は見えない
「そんな……ストラルドっ!!」
ショックを受け、ストラルドの名前を叫ぶカイリ
それに応えるかのように土煙から音が聞こえる
『クロス・オーバー!』『プログライズ!』
土煙の中からストラルドが出てきた
「………!!」
驚きながらも喜ぶカイリ
クロスの右側に“バッタのような蛍光イエロー”の
装甲が足されていく!
『飛び上……ライズ………ホッパー!』
仮面ライダークロス
クロスオーバーゼロワン
誕生の瞬間である!
"A jump to the……rider kick."
『その姿は……ゼロワン!?
お前飛電の仮面ライダーか!?』
右側の装甲を見て、驚きを隠せないテンに
ストラルドは冷静に返答する
「何度も言わせるな、俺はただの……海賊だ!」
右足で地面を蹴り、一瞬でテンに近づくと
そのまま腹部に一発蹴りを入れる
『うぅっ!?』
強化されたキックはテンを遠くまで吹っ飛ばす!
「ほら……立てるか?」
すぐさま倒れた隊員に肩を貸し、救出する
『あぁ……!図に乗るなよ人間風情が……!!』
瓦礫の山から出てきたテンは光弾を放つ
「掴まってろよ……っと!」
隊員を落とさないようにしつつ、
再び右足で地面を蹴ると、
一瞬でビルの屋上まで跳んだ
「ハハッ、脚のパワー半端なっ……」
とてつもない跳躍力に驚くストラルド
『逃げんじゃねぇ!』
テンはストラルドを追うように連続で光弾を放つ
「よっ!、ほっ!、はっ!、と……!」
それに対し、ストラルドも連続のジャンプで
倒れたもう1人の隊員を救出し、軽やかに避けた
「よっと………彼らを頼む」
着地するとまだ動ける隊員に
救助した隊員2人を渡す
これでようやくまともに戦える……
と思っていたら
「さぁて、ここからが………ん?」
突然右側の装甲にザザザッとノイズがはしる
「なんだ……?」
その瞬間をテンは見逃さない
『どうした!もう終わりか!!』
ハイエナのように高速で襲いかかり、
右腕の槍で何度も斬りつける
ストラルドはそれを避け、さっきのように
右足で蹴る……が、いまいち力が入らない!
まるで右側がストラルドを拒絶するかのように
段々とノイズが荒くなる
「おいおい……どうなってるんだ……!?」
状況が飲み込めないストラルド、
その間にテンは首から下げた
ドードーのゼツメライズキーの鎖を引きちぎり、
『ドードー!』
サウザンドジャッカーに装填した
“Progrise key confirmed. Ready to break.”
キーに内蔵されたデータイメージを読み取ると
槍全体に“赤い電撃”を纏わせ、
『カミナリ落としてやるぜ……!』
『HACKING BREAK !!』(©ZAIAエンタープライズ)
赤い閃光と共にストラルドを突き刺した
「ぐぁあああああっ!!」
轟く稲妻と爆発で吹っ飛ばされ
道路に倒れ込むストラルド、その衝撃でベルトからプログライズキーが弾き出され右側の装甲が
ノイズと共に散る
「くっ……」
身体を引きずりながらキーを手に取る
「な………キーが……!?」
拾い上げるとキーに描かれたバッタは
塵のように消え、空のキーだけが残ってしまった
『案外大したことねぇな、仮面ライダー?』
槍全体に赤い電流をバチバチと纏わせて、
テンはストラルドに近づく、トドメを刺す気だ
「………!!逃げて……逃げてストラルド!」
逃げるようカイリは叫ぶ、
だがダメージがひどいストラルドは
立つことさえ出来ない!
倒れたストラルドをテンは蹴飛ばし、踏みつける
「うぅ……ッ!!」
『革命のための“礎”となるがいい……!』
槍を構えるテン!
そのままストラルド目がけて、一直線に槍を…
『ショットライズ!』
『ぐっ………ぐあッ……!?』
テンは槍を振り下ろす前に銃撃を受ける
『ジャマばかり入りやがって今度は誰だ!!』
銃弾は弧を描き、戻っていく
駆けつけた刃が撃った銃弾であった
「“人工知能特別法違反”を確認」
『ラッシングチーター!』
戻ってきた銃弾はアーマーとなり装着される
撃ったのはA.I.M.S.の刃隊長であった!
「対象を破壊する!」
“Try to outrun this demon to get left in the dust”
(Cパートに続く……)
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