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第一章 目覚めた記憶
第30話 授業が面白いって素敵!
しおりを挟む黙っていればビスクドールのように美しい、婚約者のシリル様に待ち伏せされ、冒険者として活動する場合は同行すると強く約束させられてから早三日。
その間、学生らしく魔法学院の授業に出席したり、ヒロインの情報収集をしたりして充実した日々を過ごしていた。
何しろ、前世を思い出してからは特にだが、魔法関連の実践授業が楽しくて仕方がないというか、面白いのだ。
それはフレデリックも同じようで、二人してファンタジー要素満載の科目…… 魔法理論や魔術実践などを学べる魔法学や、薬草学、精霊学、錬金学を率先して取ってしまった。
その中でも、魔法学の授業は二人にとって衝撃的だった。
魔術の発動には色んな方法があり、一つじゃないことを始めて教わったのだ。
言葉にすることで発動しやすくなる人や、心の中で唱えるだけで出来てしまう人、魔方陣や杖などの道具を媒体にした方がいい人などがいて、どれもが正しくやりやすいほうで構わないとのこと。
魔法を形にする引き金には個性が出て当たり前という考えで、スムーズな魔力操作とイメージ力の方が大事だというのが面白かった。
「こんなの、専属教師は教えてくれなかったよね」
「そうですわね。私も型通りの呪文を唱えることを求められました」
でも確かにいざ実戦という時、声に出して攻撃魔法を唱えていたら、戦法が筒抜けだし有効打にならないだろう。
奇襲とかも完全に無理だし、焦って噛んだり噎せたりしたら失敗するし……。
私達貴族の場合は、前線に出て活躍することはまずなく、後方支援が主な任務だから、貴族家に招かれる家庭教師達は、効率よりも形式美を重んじるという貴族の子弟に必要な方法しか教えなかったのだろう。
早速ヴィヴィアンは、頭の中でどんな魔法がいいかイメージして発動してみた。
得意な属性は火なので、性質や強度等を想像してみた上で発動させてみたら、思いの外上手くいった。専属教師達との訓練は何だったのかと言う呆気なさだった。フレデリックも同じく呪文無しでの発動に成功し唖然としていた。
やはり、前世の科学知識を持っているため、具現化が容易くなったのかもしれない。
「何にしろ良かったよ。あの恥ずかしい中二病も真っ青の呪文を、二度と唱えなくとも良くなって」
「本当ですわね。記憶が戻ってからは気恥ずかしくて堪りませんでしたもの」
「分かりますっ。前は何とも思わなかったのですが、今の僕にはあの呪文ってキツイです。正気では言えません」
「分かりますわっ。ゲームとしてならよくても、ここは現実ですし無理ですわよね。恥ずかしさでその……燃え尽きそうでしたわ……」
「ええ、そうですよね。いやぁ、アレから解放されて本当に良かったっ」
王立学園にいては学べなかったであろう思わぬ副産物に、上機嫌の二人だったのでした。
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