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第一章 目覚めた記憶
第44話 第一候補?
しおりを挟む「メインの攻略対象である五人の他にも、ワンコキャラとか弟キャラとか、そういう人がいませんでした?」
「ええ、他にも癒しキャラとかお助けキャラとかもいたと思います」
「……そう言われるとうっすらと思い出せるような?」
「僕も何となくは覚えてはいるんですけど……ダメですね、個人名までは忘れてるんですよ」
「分かります。皆さん、やたらとキラキラしい西洋風のお名前で長かったですし、人数も多かったんですもの」
「そうですよねっ。僕、前世では、カタカナの名前を覚えるのが苦手で世界史とかダメだったんですよねぇ」
「分かりますわっ」
ヴィヴィアンも前世で同じく苦労した事を思い出す。
「それに妹は他にもいろんな乙女ゲームをプレイしていたので、余計にごっちゃになってしまっているんですよ」
「私の友人も一緒ですわ……どのタイトルも楽しそうに話してくれたんですが、私には皆、同じように見えてしまって……友人一押しの第二王子殿下以外は名前以外の部分も曖昧なんですの」
「興味がないとそんなものですよ。僕も一緒ですって」
そう言ってフレデリックも苦笑した。二人とも、この世界に転生するとわかっていたらもう少しちゃんと覚えておくんだったという思いをずっと持っているので、お互いの気持ちがよく分かる。ヴィヴィアンも思わず苦笑してしまった。
「……そういえばあのヒロインのヒューシャ男爵令嬢……チルチルとミチルみたいな名前の…… 何ておっしゃったかしら?」
「ルチル嬢ですよ」
「そうそう、そのルチルさんの狙いは分かりましたの?」
「影の報告では、おそらくですが第二王子殿下が一番の攻略候補なのではないかと」
「まあぁ、殿下を? よくあんなのと恋愛しようと思えますわよね。私には無理ですわ」
ヒロインさんは前世も平民で今世も元平民ですのに、本当に攻略なさるおつもりなのでしょうか?
「え……どうして? 殿下って格好よくないですか?」
「限度があります。あれでは眩しすぎますもの。お側にいると気が休まらないですわ」
「ああ、そういえば、何か無駄にキラキラ煌めいているよね、彼」
「ええ、ああいう方はそう……例えば前世のアイドルみたいに、一方的に恋心を捧げるようなのが丁度いいんです」
「成る程。そういうもんなんですね、何か分かります」
首を傾げてフンフンと頷くお顔が猛烈に可愛いなと思いながら、美少年のあざとい仕草を眺める。
前世を思い出してから、以前は何とも思わなかった攻略対象の顔を意識して見てみて、少し感動したのを覚えている。
例えるなら、実写化に完璧に成功したものを目の前に提示された感じだろうか……スチルにはない圧倒的な魅力は生身だと迫力があり過ぎた。
クリストファー殿下ほどではないにしても、フレデリックもシリルも時折ちょっとした仕草に匂い立つような色気を帯びることもあり、油断していると赤面しそうになる。成人前後の子どもだとは思えないほどである。
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