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第一章 目覚めた記憶
第46話 そろそろ試してみましょうか
しおりを挟む「その間にそろそろこちらも、精霊契約を試してみませんか?」
「いいですわね……って、ああぁぁぁぁぁっ!?」
マズいことを思い出しましたわ……いえ、思い出さなかったらそれはそれでマズいので思い出してよかったのですけれど……。
「ど、どうしたんです!?」
突然、淑女らしからぬ奇声をあげてしまったせいで、フレデリック様を驚かせてしまいました。
申し訳ないですが、でもちょうどいいですわ。例の件が、冒険者ギルドの初依頼を受けた馬車の中で断り損ねた時から、全く進展がないということをお伝えしませんとっ。
「あの、実はですね……まだシリル様の転校を阻止できておりませんの」
「あぁ、なんだ。うん、もう無理だと思いますよ?」
それを聞いたフレデリックはあっさりと言い切った。
「……え?」
「いや、あれだけヴィヴィアン嬢がその話を切りだそうとする度に、邪魔をしている彼をみたら分かりますって。シリル様は絶対諦めないと僕は思います」
「……そう、でしょうか?」
「ええ。ここは潔く覚悟を決めませんか」
「……と言いますと?」
「つまり、シリル様に頭が変だと思われてもいいですから、今からでもこちら事情を一部分だけ説明して、協力してもらいましょう」
「ううっ……もう、それしかないですわよね」
「はい。むしろこの一ヶ月間、よく頑張ったと思いますよ?」
「わ、分かりました。私も覚悟を決めますわっ」
「頑張ってっ。僕も援護射撃をしますから。とりあえず、前世を覚えているとかこの世界が乙女ゲームに類似しているとか情報は無しの方向でいきましょう。予知夢を視た、ということにすればまだセーフですよね」
「ええ。そうして偶然、二人共に同じ予知夢を視たと気づいて保身の為に転校した……ということにすれば?」
「いいと思います。僕もそれで影を説得できましたし」
「私もアリス達にそうやって説明しましたわ。シリル様相手でも、たぶん大丈夫ですわよね?」
「うん。この世界は魔法もあるし、神託とかもあるし……占いで未来視とかも普通にするから、後は僕達が挙動不審にならずにスマートに説明できれば、ちょっと変人扱いされるだけで乗り越えられる……んじゃないかなぁ?」
「変人扱い……」
グサグサと心にダメージが入るが命には変えられないし、多少のリスクは仕方ないと割りきることにした。
「そうですわね。素直に納得してはいただけないでしょうし難しいと思いますけれど、それが一番いいですわね……」
「……やっぱり、彼の追及に答えられるように練習しときましょうか?」
「……そうしましょう。彼相手にぶっつけ本番は危険ですわ」
「ですよね。では、いつシリル様に突っ込んで聞かれてもいいように準備しておいて、近々、頃合いを見て話すと言うことで……」
「賛成ですわ」
と言うわけで、少し未来を視ただけだよ、嘘ついてないよ本当だよ……ということが真実に見えるような練習もしておくことにした。
シリルへの説得は正直なところ手詰まり感が半端なかったし、騙し通すには覚悟が足りずに良心がチクチク痛かった。こうして一部とは言え、真実を打ち明けざる状況になってしまったことに、どこかホッとしたヴィヴィアンだった。
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