悪役令嬢だと気づいたので、破滅エンドの回避に入りたいと思います!

飛鳥井 真理

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第一章 目覚めた記憶

第50話 毛玉との交流 前編

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 楽しげに交流をする姿を横目で見ながら、ヴィヴィアンも期待を込めて周りに飛び交う精霊達を見つめていると……。

 ――様子を伺っていた一体が、フワンッと彼女の近くまで来てくれた!

 薄いピンク色をしているので火属性の精霊のようだ。 やはり興味を持ってくれるのは、ヴィヴィアンの得意な属性と同じ毛玉なのか……。
 ポヨポヨと彼女の周りを漂い、近づいたり離れたりしている。そのするとからは、好みを見定めているようも感じる。

 完全に離れていかないということは、少なくとも嫌われてはいないのだろう。そう判断して、そっと手を差し伸べてみた。



 ドキドキしながら辛抱強く待っていると、やがて差し出された掌の上にフワンッと乗ってきてくれた。

 精霊には個体差があり、色が濃いほど強い。火属性の上位精霊なら深い赤色を持つはずなので、彼女側に来てくれたのはかなり弱い下位の精霊だった。

 ――それでもヴィヴィアンは嬉しかった。

 彼女の幸運値の低さなら、まず精霊が可視化できない可能性があったし、こんな風に掌の上にちょこんと乗ってくれるなんて……触れ合える確率なんて低いと思っていたからだ。

 きっと、一緒にいるフレデリックの幸運値がいい仕事をしてくれたんだと思う。
 さすが、ヒロインに愛される予定の攻略対象……悪役令嬢の不運を吹き飛ばすほどだとは、チートである。



 しばらく経っても逃げなかったので、今度は自分の魔力を譲渡してみることにした。魔力操作は幼い頃から訓練しているので得意だ。
 これは餌付けのようなもので、精霊と仲良くなるための第一歩なのである。

 逸る気持ちを抑えながらピンク色の毛玉に向かって、驚かせないようにそおっと、細く絞った魔力を流し込んでみると……。

 ――微かに、吸いとられていくのが分かった。

 精霊達は本来、活動に必要なエネルギーを大気に含まれる魔素から直接摂取することでまかなっている。
 なので、こうして人から直接、魔力を分け与えられることを望まない。

 しかし、その魔素よりも自分の属性の魔力を直接もらう方が力になるし、美味しく感じるらしいのだ。
 森の中に溢れているのは、土、風、水に満ちた大気で、火属性の精霊達には、あまり魅力的ではない。
 火の濃い魔素が含まれていないからだ。その為、ヴィヴィアンの魔力に引かれたのだろう。

 あまり長い間、同属性の魔力が供給されないと、形が保てずそのまま大気中に溶けて消えてしまうこともあると、精霊学の授業でも習っていたので、もしかしたらと淡い期待を持っていたのだが。


 ――どうやら、ここまでは上手く行っているようだ。




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