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第11話 生まれる前からチートらしい
しおりを挟む「……まあ、いいでしょう。絶対数が少ないですし、全部が間違いという訳でもありませんしね。聖獣とは、魔物等の悪しきものから人々を守る為に、神から遣わされた慈悲だと伝わっています。聖獣の卵からは、すべからく膨大な力をもった様々な種類の聖獣が生まれてくる。ここまでは一般的によく知られていますよね?」
「うん、そうだな」
「過去に生存が確認されているものの中で有名なのは、ドラゴンやフェンリル、ユニコーンやグリフォンなどですね。通常の生物を逸脱したような、絶対的で強力な能力を持つ存在が多いんです」
――マジでか。
このちっこい卵からそんなもんが生まれてくんの!?
ちょっとだけ楽しみになってきたんですけどっ。
それ以外に、神殿に伝わっている情報も話してくれた。
どうやら聖獣の力は、直接魔物をなぎ倒す為の攻撃的な力と言うよりは、その元となる瘴気を浄化することに特化しているらしい。
そこにいるだけで大量の瘴気を一気に体内に取り込み、人にとって無害で有益な魔素に変換する事が可能なんだとか。
成る程、つまりめちゃくちゃ高性能な空気清浄機みたいなもんか……。
それと、発見数が少ない為全ての個体に当てはまるか分からないが、卵の状態からでも、既に聖なる力を使えるらしい。
――なにそのチート。生まれる前からそれって凄すぎないか!?
じゃあ、そんなすごい聖獣様にくっつかれている俺にも、何か隠された力があったりするのかっ?
聖獣を育てられるほどの膨大な魔力がある事は確定している訳だし?
俺無双とか出来ちゃう?
うおぉぉっ、何かワクワクしてきたぞっ。
「おほん。で、俺には魔力があるんですよね。練習すれば、魔法が使えるようになるんですか?」
「……それが、確かに魔力はあるのですが、暫くはあまり使えないかと思います」
なんですと!?
「そ、それは何故ですか?」
「貴方の魔力は、まず第一に聖獣を育てるのに使われるからです。卵が羽化するまで、生命維持に必要な魔力以外は全て、吸収されるでしょう」
「マジでか」
おぅ、俺の野望は即効で終了してしまった……。
ラノベのように、転移して異世界で俺無双は無理らしいよ!
「でも大丈夫です。その間は卵が貴方を守るでしょう。ケイイチの主な役割は戦うことではなく、聖獣が闇堕ちしないように愛情をかけて育ててあげることですね」
「はぁ……愛情を」
「はい。これは推測ですが、あなた一人が異界渡りをしたのにも聖獣の卵が関係しているはずです。生まれるためには膨大な魔力が必要となりますので、波長の合うものを求め、ついには異界まで呼びかけたんでしょう。ケイイチは聖獣の半身として選ばれたんですよ」
「半身、ですか?」
……なんだかまた知らない単語が出てきたぞ。
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