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第14話 魔導回路
しおりを挟む「その上、今はそうしてあなたの魔力を吸って順調に成長している卵ですが、じきに魔力不足になる可能性がありまして……。そうなると、二人とも共倒れで、最悪は死を迎えてしまう危険性があります」
「共倒れで死ぬ」
「ええ。一度回線がつながると、聖獣とその半身は一生涯、引き剥がせませんので」
「ずっと一緒」
「はい。聖獣と魔導回路が繋がったという事は、命を共有するということになるんですが……あの、大丈夫ですか?」
「いやちょっとあまりの衝撃とファンタジー感についていけなくてですね。頭がパンクしそうになっているんですよ、ははははは……」
大体、百年とか千年とかの寿命って何だよ!?
魂の半身とも呼べる聖獣を生死を共にするって、そこまでの事だったのか?
それに異世界に来て、こんなにすぐ死亡フラグが立つとも思わなかったし!?
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫かどうかと言われると全然大丈夫じゃないですけれども、とりあえず大丈夫です」
「無理すんなよ、ケイイチ。いきなり色々言われて大変だろうけど、出来るだけ俺達も力になるからさ」
「ありがとう、アルフレッド」
リア充だしちょいちょい腹立つけど、基本、いい奴なんだよな。
「それじゃあ早速ですが、お聞きたいことがいくつかあります。聖獣と一緒に生きる為に俺はどうするべきか、最善は何かを……ご存知でしたら是非、教えていただきたいのですが……」
「はい、勿論です。そうですね……今、一番大事なのは、あなたの魔力が足りなくなる前に、精霊樹の元に向かうことかと思われます」
「精霊樹、ですか?」
おおっ。又々、ファンタジー臭漂うものが出てきちゃいましたよ、これ。
――俺、最後まで話についていけるかな……ものすごく不安だ。
そんな気持ちは顔に出ていたようで、敏感に感じ取った神官さんが異世界人の俺にでも分かりやすいようにと、詳しく説明してくれた。
何でも精霊樹というのは、聖獣にとって成長する上で欠かせないといわれるほど、とても重要な樹らしい。
聖素と呼ばれる、聖獣が成長するのに必要な聖なる魔力に満ちた力を常に放出しており、そこでならば十分、卵が孵るのに必要な栄養素が摂れるんだとか。
その上、近くにいれば魔導回路を通じて圭一の魔力を摂取し過ぎるのを抑制することも可能になる。
何故なら聖素は、聖獣の半身である圭一にも吸収でき、それを自身の魔力に変えられるからなのだという。つまり、共倒れになるのを防げるのだ。
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