103 / 154
第105話世界ラーメンサミットを守れ!美月と“麺の盾”の決意
しおりを挟む
王都・美月の屋敷地下にて――
臨時対策本部《薬膳世界平和促進対策本部》、通称“麺の盾”の初会合が行われていた。
「皆さん、集まってくれてありがとう。これから、ラーメンの平和を守るための……」
「なんだか、冒険者ギルドの討伐依頼みたいな始まりですわね」
クラリーチェが楽しそうにメモをとりながら口を挟む。
「でも重要なのは、ラーメンで世界を笑顔にする活動が、いま脅かされてるってこと」
リリアーナは真顔だ。珍しく冗談の一つもない。
「私が皆さんにお願いしたいのは、ラーメン外交の安全確保。そして、笑顔を壊そうとする者たちに“ラーメンの正義”を伝えることです」
「“ラーメンの正義”ってなんですか!?」
一瞬、室内にいた者たちが同時に振り返った。
そこにいたのは――
「遅れてすみませんっ!」
ひょこっと顔を出したのは、元冒険者の剣士・マルオだった。現在は「美月薬膳拉麺・西方支店」の副店長。
「呼ばれてもないのに来たのか」
ギルド長がため息をつく。
「だって、ラーメンと平和のためでしょ!? 僕が一肌脱がないでどうするんですか!」
「すばらしい熱意です!」
クラリーチェが拍手。
「人選、今からでも変更しますか……」
リリアーナの冷ややかな目。
________________________________________
◆それぞれの決意
「私たち、遊びでラーメン作ってたわけじゃないのよ」
美月の声は、いつになく静かだった。
「塩分ひとつ、香りひとつにも、人の体と心が込められてる。戦争で壊れる日常を、ラーメンで取り戻したいって……ずっと思ってた」
「美月さま……」
クラリーチェがそっと手を握る。
「だから私は、どんなに危険があっても、ラーメンをやめない」
「うむ、良い表情だ」
ギルド長がうなずき、腕組みをする。
「それでこそ、美月。王様も、ギルドも、学院も、お前が必要だ。だからこそ、私たちが守る。体力は限界でも、信念は折らせない」
________________________________________
◆そして、敵の策略――
だが、そんな矢先。
「報告です! 東方エリアのラーメン支店、食中毒疑惑の噂が流れています!」
「ありえない! 材料も衛生も徹底管理してるはず!」
「これは……ギルドの仕業かもしれません」
リリアーナがすぐに状況を整理し、手を振る。
「クラリーチェ、情報拡散を抑えるため、王国の報道関係に動いて。ギルド長は衛兵と連携、現地に“信頼できる検査官”を!」
「うわー、なんだか……戦争してるみたいですね」
マルオがぽつりと漏らした。
「戦争よ。ラーメンで人を救おうとする者と、武器で人を支配しようとする者の――」
美月の言葉に、一同が静かにうなずいた。
臨時対策本部《薬膳世界平和促進対策本部》、通称“麺の盾”の初会合が行われていた。
「皆さん、集まってくれてありがとう。これから、ラーメンの平和を守るための……」
「なんだか、冒険者ギルドの討伐依頼みたいな始まりですわね」
クラリーチェが楽しそうにメモをとりながら口を挟む。
「でも重要なのは、ラーメンで世界を笑顔にする活動が、いま脅かされてるってこと」
リリアーナは真顔だ。珍しく冗談の一つもない。
「私が皆さんにお願いしたいのは、ラーメン外交の安全確保。そして、笑顔を壊そうとする者たちに“ラーメンの正義”を伝えることです」
「“ラーメンの正義”ってなんですか!?」
一瞬、室内にいた者たちが同時に振り返った。
そこにいたのは――
「遅れてすみませんっ!」
ひょこっと顔を出したのは、元冒険者の剣士・マルオだった。現在は「美月薬膳拉麺・西方支店」の副店長。
「呼ばれてもないのに来たのか」
ギルド長がため息をつく。
「だって、ラーメンと平和のためでしょ!? 僕が一肌脱がないでどうするんですか!」
「すばらしい熱意です!」
クラリーチェが拍手。
「人選、今からでも変更しますか……」
リリアーナの冷ややかな目。
________________________________________
◆それぞれの決意
「私たち、遊びでラーメン作ってたわけじゃないのよ」
美月の声は、いつになく静かだった。
「塩分ひとつ、香りひとつにも、人の体と心が込められてる。戦争で壊れる日常を、ラーメンで取り戻したいって……ずっと思ってた」
「美月さま……」
クラリーチェがそっと手を握る。
「だから私は、どんなに危険があっても、ラーメンをやめない」
「うむ、良い表情だ」
ギルド長がうなずき、腕組みをする。
「それでこそ、美月。王様も、ギルドも、学院も、お前が必要だ。だからこそ、私たちが守る。体力は限界でも、信念は折らせない」
________________________________________
◆そして、敵の策略――
だが、そんな矢先。
「報告です! 東方エリアのラーメン支店、食中毒疑惑の噂が流れています!」
「ありえない! 材料も衛生も徹底管理してるはず!」
「これは……ギルドの仕業かもしれません」
リリアーナがすぐに状況を整理し、手を振る。
「クラリーチェ、情報拡散を抑えるため、王国の報道関係に動いて。ギルド長は衛兵と連携、現地に“信頼できる検査官”を!」
「うわー、なんだか……戦争してるみたいですね」
マルオがぽつりと漏らした。
「戦争よ。ラーメンで人を救おうとする者と、武器で人を支配しようとする者の――」
美月の言葉に、一同が静かにうなずいた。
0
あなたにおすすめの小説
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
異世界でも保育士やってます~転生先に希望条件が反映されてないんですが!?~
こじまき
ファンタジー
【読んでいただいて♡いただいて、ありがとうございます。王城編準備中のため、12月12日からしばらく更新お休みします。考えてた構成が「やっぱなんか違う」ってなり、慌てております…汗】
「こんな転生先だなんて聞いてないっ!」六年間付き合った彼氏に婚約を解消され、傷心のまま交通事故で亡くなった保育士・サチ。異世界転生するにあたり創造神に「能力はチートで、広い家で優しい旦那様と子だくさんの家庭を築きたい」とリクエストする。「任せといて!」と言われたから安心して異世界で目を覚ましたものの、そこはド田舎の山小屋。周囲は過疎高齢化していて結婚適齢期の男性なんていもしないし、チートな魔法も使えそうにない。創造神を恨みつつマニュアル通り街に出ると、そこで「魔力持ち」として忌み嫌われる子どもたちとの出会いが。「子どもには安心して楽しく過ごせる場所が必要」が信条のサチは、彼らを小屋に連れ帰ることを決め、異世界で保育士兼りんご農家生活を始める。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる