1 / 12
プロローグ:女、美魔女、カレーに生きる。
しおりを挟む
「……また出ちゃったわね、週刊フード業界誌の表紙」
開いたタブレットに映るのは、白衣姿の主人公・葛城紗季(かつらぎさき)。見目麗しい黒髪に、知性の宿る切れ長の瞳。手には、ゴロゴロ野菜のスープカレー。
『“美魔女”研究員、今年もヒット連発!』
「だからその呼び方、やめてって言ってるのに……」
職場は都心の一等地にある大手食品メーカー。入社以来、紗季はカレーの企画開発で数々のヒットを飛ばしてきた。グルテンフリーカレー、スパイス薬膳カレー、糖質オフキーマカレー、冷凍レトルトカレー革命……。名前を聞けば、コンビニの棚で見たことのある商品ばかり。
だが、名声とは裏腹に、彼女の「恋の棚」はずっと空っぽだった。
「……君ほどの美人がなぜ彼氏がいないのか、本当に謎だよ」
「お褒めに預かり光栄ですが、それ、褒めてませんよね?」
「いやいやいや、これは俺の正直な気持ち。俺なんてどう?ベンチャー3社上場させてるし」
「すみません、セロリ食べられない人は無理なんです」
笑顔で断る。さりげなく、きっぱりと。
言い寄ってくるのは、決まって【キラキラ系ハイスペナルシスト】か【オラオラ社長】。なぜか“こいつには俺がふさわしい”と確信してる男たちばかり。
一方で、彼女が魅かれるのは、古書店でレシピ本を立ち読みしていそうな、眼鏡の地味系男子。しかし、声をかければ
「すみません、ぼ、ぼく彼女いるんで!」
「これ……ドッキリじゃないですよね?カメラどこですか?」
「どこかの宗教か……スカウトですか?」
――恋の第一歩すら踏み出せないまま、36歳。周囲は「完璧すぎるがゆえに男が近寄れない女」と呼んだ。
開いたタブレットに映るのは、白衣姿の主人公・葛城紗季(かつらぎさき)。見目麗しい黒髪に、知性の宿る切れ長の瞳。手には、ゴロゴロ野菜のスープカレー。
『“美魔女”研究員、今年もヒット連発!』
「だからその呼び方、やめてって言ってるのに……」
職場は都心の一等地にある大手食品メーカー。入社以来、紗季はカレーの企画開発で数々のヒットを飛ばしてきた。グルテンフリーカレー、スパイス薬膳カレー、糖質オフキーマカレー、冷凍レトルトカレー革命……。名前を聞けば、コンビニの棚で見たことのある商品ばかり。
だが、名声とは裏腹に、彼女の「恋の棚」はずっと空っぽだった。
「……君ほどの美人がなぜ彼氏がいないのか、本当に謎だよ」
「お褒めに預かり光栄ですが、それ、褒めてませんよね?」
「いやいやいや、これは俺の正直な気持ち。俺なんてどう?ベンチャー3社上場させてるし」
「すみません、セロリ食べられない人は無理なんです」
笑顔で断る。さりげなく、きっぱりと。
言い寄ってくるのは、決まって【キラキラ系ハイスペナルシスト】か【オラオラ社長】。なぜか“こいつには俺がふさわしい”と確信してる男たちばかり。
一方で、彼女が魅かれるのは、古書店でレシピ本を立ち読みしていそうな、眼鏡の地味系男子。しかし、声をかければ
「すみません、ぼ、ぼく彼女いるんで!」
「これ……ドッキリじゃないですよね?カメラどこですか?」
「どこかの宗教か……スカウトですか?」
――恋の第一歩すら踏み出せないまま、36歳。周囲は「完璧すぎるがゆえに男が近寄れない女」と呼んだ。
0
あなたにおすすめの小説
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が
和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」
エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。
けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。
「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」
「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」
──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される
さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。
慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。
だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。
「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」
そう言って真剣な瞳で求婚してきて!?
王妃も兄王子たちも立ちはだかる。
「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる