劇団25分 ― 25分で人生を変える、彼女の物語

谷川 雅

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6.劇団25分 ― 脚本班の始動

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会議室の片隅、脚本班の机。
リーダーの石田がノートパソコンを広げ、画面には「友情」をテーマにしたアイデアメモがずらりと並んでいた。
「さて……いよいよプロット作りだな」
石田は眼鏡を押し上げ、意気込む。
吉村がホワイトボードのマーカーを手に取った。
「友情っていっても幅広いですよね。学生の友情? 社会人の友情? それとも子どもと大人の友情とか?」
「観客層が幅広いから、できれば年齢を問わず共感できるものがいい」
石田が答えると、他の班員たちも次々に口を開く。
「子どもの頃からの友達が大人になってすれ違う……とか」
「地方で再会する物語も面白いかも」
「映像パートで仲違いして、舞台で和解する。構造はそれで決まりじゃない?」
________________________________________
吉村がホワイトボードに大きく書き出した。
前編(映像25分):
• 幼なじみ二人が大人になり、再会する。
• ある誤解や過去のすれ違いから激しく対立。
• 観客に「この二人はもう修復できないのでは?」と思わせる。
後編(舞台25分):
• 舞台上で直接ぶつかり合う二人。
• 最後に“生”の演技で絆を取り戻す。
• 観客の前で抱擁、あるいは手を取り合うシーンで締める。
________________________________________
「……いいね。王道だけど、王道だからこそ強い」
石田が頷く。
吉村が補足する。
「ただ、和解の理由が薄いと安っぽくなります。何か“共通の夢”とか“守るべきもの”を入れませんか?」
「例えば?」
「子どもの頃に一緒に描いた未来の夢。あるいは二人だけの秘密場所。そこに戻ることで絆がよみがえる、みたいな」
「それいいな!」
篠原(演出班)も思わず前のめりになった。
「舞台上に“秘密の場所”を再現したら、観客も感情移入できる。映像ではその片鱗だけを見せて、舞台で全貌を出すんだ」
________________________________________
石田がパソコンに打ち込みながら、声を整えた。
「じゃあ、最初のプロットはこうだ」
1. 導入(映像):地方の町。幼なじみ二人が偶然再会。
2. 対立(映像):昔の夢や約束をめぐって口論、決裂。
3. 葛藤(舞台):観客の前で生の対話。怒りと後悔が交錯する。
4. 和解(舞台):秘密の場所で再び向き合い、友情を取り戻す。
吉村が最後に一行、ホワイトボードに書き添える。
タイトル案:「25分の約束」
________________________________________
一同の視線が、その言葉に吸い寄せられた。
「……シンプルでいいな」
「わかりやすいし、“劇団25分”の名前にも合ってる」
会議室に小さな拍手が広がった。
石田は深く息を吐き、にやりと笑う。
「よし。これが俺たちの第一作の骨格だ」
その瞬間、“友情”というテーマが、ただの言葉から物語へと姿を変えた。
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