劇団25分 ― 25分で人生を変える、彼女の物語

谷川 雅

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8.劇団25分 ― 広報班の挑戦

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会社の小さな会議室。
テーブルにはノートPCとカラフルなマーカー、ポスターのラフスケッチが散らばっている。
広報班リーダーの田村が勢いよくホワイトボードに文字を書き殴った。
「よし、テーマは“スクリーンから舞台へ”! これをどうキャッチコピーに落とし込むかだ」
藤井(デザイン担当)がラフを広げる。
「ポスターのイメージは、映画館のスクリーンに人物の影が映ってて、その影が観客席に飛び出して舞台に立つ……そんなビジュアルを考えてみた」
「おお、いいじゃん! まさに物語が飛び出す感じだ」
田村が指を鳴らす。
________________________________________
「キャッチコピーはどうします?」
制作の美咲が問いかける。
田村がチョークを握り直し、候補をいくつか並べた。
• 「スクリーンの先に、まだ物語がある」
• 「25分で途切れた物語が、舞台で動き出す」
• 「映画館の扉を開ければ、物語の続きが待っている」
「うーん、どれも悪くないけど、もう少し直感的なインパクトが欲しいな」
藤井が首を傾げる。
「じゃあこういうのは?」
田村が新たに書き加える。
• 「スクリーンから、あなたの目の前へ」
会議室が一瞬静まり返った。
「……それだ!」
結衣が思わず声を上げる。
「観客が体験することを、そのまま言葉にしてる。シンプルで強い」
「うん、SNSで流すときも使いやすい。ハッシュタグ化もできるし」
美咲も頷く。
________________________________________
藤井がラフをめくりながら提案する。
「ビジュアルは暗闇の映画館にスポットライト。スクリーンから役者が扉を開けて出てくる瞬間を描きたい。観客席から見上げてる構図にすれば臨場感も出る」
「いいね、それにキャッチコピーを大きく載せよう。“スクリーンから、あなたの目の前へ”。フォントは太めで、観客の心をつかむ感じで」
田村は熱を込める。
「映像と舞台の融合を宣伝するには、一目でわかる“体験型”の雰囲気を出したい。『見に行こうかな』じゃなくて、『体験したい!』と思わせるコピーにする」
結衣は少し緊張した面持ちで、そのラフを見つめた。
(……このポスターを見て、本当にお客さんが足を運んでくれるんだろうか。もしそうなったら……舞台に立つ私の姿も、その目に焼き付けられる)
胸の奥で鼓動が高鳴る。
________________________________________
「よし、これで行こう!」
田村がホワイトボードに赤丸を描いた。
• ポスターキャッチコピー:
「スクリーンから、あなたの目の前へ」
歓声と拍手が広報班に広がった。
こうして“劇団25分”初公演の顔となるビジュアルが、少しずつ現実味を帯びて形になっていった。
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