60 / 77
第59話 アラベル、メイド卒業。
しおりを挟む
いよいよイベント日当日となった。
今日は二号店を臨時休業とし、本店で卒業イベントが行われる。
アラベルがピンクの黒のフリルが付いたドレスを着てお店に来た。
「おはようございます。これ、凄く可愛いですね」
「おはよう。うん、よく似合っているよ」
「ありがとうございます」
今日はアラベルの最後のお給仕ということで、朝から行列ができていた。
「アラベルちゃん、メイドさん辞めちゃうの?」
「うん、そうなの。ちょっと、王都を離れることになってね」
「そっかぁ。それは寂しくなるな」
アラベルを推していたご主人様方は残念だろう。
「じゃあ、最後にアラベルちゃんのオリジナルカクテルをお願いしようかな」
「本当ですか! ありがとうございます」
アラベルはその注文を取ると、嬉しそうにカクテルを作り始めた。
「はい、お待たせいたしました。卒業記念カクテルです」
「おお、ありがとう」
ご主人様はオリジナルカクテルを一口飲んだ。
「うん、これ、凄くおいしいよ」
「それはよかったです」
その後もご主人様方が途絶えることは無かった。
なんとか回して、閉店の時間が近づいた。
「よし、これで最後のお客さんだね」
「そうですね」
御影たちは最後のご主人さまがご出発なさるのを見届けた。
「今日もお疲れ様」
御影は外の看板をcloseにしてからアラベルたちメイドさんに言った。
「「「お疲れ様でした」」」
こうして、アラベルの最終お給仕は幕を閉じようとしていた。
「最後に、アラベルからひと言お願いしてもいいかな」
「はい、わかりました」
御影に促されてアラベルが一歩前へと出た。
「えー、皆さん、急な話になってしまってごめんなさい。短い間でしたが、皆さんと一緒にお給仕できたこと、遊びに行けたこと、友達ができたこと、凄く嬉しかったです。また、王都に戻ってきた時は遊んでください」
そう言ってアラベルがペコリと頭を下げた。
「もちろんよ」
「私たちも楽しかったです」
「また、一緒にカフェ巡りしたいです」
皆、それぞれアラベルへの想いを語った。
「御影さんも、こんな私をここで働かせてくれたこと、感謝しています」
「おおよ、またいつでも戻ってきていいからな」
そう言って微笑んだ。
「あ、それと、これが今月分のお給料ね。お疲れ様」
「ありがとうございます」
そして、それぞれが帰路に就いた。
あれから一週間が経過した。
アラベルが王都を離れる当日である。
「アラベルー!!」
御影は杏とクラリスと共に、アラベルの家の前に来ていた。
「あ、御影さん、来てくれたんですね」
「うん、見送りくらいさせてよ」
すると、家の中からアラベルの父親と母親が出てきた。
「これは、賢者様、娘が大変お世話になったようで。ありがとうございました」
夫婦そろって頭を下げた。
「いえ、こちらこそですよ。どうか、頭を上げてください」
その言葉で夫婦は頭を上げた。
「元気でね」
「また会いましょ」
杏とクラリスがアラベルの手を取った。
「皆さんもお元気で」
「おう、またな」
こうして、アラベルは王都から離れて行った。
今日は二号店を臨時休業とし、本店で卒業イベントが行われる。
アラベルがピンクの黒のフリルが付いたドレスを着てお店に来た。
「おはようございます。これ、凄く可愛いですね」
「おはよう。うん、よく似合っているよ」
「ありがとうございます」
今日はアラベルの最後のお給仕ということで、朝から行列ができていた。
「アラベルちゃん、メイドさん辞めちゃうの?」
「うん、そうなの。ちょっと、王都を離れることになってね」
「そっかぁ。それは寂しくなるな」
アラベルを推していたご主人様方は残念だろう。
「じゃあ、最後にアラベルちゃんのオリジナルカクテルをお願いしようかな」
「本当ですか! ありがとうございます」
アラベルはその注文を取ると、嬉しそうにカクテルを作り始めた。
「はい、お待たせいたしました。卒業記念カクテルです」
「おお、ありがとう」
ご主人様はオリジナルカクテルを一口飲んだ。
「うん、これ、凄くおいしいよ」
「それはよかったです」
その後もご主人様方が途絶えることは無かった。
なんとか回して、閉店の時間が近づいた。
「よし、これで最後のお客さんだね」
「そうですね」
御影たちは最後のご主人さまがご出発なさるのを見届けた。
「今日もお疲れ様」
御影は外の看板をcloseにしてからアラベルたちメイドさんに言った。
「「「お疲れ様でした」」」
こうして、アラベルの最終お給仕は幕を閉じようとしていた。
「最後に、アラベルからひと言お願いしてもいいかな」
「はい、わかりました」
御影に促されてアラベルが一歩前へと出た。
「えー、皆さん、急な話になってしまってごめんなさい。短い間でしたが、皆さんと一緒にお給仕できたこと、遊びに行けたこと、友達ができたこと、凄く嬉しかったです。また、王都に戻ってきた時は遊んでください」
そう言ってアラベルがペコリと頭を下げた。
「もちろんよ」
「私たちも楽しかったです」
「また、一緒にカフェ巡りしたいです」
皆、それぞれアラベルへの想いを語った。
「御影さんも、こんな私をここで働かせてくれたこと、感謝しています」
「おおよ、またいつでも戻ってきていいからな」
そう言って微笑んだ。
「あ、それと、これが今月分のお給料ね。お疲れ様」
「ありがとうございます」
そして、それぞれが帰路に就いた。
あれから一週間が経過した。
アラベルが王都を離れる当日である。
「アラベルー!!」
御影は杏とクラリスと共に、アラベルの家の前に来ていた。
「あ、御影さん、来てくれたんですね」
「うん、見送りくらいさせてよ」
すると、家の中からアラベルの父親と母親が出てきた。
「これは、賢者様、娘が大変お世話になったようで。ありがとうございました」
夫婦そろって頭を下げた。
「いえ、こちらこそですよ。どうか、頭を上げてください」
その言葉で夫婦は頭を上げた。
「元気でね」
「また会いましょ」
杏とクラリスがアラベルの手を取った。
「皆さんもお元気で」
「おう、またな」
こうして、アラベルは王都から離れて行った。
0
あなたにおすすめの小説
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』
公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル!
書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。
旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください!
===あらすじ===
異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。
しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。
だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに!
神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、
双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。
トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる!
※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい
※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております
※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。
日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。
両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日――
「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」
女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。
目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。
作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。
けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。
――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。
誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。
そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。
ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。
癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる