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真夜中の真っ暗な海。
全てが吸い込まれそうな程広く深い闇。
このビーチは夏季の長期休暇時は人でごった返すが時期も時期なので人はいない。その上、今は草木も眠る丑三つ時。出歩く者もごく少数の現在、波が静かに打ち寄せる。
ザパァッ……
その暗い海から突如人影が立ち上がり、砂浜に向かって歩いてきた。頭には不思議なファスナーのついたニット帽を被り、上半身裸だがズボンは履いている。ビチャビチャになって軍靴も歩くたびにグジュグジュ音が鳴る。濡れた体に吹き付ける夜風は冷たいはずだが、平気な顔でひたすら歩く。
ふと音楽と笑い声が聞こえた。そちらに目をやると駐車場と思われる場所で何人かが屯って騒いでいる。それをしばらく眺めておもむろにそこに向かって歩き出した。
駐車場の様子が見え始めると軽快でノリノリな曲が段々大きく聞こえ、ガタイの良い男たちが良い女を連れてスポーツカーや大型のバイクなどを向かい合わせに、互いの車種を自慢しあっているように見えた。こんな時間にギャーギャー騒いではた迷惑な連中だ。海から上がった男はニヤリと笑うと談笑している輩たちの下へと近づく。
「はっはっはっは!んでよー……。あん?」
髭もじゃで身長の高い男はこちらに歩いてくる上半身裸の男を見て訝し気に顔を歪めた。その顔に気付いた仲間連中も全員がそちらに振り向いた。
「……んだありゃ?」
とにかく不気味だ。ただひたすら歩いてくる。何かのホラー映画の1シーンのようだ。男たちは自分たちの持つ得物を確認する。ナイフやマグナム、グロック拳銃など様々。
「ちょっと何するつもり……!?」
それを見た女は男たちが歩いてくる変人を襲おうとしているように見えた。「うっせ!」と女の制止を振り切る。ゴツいトラックが鳴らしていた音を少し下げて、歩いてくる男の様子を見た。
「よう兄ちゃん。そこで止まんな」
この中で一番ガタイが良く、顔にもタトゥーを入れている気合の入った男が声をかけた。海水に濡れた男はピタリと止まるとタトゥー男を眺める。
「おいおい、こんな時間に海水浴かぁ?寒くねぇのかよ?」
キャップにフードを被り、ジャラジャラと金のネックレスを下げた小男が音楽を下げなくても声が通りそうな程のキンキン声で話しかける。
「……服を失くしたんだ」
「へーそうかい。それで?何でこっちに歩いてきた?」
スキンヘッドの男はこんな暗がりだというのにサングラスをかけて睨む。車は自分たちのだけだしバイクもない。駐車場は公道から離れた端っこにあるし、こっちに来るのは不自然であると言える。
「……余っている服は無いか?譲ってくれるとありがたいが……」
「あるわけねーだろバーカ!あってもやらねーけど」
キンキン声ですぐさま拒否する。
「そうか……残念だ……」
踵を返そうとするとどこからか女の声が聞こえた。
「ちょっと、何引き返そうとしてんのよ。こいつらの一人から取るつもりで近付いたんでしょ。とっとと殴って取り上げなさいよ」
その声に他に仲間がいるのだと男たちも女たちも探す。しかし、見る限り男は一人だけだ。
「……ああ、まぁ……絡んでくれるかと思ったんだが、思った通りにならなかったよ……」
「ああ、そういうこと。どいつもこいつもガタイばかりのチキン野郎どもって事ね」
「んだとコラァ!?」
男たちが色めき立つ。女の方も同様に「やっちゃおうよあんな奴」と賛同し始める。女の一人は「やめなよあんなの安い挑発でしょ?」と暴力を否定する。
「お前は黙ってろ。こいつは俺らの問題だ」
二人が男の下へと歩いていく。
「……何だ?何しに来た?……服を持ってないならお前らに用はないんだが?」
男はしれっと言い放った。
「ふざけんなボケ。そっちが挑発したんじゃねぇか」
巨漢がでかい手をボキボキ鳴らしながら男を見下ろす。
「女はどこだ?俺らを煽ったんだ。痛い目に遭わさなきゃな」
チビのキンキン声はキョロキョロしながら仲間を探す。
「ここよここ。ここにいるじゃない?」
その声は男の頭から聴こえた。巨漢は男より背が高かったのでその様子がハッキリと目の前で見えた。男が被るニット帽のファスナー部分がパカパカ開いて声を出すのを。
「あ?どこに居るってんだよ?」
巨漢の顔が顔面蒼白になり、固唾を飲んで押し黙る。さっきまでの調子はどこに行ったのか、未だ気付かないチビを差し置いて巨漢は静かに後ずさった。
「?……何してんだ?」
チビは巨漢が下がったのを見て疑問を投げかける。ニット帽の男は二人から目を外して後ろを見やる。スキンヘッドが丁度自分と同じくらいの体格であると悟ると巨漢に声をかけた。
「……あいつのが良さそうだな……」
………
良いジャケットとバイクを手に入れたリョウは市街地を法定速度を軽く超えてバイクで走る。
対向車線も歩道もお構いなしに走って夜の街を爆走した。何十km走ったか、何度か来た事のある場所に着くと速度を落としてゆっくりと止まる。盗んだバイクをどこかの店の駐車場に停めると歩きに切り替えた。
「……確かこの辺に……」
「違うわよ。2ブロックは向こうじゃない?」
頭の悪魔とあーでもないこーでもないと喋りながら歩くこと数分。見知った建物を見つけた。裏に回り込むと鉄の扉をガンガン叩く。空が白んできた頃だというのにお構いなしに。そんなに時間が経つ事も無く人が出てきた。
「……なんだ。リョウか」
ハンチングを被り、黒皮のジャケットに白いインナー、ホットパンツの下に濃いめのデニールのタイツ。首に十字架のネックレスをしたすらっとモデル体型の女性。
「レンちゃん!久しぶりー!!」
頭の口が騒ぐ。「うるさ……」と態度悪く出迎えた。
「……悪いな、こんな時間に……。中に入っても?」
リョウの顔を見て視線を足先まで舐めるように見る。その後もう一度リョウの顔を見て鉄扉を開けたまま中に入っていった。返事こそなかったが2人の仲だ。この反応を見てリョウは敷居をまたいだ。
鉄扉を閉めて鍵をかけると暗い廊下の奥に明かりが点いた部屋が見える。部屋に入るとダイニングテーブルの上に瓶ビールがコンッと置かれた。栓が開けてあるので飲めと言う事だろう。レンと呼ばれた女性は自分もビールを手に持ち、冷蔵庫にもたれかかってリョウを眺めている。瓶ビールを手に取り、椅子に座るとレンが声をかけた。
「……それで?」
「冷た。もっと歓迎してくれても良くない?」
頭の口は注文が多い。それを無視してレンはビールを一口飲んだ。
「……来て早々なんだが、例のレプリカのグローブをくれ……」
「また?消費が激しいんじゃないの?」
呆れ気味にため息を吐く。
「……そう言うな。お前には感謝している……」
ビールを傾けながら返答する。レンは新聞を取り出し、リョウの目の前に放った。
「それ、あんたらがやったんでしょ?」
霧の都の消滅の記事。「一面トップじゃない」と頭の口は大喜びだ。
「……ああ、これで消滅させちまった。新しいのがいる……」
「……お金は?」
「……ない……」
フッと自嘲気味に笑う。テーブルにビールを置いて別の部屋に入っていった。しばらくするとグローブを手に持って戻ってくる。
「それじゃ交渉しなきゃね」
リョウはため息を吐いてレンを見る。
「……何をすればいい?」
「ここから東に向かった場所に通称”還らずの森”があるんだけど、そこで行方不明になった人たちの調査兼救出。できれば原因を調べて解決して欲しいんだけど?」
ペラペラと口が回る。グローブを取りに行っている間に金の代わりを考えていたのだろう。
「……お前それ……お前の仕事だろ……」
「そうよ?」
どこから取り出したのか、いつのまにか持っていた資料を先の新聞のように投げ渡す。
「ちゃっかりしてるわよね~」
「等価交換てやつでしょ?お金がないなら依頼を受けなよ。出来ないなら渡せない」
資料を確認する。
「……十五人?もう死んでんだろ……こんな依頼受けんなよ……」
「ねぇ、あたしは一応教会の人間なんだけど?」
このグローブは教会の技術だ。聖骸布を複製し、使用しやすいように形を変えている。リョウはレンや他何人かの悪党と裏で回してもらえるように取引をしている。金を持っていれば金で、持ってなければ別の物で武器を得ていた。
「……背に腹は代えられん。この依頼……受けよう」
「だよね」
いつもの通りだ。レンはビールを飲み干すとグローブを取りに行った部屋の入り口付近からバックパックを取り出す。
「じゃ、すぐ出発」
バックパックを放ってリョウがそれをキャッチする。
「……なんだ……お前も来るのか?」
「当然。逃げられちゃ敵わないし」
レンはリョウを信じていないわけではない。逃げるなど露ほど思っていない。それを踏まえれば最初からついて来るつもりだったのだろう。いつもの事だ。この会話は言わばテンプレという奴だ。
「久々の共闘ね!ワクワクするわ!」
「お金さえ持ってきてくれたらこんな面倒な事しなくて済むのよ。次は持って来なさい」
「……善処する……」
この会話も何度目か。持ってきた試しなど一度もない。外に停めていたレンの小さなボロ車に乗り込み、マフラー付近のバコォンッという爆発音と共に発進する。バネも古くなってギシギシ鳴る座席に揺られながら運転するレンを見た。
「……中古車で良いからこれより良いの買えよ……」
「リョウがお金持ってくればいいだけの話でしょ」
口を真横に結んで腕を組んだ。
還らずの森。そこに潜むのは一体何なのか?行方不明となった人たちの中に生存者がいるのか?リョウとレンを待ち受けるのは……。
それはまた別の話――。
全てが吸い込まれそうな程広く深い闇。
このビーチは夏季の長期休暇時は人でごった返すが時期も時期なので人はいない。その上、今は草木も眠る丑三つ時。出歩く者もごく少数の現在、波が静かに打ち寄せる。
ザパァッ……
その暗い海から突如人影が立ち上がり、砂浜に向かって歩いてきた。頭には不思議なファスナーのついたニット帽を被り、上半身裸だがズボンは履いている。ビチャビチャになって軍靴も歩くたびにグジュグジュ音が鳴る。濡れた体に吹き付ける夜風は冷たいはずだが、平気な顔でひたすら歩く。
ふと音楽と笑い声が聞こえた。そちらに目をやると駐車場と思われる場所で何人かが屯って騒いでいる。それをしばらく眺めておもむろにそこに向かって歩き出した。
駐車場の様子が見え始めると軽快でノリノリな曲が段々大きく聞こえ、ガタイの良い男たちが良い女を連れてスポーツカーや大型のバイクなどを向かい合わせに、互いの車種を自慢しあっているように見えた。こんな時間にギャーギャー騒いではた迷惑な連中だ。海から上がった男はニヤリと笑うと談笑している輩たちの下へと近づく。
「はっはっはっは!んでよー……。あん?」
髭もじゃで身長の高い男はこちらに歩いてくる上半身裸の男を見て訝し気に顔を歪めた。その顔に気付いた仲間連中も全員がそちらに振り向いた。
「……んだありゃ?」
とにかく不気味だ。ただひたすら歩いてくる。何かのホラー映画の1シーンのようだ。男たちは自分たちの持つ得物を確認する。ナイフやマグナム、グロック拳銃など様々。
「ちょっと何するつもり……!?」
それを見た女は男たちが歩いてくる変人を襲おうとしているように見えた。「うっせ!」と女の制止を振り切る。ゴツいトラックが鳴らしていた音を少し下げて、歩いてくる男の様子を見た。
「よう兄ちゃん。そこで止まんな」
この中で一番ガタイが良く、顔にもタトゥーを入れている気合の入った男が声をかけた。海水に濡れた男はピタリと止まるとタトゥー男を眺める。
「おいおい、こんな時間に海水浴かぁ?寒くねぇのかよ?」
キャップにフードを被り、ジャラジャラと金のネックレスを下げた小男が音楽を下げなくても声が通りそうな程のキンキン声で話しかける。
「……服を失くしたんだ」
「へーそうかい。それで?何でこっちに歩いてきた?」
スキンヘッドの男はこんな暗がりだというのにサングラスをかけて睨む。車は自分たちのだけだしバイクもない。駐車場は公道から離れた端っこにあるし、こっちに来るのは不自然であると言える。
「……余っている服は無いか?譲ってくれるとありがたいが……」
「あるわけねーだろバーカ!あってもやらねーけど」
キンキン声ですぐさま拒否する。
「そうか……残念だ……」
踵を返そうとするとどこからか女の声が聞こえた。
「ちょっと、何引き返そうとしてんのよ。こいつらの一人から取るつもりで近付いたんでしょ。とっとと殴って取り上げなさいよ」
その声に他に仲間がいるのだと男たちも女たちも探す。しかし、見る限り男は一人だけだ。
「……ああ、まぁ……絡んでくれるかと思ったんだが、思った通りにならなかったよ……」
「ああ、そういうこと。どいつもこいつもガタイばかりのチキン野郎どもって事ね」
「んだとコラァ!?」
男たちが色めき立つ。女の方も同様に「やっちゃおうよあんな奴」と賛同し始める。女の一人は「やめなよあんなの安い挑発でしょ?」と暴力を否定する。
「お前は黙ってろ。こいつは俺らの問題だ」
二人が男の下へと歩いていく。
「……何だ?何しに来た?……服を持ってないならお前らに用はないんだが?」
男はしれっと言い放った。
「ふざけんなボケ。そっちが挑発したんじゃねぇか」
巨漢がでかい手をボキボキ鳴らしながら男を見下ろす。
「女はどこだ?俺らを煽ったんだ。痛い目に遭わさなきゃな」
チビのキンキン声はキョロキョロしながら仲間を探す。
「ここよここ。ここにいるじゃない?」
その声は男の頭から聴こえた。巨漢は男より背が高かったのでその様子がハッキリと目の前で見えた。男が被るニット帽のファスナー部分がパカパカ開いて声を出すのを。
「あ?どこに居るってんだよ?」
巨漢の顔が顔面蒼白になり、固唾を飲んで押し黙る。さっきまでの調子はどこに行ったのか、未だ気付かないチビを差し置いて巨漢は静かに後ずさった。
「?……何してんだ?」
チビは巨漢が下がったのを見て疑問を投げかける。ニット帽の男は二人から目を外して後ろを見やる。スキンヘッドが丁度自分と同じくらいの体格であると悟ると巨漢に声をかけた。
「……あいつのが良さそうだな……」
………
良いジャケットとバイクを手に入れたリョウは市街地を法定速度を軽く超えてバイクで走る。
対向車線も歩道もお構いなしに走って夜の街を爆走した。何十km走ったか、何度か来た事のある場所に着くと速度を落としてゆっくりと止まる。盗んだバイクをどこかの店の駐車場に停めると歩きに切り替えた。
「……確かこの辺に……」
「違うわよ。2ブロックは向こうじゃない?」
頭の悪魔とあーでもないこーでもないと喋りながら歩くこと数分。見知った建物を見つけた。裏に回り込むと鉄の扉をガンガン叩く。空が白んできた頃だというのにお構いなしに。そんなに時間が経つ事も無く人が出てきた。
「……なんだ。リョウか」
ハンチングを被り、黒皮のジャケットに白いインナー、ホットパンツの下に濃いめのデニールのタイツ。首に十字架のネックレスをしたすらっとモデル体型の女性。
「レンちゃん!久しぶりー!!」
頭の口が騒ぐ。「うるさ……」と態度悪く出迎えた。
「……悪いな、こんな時間に……。中に入っても?」
リョウの顔を見て視線を足先まで舐めるように見る。その後もう一度リョウの顔を見て鉄扉を開けたまま中に入っていった。返事こそなかったが2人の仲だ。この反応を見てリョウは敷居をまたいだ。
鉄扉を閉めて鍵をかけると暗い廊下の奥に明かりが点いた部屋が見える。部屋に入るとダイニングテーブルの上に瓶ビールがコンッと置かれた。栓が開けてあるので飲めと言う事だろう。レンと呼ばれた女性は自分もビールを手に持ち、冷蔵庫にもたれかかってリョウを眺めている。瓶ビールを手に取り、椅子に座るとレンが声をかけた。
「……それで?」
「冷た。もっと歓迎してくれても良くない?」
頭の口は注文が多い。それを無視してレンはビールを一口飲んだ。
「……来て早々なんだが、例のレプリカのグローブをくれ……」
「また?消費が激しいんじゃないの?」
呆れ気味にため息を吐く。
「……そう言うな。お前には感謝している……」
ビールを傾けながら返答する。レンは新聞を取り出し、リョウの目の前に放った。
「それ、あんたらがやったんでしょ?」
霧の都の消滅の記事。「一面トップじゃない」と頭の口は大喜びだ。
「……ああ、これで消滅させちまった。新しいのがいる……」
「……お金は?」
「……ない……」
フッと自嘲気味に笑う。テーブルにビールを置いて別の部屋に入っていった。しばらくするとグローブを手に持って戻ってくる。
「それじゃ交渉しなきゃね」
リョウはため息を吐いてレンを見る。
「……何をすればいい?」
「ここから東に向かった場所に通称”還らずの森”があるんだけど、そこで行方不明になった人たちの調査兼救出。できれば原因を調べて解決して欲しいんだけど?」
ペラペラと口が回る。グローブを取りに行っている間に金の代わりを考えていたのだろう。
「……お前それ……お前の仕事だろ……」
「そうよ?」
どこから取り出したのか、いつのまにか持っていた資料を先の新聞のように投げ渡す。
「ちゃっかりしてるわよね~」
「等価交換てやつでしょ?お金がないなら依頼を受けなよ。出来ないなら渡せない」
資料を確認する。
「……十五人?もう死んでんだろ……こんな依頼受けんなよ……」
「ねぇ、あたしは一応教会の人間なんだけど?」
このグローブは教会の技術だ。聖骸布を複製し、使用しやすいように形を変えている。リョウはレンや他何人かの悪党と裏で回してもらえるように取引をしている。金を持っていれば金で、持ってなければ別の物で武器を得ていた。
「……背に腹は代えられん。この依頼……受けよう」
「だよね」
いつもの通りだ。レンはビールを飲み干すとグローブを取りに行った部屋の入り口付近からバックパックを取り出す。
「じゃ、すぐ出発」
バックパックを放ってリョウがそれをキャッチする。
「……なんだ……お前も来るのか?」
「当然。逃げられちゃ敵わないし」
レンはリョウを信じていないわけではない。逃げるなど露ほど思っていない。それを踏まえれば最初からついて来るつもりだったのだろう。いつもの事だ。この会話は言わばテンプレという奴だ。
「久々の共闘ね!ワクワクするわ!」
「お金さえ持ってきてくれたらこんな面倒な事しなくて済むのよ。次は持って来なさい」
「……善処する……」
この会話も何度目か。持ってきた試しなど一度もない。外に停めていたレンの小さなボロ車に乗り込み、マフラー付近のバコォンッという爆発音と共に発進する。バネも古くなってギシギシ鳴る座席に揺られながら運転するレンを見た。
「……中古車で良いからこれより良いの買えよ……」
「リョウがお金持ってくればいいだけの話でしょ」
口を真横に結んで腕を組んだ。
還らずの森。そこに潜むのは一体何なのか?行方不明となった人たちの中に生存者がいるのか?リョウとレンを待ち受けるのは……。
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