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第1章 追放の儀式
第3話「嘲笑と断罪」
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村へ向かう途中、レオンとリナは旅商人の一団に出会った。
「朝早く旅をしているな。どこへ向かう?」
と、商人の頭が声をかけた。
「北の村です。水と食料を買いに」
とリナが答えた。
「そうか。なら運が良い。わしらは王都ヴェルモンドから来た。
その村は、この先二里だ。だが、馬車で行くなら、その脇道を通れ」
商人たちは親切に道を教えてくれた。そして、何か不要になった食料をくれた。リナは感謝の礼をした。
村へ着いたのは、昼近くだった。小さな村だ。民家は十軒ほど。すべてが老朽化し、壊れかけている。道路も、かつての石畳の面影すら残っていない。
「坊ちゃん。ここは……」
リナが眉をひそめた。確かに、この村は絶望の景色をしていた。村人たちの顔は、どれもやせ細り、目には生気がない。子どもたちもまた、力なく座り込んでいるだけだ。
「飢えているんだ」
レオンは、一目でそう判断した。水や食料の不足ではなく、大地そのものが死んでいるのだ。かつての農業ができる土地ではなく、魔力が枯れた荒野。だから、何も育たない。
「すみません。水をいただけませんか?」
リナが、一人の村人に声をかけた。老人は、じっとレオンを見つめた。
「お前ら、どこから来た?」
「南からです。旅の途中で……」
「貴族の血だな。その服装、その口調」
レオンは、反論できなかった。そう見えるのだから。
「今は違います。貴族籍を失ったものです」
老人は、レオンの顔をじっと見た。
「ほう。追放か?」
「そう言えるでしょう」
老人は、何かを考えるように口をつぐんだ。やがて、村長の家へ案内されることになった。村長は、痩せ細った中年の男だった。部屋には、テーブルと椅子しかない。すべてが、貧しい。
「追放された貴族か」
と村長が言った。
「はい。特に有用なギフトを持たぬ身で……」
「ギフトか。そんなもの、この村には関係ない」
村長は、窓の外を見つめた。
「かつては、この大地も肥沃だった。今から三十年前、まだ城の領主が名君だった時代。このアーデルハイト領は、栄えていた。だが……」
「何が起きたのですか?」
「古い話だ。魔力の枯渇。王国全体で、不可解な現象が起きている。大地の魔力が、消えている。だから、何も育たなくなった」
村長は、テーブルの上に乗せられた、一粒の米を指差した。
「これが、今月の収穫だ。一粒だ。この村の全員が食べても、一日で終わる」
レオンは、言葉を失った。
「だから、私たちは消えるだけだ。いずれ、ここに人間はいなくなる」
村長の声は、何の感情も持たなかった。それは、覚悟なのか、諦観なのか。
「手伝えることはありませんか?」
リナが、勇気を出して尋ねた。村長は、冷たく笑った。
「追放された貴族と、その使用人か。手伝える?何ができる?」
そのとき、外から声が聞こえた。
「兄上!」
若い女の声だ。そして、その声の主が現れた。金色の髪。青い瞳。その美しさは、何物にも勝る。レオンの身体が、硬直した。
「ルリア……」
彼女の名前は、ルリア・セントリム。かつてのレオンの婚約者だ。ルリアが、ここにいるはずがない。王都に残っていたはずだ。彼女の家の者たちと共に。
「レオン?」
ルリアは、一瞬のあいだ、信じられないという表情を浮かべた。やがて、それは蔑みへと変わった。
「何ですか?あなたは、何をしているのですか?」
ルリアの兄が立ち上がった。セントリム公爵だ。王国有数の貴族だ。
「追放者が、我が領地に?」
「兄上。彼は……」
「何であれ、この者は我が領地に不要だ。村長、これは、あなたの職務怠慢か?」
「申し訳ございません。今、追い出します」
村長が立ち上がろうとした。
「待つがいい」
レオンが、静かに立ち上がった。
「あなたが、セントリム公爵ですか」
「そうだ。そして、お前は何もない追放者だ。立場を弁えよ」
「立場は、確かに何もありません。しかし……」
レオンは、村を見つめた。
「この村を救う方法があります」
セントリム公爵は、笑った。
「救う?E級の修復ギフトで?」
ルリアから、王城での一件が伝わっていたのだ。
「E級か。笑わせるな。貴族として最も無能な力だ。そんなもので、何ができる?」
「試させてください」
レオンは、簡潔に言った。
「一日。一日あれば、この村が何かが起きるかどうか、わかります」
セントリム公爵は、目を眇めた。
「構わん。試してみるがいい。ただし、何も起きなければ、この領地から二度と来るな。
追放者として」
「承知しました」
その夜、レオンは村の端まで行った。リナが、懐中灯を持って後を続く。村の外、かつて畑だったと思われる土地に、レオンは立った。
「坊ちゃん。何をするのですか?」
「古代遺跡で学んだ。自分の力は、壊れたものを直す力ではなく、理解し再構築する力だ」
レオンは、地面に手を置いた。
「この大地も、壊れている。かつての魔力を失い、草木も育たず……」
彼は、目を閉じた。古代遺跡でそうしたように、レオンは大地の「構造」を理解しようとした。
土壌の成分。魔力の流れ。かつてあったはずの力がどこへ行ったのか。やがて、レオンは理解した。
魔力は、消えたのではない。封じられたのだ。王国全体で、何らかの力によって、大地の魔力が古い遺構の中に閉じ込められていた。だから、新しい魔力が流れ込めず、何も育たないのだ。
レオンは、その「封じ」を理解した。そして——
手を動かした。何が起きた。大地から、かすかな光が放たれた。封じられていた魔力が、解放されたのだ。土が、震えた。やがて、小さな芽が、ところどころで顔を出し始めた。
「坊ちゃん……」
リナが、息を呑んだ。その場所は、徐々に緑へと変わっていった。
朝が来たセントリム公爵とルリア、村人たちが、かつての畑へ向かった。そこには、昨夜のレオンのギフトの成果が、はっきりと目に見えていた。
緑の草。背丈ほどの穀物。水が流れ出ている小川。
「馬鹿な……」
セントリム公爵の顔が、蒼白になった。
「これは……何だ?」
「大地の魔力を、解放しただけです」
レオンは、冷静に答えた。
「このままなら、この村は、一月で十分な食料を収穫できるでしょう」
村人たちは、歓声を上げた。子どもたちが、草に飛びついた。しかし、セントリム公爵の顔は、怒りで赤くなっていた。
「これは、何をしているんだ?」
「村を救っています」
「それは、許可なく領地の魔力を操作したということだ。これは、領主への反逆だ!」
セントリム公爵が、剣を抜いた。
「追放者が、領地で何をしようと、我が領内での政策決定は領主の権限だ。貴様は、私の許可なく魔力を操作した。これは、大罪だ」
「お待ちください」
と、ルリアが言った。
「兄上。彼はこの村を救ったのです。何が悪いのですか?」
「黙れ、ルリア。貴様も、追放者に魅了されたのか?」
「違います。ただ、この行為は悪いことではないと……」
「王国の法では、領主の命に背くことは、罪だ。」
セントリム公爵は、剣を構えた。
「貴様を、この場で罰する」
「兄上、やめてください!」
ルリアが、セントリム公爵と剣の間に飛び込んだ。
「ルリア!」
セントリム公爵は、仕方なく剣を下ろした。
「貴様は、この者の何だ?」
「私の……元婚約者です」
「そうか。つまり、貴様は、王国の秩序を壊す者に肩入れするということだな」
セントリム公爵は、冷たく言い放った。
「ならば、貴様も、もはや我が家の者ではない。ここより去れ」
ルリアの顔が、蒼白になった。
「兄上?」
「家に帰った時に、貴様の部屋は封鎖されている。貴様は、セントリム家を離別した者だ。二度と顔を見せるな」
セントリム公爵は、馬に乗り込んだ。そして、一言だけ言い残した。
「貴様ら追放者は、王国にとって不要だ。この村も、しょせんは荒野に呑まれる。無駄な抵抗をするな」
そして去った。村は静寂に包まれた。ルリアは、その場に立ったまま、動けなくなっていた。
「私は……」
彼女は、呟いた。
「家族を、失ってしまった」
レオンは、ルリアに近づいた。
「ルリア」
「触らないでください」
ルリアは、振り返った。その顔には、涙があった。
「あなたは、何もかも失わせてくれました。家族を。立場を。すべてを」
「ルリア……」
「だから……」
ルリアは、その瞳をレオンに向けた。
「私も、あなたの道に付いていくしかないんですね。否応なく」
「ルリア、それは……」
「冗談です」
ルリアは、微かに笑った。
「でも、事実です。兄は私を切り捨てた。王国も、私を必要としない。ならば、私は自由です」
ルリアは、レオンの手を取った。
「一つ、条件があります」
「何ですか?」
「あなたが、世界を壊した人間ではなく、直す人間であることを、証明してください」
レオンは、頷いた。
「わかりました」
その夜、村長は、村人たちに報告した。
「この村は、新しい時代を迎える。追放された貴族と、捨てられた貴族娘が、我々を導く。それでいいか?」
村人たちは、黙ったまま、空を見つめていた。かつての絶望は、別の形の不安に変わっていた。だが、それは、希望の始まりかもしれない。翌朝、レオンは三人になっていた。
リナ。ルリア。そして、村の少女ミーナが、レオンについていくことになっていた。
「一緒に行きます」
と、ミーナは言った。
「あなたが、この大地を直してくれたから。私も、この村の未来を見たいです」
レオンは、小さな少女を見つめた。そして、ようやく理解した。自分のギフトは、物や土地を直すだけではなく、人の心も直すことができるのかもしれない。絶望に沈んだ者たちを、希望で満たすことができるのかもしれない。
「さあ、行こう」
レオンは、四人を連れて、村を出た。背後では、村人たちが、新しく育った穀物を手に、感謝の言葉を放っていた。
「朝早く旅をしているな。どこへ向かう?」
と、商人の頭が声をかけた。
「北の村です。水と食料を買いに」
とリナが答えた。
「そうか。なら運が良い。わしらは王都ヴェルモンドから来た。
その村は、この先二里だ。だが、馬車で行くなら、その脇道を通れ」
商人たちは親切に道を教えてくれた。そして、何か不要になった食料をくれた。リナは感謝の礼をした。
村へ着いたのは、昼近くだった。小さな村だ。民家は十軒ほど。すべてが老朽化し、壊れかけている。道路も、かつての石畳の面影すら残っていない。
「坊ちゃん。ここは……」
リナが眉をひそめた。確かに、この村は絶望の景色をしていた。村人たちの顔は、どれもやせ細り、目には生気がない。子どもたちもまた、力なく座り込んでいるだけだ。
「飢えているんだ」
レオンは、一目でそう判断した。水や食料の不足ではなく、大地そのものが死んでいるのだ。かつての農業ができる土地ではなく、魔力が枯れた荒野。だから、何も育たない。
「すみません。水をいただけませんか?」
リナが、一人の村人に声をかけた。老人は、じっとレオンを見つめた。
「お前ら、どこから来た?」
「南からです。旅の途中で……」
「貴族の血だな。その服装、その口調」
レオンは、反論できなかった。そう見えるのだから。
「今は違います。貴族籍を失ったものです」
老人は、レオンの顔をじっと見た。
「ほう。追放か?」
「そう言えるでしょう」
老人は、何かを考えるように口をつぐんだ。やがて、村長の家へ案内されることになった。村長は、痩せ細った中年の男だった。部屋には、テーブルと椅子しかない。すべてが、貧しい。
「追放された貴族か」
と村長が言った。
「はい。特に有用なギフトを持たぬ身で……」
「ギフトか。そんなもの、この村には関係ない」
村長は、窓の外を見つめた。
「かつては、この大地も肥沃だった。今から三十年前、まだ城の領主が名君だった時代。このアーデルハイト領は、栄えていた。だが……」
「何が起きたのですか?」
「古い話だ。魔力の枯渇。王国全体で、不可解な現象が起きている。大地の魔力が、消えている。だから、何も育たなくなった」
村長は、テーブルの上に乗せられた、一粒の米を指差した。
「これが、今月の収穫だ。一粒だ。この村の全員が食べても、一日で終わる」
レオンは、言葉を失った。
「だから、私たちは消えるだけだ。いずれ、ここに人間はいなくなる」
村長の声は、何の感情も持たなかった。それは、覚悟なのか、諦観なのか。
「手伝えることはありませんか?」
リナが、勇気を出して尋ねた。村長は、冷たく笑った。
「追放された貴族と、その使用人か。手伝える?何ができる?」
そのとき、外から声が聞こえた。
「兄上!」
若い女の声だ。そして、その声の主が現れた。金色の髪。青い瞳。その美しさは、何物にも勝る。レオンの身体が、硬直した。
「ルリア……」
彼女の名前は、ルリア・セントリム。かつてのレオンの婚約者だ。ルリアが、ここにいるはずがない。王都に残っていたはずだ。彼女の家の者たちと共に。
「レオン?」
ルリアは、一瞬のあいだ、信じられないという表情を浮かべた。やがて、それは蔑みへと変わった。
「何ですか?あなたは、何をしているのですか?」
ルリアの兄が立ち上がった。セントリム公爵だ。王国有数の貴族だ。
「追放者が、我が領地に?」
「兄上。彼は……」
「何であれ、この者は我が領地に不要だ。村長、これは、あなたの職務怠慢か?」
「申し訳ございません。今、追い出します」
村長が立ち上がろうとした。
「待つがいい」
レオンが、静かに立ち上がった。
「あなたが、セントリム公爵ですか」
「そうだ。そして、お前は何もない追放者だ。立場を弁えよ」
「立場は、確かに何もありません。しかし……」
レオンは、村を見つめた。
「この村を救う方法があります」
セントリム公爵は、笑った。
「救う?E級の修復ギフトで?」
ルリアから、王城での一件が伝わっていたのだ。
「E級か。笑わせるな。貴族として最も無能な力だ。そんなもので、何ができる?」
「試させてください」
レオンは、簡潔に言った。
「一日。一日あれば、この村が何かが起きるかどうか、わかります」
セントリム公爵は、目を眇めた。
「構わん。試してみるがいい。ただし、何も起きなければ、この領地から二度と来るな。
追放者として」
「承知しました」
その夜、レオンは村の端まで行った。リナが、懐中灯を持って後を続く。村の外、かつて畑だったと思われる土地に、レオンは立った。
「坊ちゃん。何をするのですか?」
「古代遺跡で学んだ。自分の力は、壊れたものを直す力ではなく、理解し再構築する力だ」
レオンは、地面に手を置いた。
「この大地も、壊れている。かつての魔力を失い、草木も育たず……」
彼は、目を閉じた。古代遺跡でそうしたように、レオンは大地の「構造」を理解しようとした。
土壌の成分。魔力の流れ。かつてあったはずの力がどこへ行ったのか。やがて、レオンは理解した。
魔力は、消えたのではない。封じられたのだ。王国全体で、何らかの力によって、大地の魔力が古い遺構の中に閉じ込められていた。だから、新しい魔力が流れ込めず、何も育たないのだ。
レオンは、その「封じ」を理解した。そして——
手を動かした。何が起きた。大地から、かすかな光が放たれた。封じられていた魔力が、解放されたのだ。土が、震えた。やがて、小さな芽が、ところどころで顔を出し始めた。
「坊ちゃん……」
リナが、息を呑んだ。その場所は、徐々に緑へと変わっていった。
朝が来たセントリム公爵とルリア、村人たちが、かつての畑へ向かった。そこには、昨夜のレオンのギフトの成果が、はっきりと目に見えていた。
緑の草。背丈ほどの穀物。水が流れ出ている小川。
「馬鹿な……」
セントリム公爵の顔が、蒼白になった。
「これは……何だ?」
「大地の魔力を、解放しただけです」
レオンは、冷静に答えた。
「このままなら、この村は、一月で十分な食料を収穫できるでしょう」
村人たちは、歓声を上げた。子どもたちが、草に飛びついた。しかし、セントリム公爵の顔は、怒りで赤くなっていた。
「これは、何をしているんだ?」
「村を救っています」
「それは、許可なく領地の魔力を操作したということだ。これは、領主への反逆だ!」
セントリム公爵が、剣を抜いた。
「追放者が、領地で何をしようと、我が領内での政策決定は領主の権限だ。貴様は、私の許可なく魔力を操作した。これは、大罪だ」
「お待ちください」
と、ルリアが言った。
「兄上。彼はこの村を救ったのです。何が悪いのですか?」
「黙れ、ルリア。貴様も、追放者に魅了されたのか?」
「違います。ただ、この行為は悪いことではないと……」
「王国の法では、領主の命に背くことは、罪だ。」
セントリム公爵は、剣を構えた。
「貴様を、この場で罰する」
「兄上、やめてください!」
ルリアが、セントリム公爵と剣の間に飛び込んだ。
「ルリア!」
セントリム公爵は、仕方なく剣を下ろした。
「貴様は、この者の何だ?」
「私の……元婚約者です」
「そうか。つまり、貴様は、王国の秩序を壊す者に肩入れするということだな」
セントリム公爵は、冷たく言い放った。
「ならば、貴様も、もはや我が家の者ではない。ここより去れ」
ルリアの顔が、蒼白になった。
「兄上?」
「家に帰った時に、貴様の部屋は封鎖されている。貴様は、セントリム家を離別した者だ。二度と顔を見せるな」
セントリム公爵は、馬に乗り込んだ。そして、一言だけ言い残した。
「貴様ら追放者は、王国にとって不要だ。この村も、しょせんは荒野に呑まれる。無駄な抵抗をするな」
そして去った。村は静寂に包まれた。ルリアは、その場に立ったまま、動けなくなっていた。
「私は……」
彼女は、呟いた。
「家族を、失ってしまった」
レオンは、ルリアに近づいた。
「ルリア」
「触らないでください」
ルリアは、振り返った。その顔には、涙があった。
「あなたは、何もかも失わせてくれました。家族を。立場を。すべてを」
「ルリア……」
「だから……」
ルリアは、その瞳をレオンに向けた。
「私も、あなたの道に付いていくしかないんですね。否応なく」
「ルリア、それは……」
「冗談です」
ルリアは、微かに笑った。
「でも、事実です。兄は私を切り捨てた。王国も、私を必要としない。ならば、私は自由です」
ルリアは、レオンの手を取った。
「一つ、条件があります」
「何ですか?」
「あなたが、世界を壊した人間ではなく、直す人間であることを、証明してください」
レオンは、頷いた。
「わかりました」
その夜、村長は、村人たちに報告した。
「この村は、新しい時代を迎える。追放された貴族と、捨てられた貴族娘が、我々を導く。それでいいか?」
村人たちは、黙ったまま、空を見つめていた。かつての絶望は、別の形の不安に変わっていた。だが、それは、希望の始まりかもしれない。翌朝、レオンは三人になっていた。
リナ。ルリア。そして、村の少女ミーナが、レオンについていくことになっていた。
「一緒に行きます」
と、ミーナは言った。
「あなたが、この大地を直してくれたから。私も、この村の未来を見たいです」
レオンは、小さな少女を見つめた。そして、ようやく理解した。自分のギフトは、物や土地を直すだけではなく、人の心も直すことができるのかもしれない。絶望に沈んだ者たちを、希望で満たすことができるのかもしれない。
「さあ、行こう」
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