追放された貴族は《再構築》の力で世界を直す

自ら

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第2章 荒野の再生者

第13話「畑と水路の建設」

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赤根草の収穫から一週間が経ち、町には新しい活気が生まれていた。

レオンは、町の中央広場で、村人たちを集めていた。ミーナもその場にいる。

「皆、集まってくれてありがとう」

レオンは、広場の中央に立って言った。

「ミーナたちの努力で、耐性植物の栽培に成功した。土壌の浄化も順調に進んでいる。だが、これで満足してはいけない」

村人たちは、静かにレオンの言葉を聞いている。

「この町を、さらに発展させる。そのために、新しい畑と、水路を建設する」

レオンは、地図を広げた。

「現在の畑は、町の周辺にある。だが、これでは足りない。町の人口は増え続けている。もっと広い農地が必要だ」

地図には、町の北側に広がる荒野が示されている。

「ここに、新しい畑を作る。そして、西の川から水を引く水路を建設する」

村人たちは、ざわめいた。

「しかし、あそこは荒野です」

と、一人の農夫が言った。

「石だらけで、とても畑には向かない」
「その通りだ」

レオンは頷いた。

「だが、俺の力で、大地を再構築する。石を取り除き、土を整え、農地に変える」
「本当に、そんなことが?」
「できる」

レオンは、断言した。

「だが、俺一人では時間がかかる。だから、皆の力を貸してほしい」



翌日、工事が始まった。レオンは、北の荒野に立ち、地面に手を置いた。青白い光が放たれる。地面が、ゆっくりと変化していく。大きな石が地表に押し上げられ、土が柔らかくなる。

村人たちは、その光景に息を呑んだ。

「すごい……」
「まるで、魔法だ」

レオンが再構築した場所では、石が綺麗に集められ、土が耕された状態になっている。

「さあ、石を運び出してくれ」

レオンが言うと、村人たちは一斉に動き出した。石を拾い、運び、積み上げる。ミーナとエマも、その作業に加わった。

「重い……」

エマが、大きな石を抱えて呻いた。

「無理しないで。小さいのから運びましょう」

ミーナは、エマに声をかけた。二人は、手頃な大きさの石を選んで運んだ。


作業は、日が暮れるまで続いた。



三日後、北の荒野の一部が、農地に変わっていた。石はすべて運び出され、土は平らに整えられている。

「ここに、耐性植物を植えよう」

ミーナは、村人たちに種を配った。赤根草、苦麦、耐魔芋。三種類の種が、袋に詰められている。

「まず、土を掘ります」

ミーナは、実演しながら説明した。

「深さは、これくらい。次に、種を置いて、土をかぶせます」

村人たちは、ミーナの手本を見ながら、同じように作業を始めた。エマは、その様子を見回りながら、手伝いが必要な人に声をかけていた。

「そこ、もう少し深く掘った方がいいですよ」
「はい、ありがとう」
「種は、三つくらいまとめて植えるといいです」
「わかりました」

エマは、すっかりミーナの助手として板についていた。ミーナは、その様子を見て、微笑んだ。

「エマさん、成長したわね」
「ミーナさんのおかげです」

エマは、照れくさそうに笑った。



同じ頃、レオンは西の川で、別の作業をしていた。リナとルリアが、一緒にいる。

「ここから、町まで水路を引く」

レオンは、川岸に立って言った。

「距離は、約三キロメートル。水路を掘り、石で護岸を作る」
「三キロメートル……」

ルリアが呟いた。

「それは、かなりの工事ですね」
「ああ。だが、必要なことだ」

レオンは、地面に手を置いた。

「まず、水路のルートを整える」

再構築の力が発動する。

地面が、一直線に凹んでいく。まるで、見えない刃が地面を切り裂いているように。

「すごい……」

リナが、感嘆の声を上げた。

「これなら、数日で水路が完成しますね」
「いや、これだけでは足りない」

レオンは、立ち上がった。

「水路を掘っただけでは、水が漏れる。護岸を作らなければならない」

レオンは、川岸の石を指差した。

「この石を使う。ルリア、石を運ぶのを手伝ってくれるか?」
「わかりました」

ルリアは、石に近づいた。

彼女の手から、小さな炎が放たれる。炎は石を包み込み、熱で石の表面を滑らかにした。

「これで、運びやすくなります」
「ありがとう」

レオンとルリアは、石を水路まで運んだ。リナも手伝い、三人で石を積み上げていく。作業は、黙々と続いた。



一週間後、水路が完成した。西の川から、町まで続く真っ直ぐな水路。護岸は石で綺麗に整えられ、水が勢いよく流れている。

「完成だ」

レオンは、水路を見下ろしながら言った。

「これで、新しい畑にも水を供給できる」

村人たちは、水路の完成を祝って、歓声を上げた。子どもたちが、水路の脇を走り回っている。

「水だ!水が来た!」
「これで、もっと作物が育つ!」

ミーナも、その場にいた。彼女は、水路を流れる水を見つめて、感慨深げに呟いた。

「半年前、ここは何もない荒野だった」
「そうだな」

レオンが、ミーナの隣に立った。

「だが、今は違う。畑があり、水路があり、人々が生きている」
「坊ちゃんのおかげです」
「いや、みんなのおかげだ」

レオンは、村人たちを見渡した。


「俺一人では、何もできなかった。君たちがいたから、この町は作れた」

ミーナは、その言葉に胸が熱くなった。

「坊ちゃん……」
「ミーナ」

レオンは、ミーナを見つめた。

「君の農業管理のおかげで、この町は食料を確保できている。これからも、頼むぞ」
「はい」

ミーナは、力強く頷いた。



その夜、町では祝宴が開かれた。水路の完成を祝い、新しい畑の開拓を祝う。広場には、焚き火が焚かれ、料理が並べられた。

赤根草のスープ、苦麦のパン、そして川で獲れた魚。村人たちは、笑顔で食事を楽しんでいた。

ミーナとエマは、料理を配りながら、村人たちと話していた。

「ミーナさん、このスープ美味しいです」
「ありがとう。赤根草を使ったの」
「赤根草って、最初は変な味だと思ったけど、慣れると美味しいですね」

村人たちの会話が、あちこちで弾んでいる

レオンは、広場の端で、その様子を静かに見守っていた。ルリアが、隣に座った。

「楽しそうですね」
「ああ」

レオンは、微笑んだ。

「みんな、笑顔だ」
「あなたのおかげです」
「いや、みんなの力だ」

レオンは、空を見上げた。星が、無数に輝いている。

「ルリア」
「はい?」
「俺たちは、正しいことをしているのだろうか」

ルリアは、少し驚いた表情でレオンを見た。

「どういう意味ですか?」
「この町を作ること。人々を集めること。それは、本当に正しいのだろうか」

レオンの声には、わずかな不安が滲んでいた。

「レオン」

ルリアは、レオンの手を取った。

「見てください。あの人たちの笑顔を」

ルリアは、村人たちを指差した。

「あの人たちは、かつて絶望していました。飢えと、貧困と、孤独に苦しんでいましただが、今は違う。ここには、希望があります」
「希望……」
「そうです。あなたが作った希望です」

ルリアは、レオンを見つめた。

「だから、自信を持ってください。あなたは、正しいことをしています」

レオンは、しばらく黙っていた。やがて、小さく頷いた。

「ありがとう、ルリア」
「いつでも、あなたの味方です」

二人は、再び村人たちの方を見た。焚き火の光に照らされた笑顔。子どもたちの笑い声。それが、答えだった。


祝宴が終わり、村人たちが家に帰った後、ミーナは一人で新しい畑を見に行った。月明かりの中、畑は静かに佇んでいる。植えたばかりの種は、まだ芽を出していない。

だが、ミーナには見えた。数週間後、ここに緑の芽が出る。数ヶ月後、作物が実る。そして、この畑が、町を支える。

「私たちは、ここで生きていく」

ミーナは、そう呟いた。風が吹いて、髪を揺らした。遠くで、川の水が流れる音が聞こえる。新しく作られた水路を、水が流れている音だ。

「ありがとう、坊ちゃん」

ミーナは、空を見上げた。星が、静かに輝いている。明日も、畑仕事が続く。だが、ミーナは疲れを感じなかった。なぜなら、この仕事が、この町を守ることに繋がっているから。

ミーナは、畑を後にして、町へ戻った。その背中に、月の光が優しく降り注いでいた。
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