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第5章 〝聖魔石〟を巡る死闘
47「勇者シャウル」
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「貴方が、勇者……? でも、勇者がいた時代は、四百年前のはずでしょ? 生きている訳がないわ!」
アンによる尤もな指摘に、シャウルは仰々しく両腕を広げて、天を仰いだ。
「フッ。我の美しさは、時を超越するのだ」
「あ、そう言えば、アンデッドだったわね」
「フッ。そうとも言う」
胸に手を当てて答えるシャウル。
すると、リカがシャウルを銀杖でビシッと指した。
「でも、何で勇者がアンデッドになってるの? リカは騙されないの! あなたは、本当は勇者じゃないの! 宝を守るただのボスで、勇者を騙ってるだけなの!」
得意顔で胸を張る彼女に、横からティーパが口を挟む。
「いや、アイツは勇者だ。このパンツの匂いからすると、間違いない」
「パンツ……なるほど、特殊能力持ち――つまり、貴様は異世界転生者、と言った所だな」
勇者には特殊な力があるのか、洞察力が優れているだけなのかは分からないが、シャウルはティーパの素性を難無く看破した。
「どわはははははははは! 何で勇者が、アンデッドなんかやってるんだ?」
「フッ。良いだろう。四百年振りの邂逅だ。貴様らに教えてやろう」
マーサの問いに、右手を差し伸べるような仕草で応じたシャウルは、左手を頭上に翳しながら、再び天を仰いで、語り始めた。
※―※―※
四百年以上前。
人類は、長年、魔王によって苦しめられていた。
人智を超えた魔王の力と、数多の凶悪なモンスターたちにより、人間たちは、その数を減らしていった。
このままでは、滅んでしまう。
そう危惧するも、人間たちには、為す術も無く――
と、そこに。
勇者が現れた。
勇者シャウルは、激闘の末、魔王を倒した。
――が、尋常ならざる力を持つ魔王を完全に打ち滅ぼす事は出来ず、その力を〝封印〟する事になった。
ちなみに、この時シャウルは、〝黒魔石(モンスターを生み出していた元凶だったらしい)〟を破壊しようとしたが、自分の力を復活させるための一つ目の鍵であるためか、魔王が最後の力を振り絞って、魔王城からシャウルを締め出して、認識阻害魔法を掛けて、見る事も触れる事も出来なくしてしまったため、それは叶わなかった。
仕方が無いので、シャウルは、代わりに、全世界にある全てのダンジョンを一つずつ回って、〝モンスターにだけ効果のある、不可視の魔法障壁〟を、入口に設置して行った(各ダンジョンと魔王城は地下で繋がっており、〝黒魔石〟によって生み出されたモンスターたちが、それぞれのダンジョンへと送り込まれ続けているようだ)。
魔王が封印されたことが、世界各国に知れ渡り――
これで、世界に平和が訪れる。
誰もが、そう思っていた。
――だがしかし。
現実はそう甘くは無かった。
グロモラージ平野のど真ん中にある魔王城は、〝何でも願いを叶える〟という〝聖魔石〟がある、ダーグローツ大陸の最北端へ行く途中の、最大の障害だった。
それが無くなった事で――
――人間の王たちの〝欲望〟が露わになった。
それは、〝強大な軍事力を手に入れたい〟〝他国を侵略したい〟〝世界征服をしたい〟という、〝力〟への渇望だった。
グロモラージ平野には、数多の上級モンスターに、最上級モンスターまでいる。
しかし、大規模な軍隊を編制して、「誰か一人でも辿り着ければ良い」という考えで、人的損失を全く考慮しなければ、踏破は不可能では無かった。
各国の王たちが、同じ考えに至った結果――
――〝聖魔石〟の取り合いになり――
――人類は大規模な戦争を起こし――
――自ら滅亡し掛けた。
シャウルは、考えた。
どうすれば、愚かな為政者たちを、踏み止まらせる事が出来るか、と。
そこで思い付いたのが、〝聖魔石〟がある神殿を、〝誰も入れない聖域〟とする事だった。
シャウルは、どれだけ強力な軍隊であろうが、魔法使いであろうが、決して破れ
ない魔法障壁――〝光の壁〟を設置した(神殿前(南側)の平野を横断し、西から北、そして東へと至る海岸線に沿って聳え立つそれは、海からの侵入も阻み、更に上空にも展開されているため、空路での攻略も不可能)。
その上で、シャウルは、再び思考した。
「果たして、これで十分だろうか?」と。
〝光の壁〟に対する、絶対的な自信はある。
誰にも打ち破られないはずだ。
――が、念には念を入れるべきではないだろうか、と。
そこまで思考したシャウルは、諸悪の根源を絶つことにした。
即ち――〝聖魔石〟を破壊するのだ。
だが、いざ〝聖魔石〟に攻撃しようとすると――
「ぐっ!」
――反撃を食らった。
〝光の壁〟を発動して、かなりの魔力を消費したばかりであった事もあり、シャウルは、〝聖魔石〟が放つ、圧倒的な光の奔流により、その存在ごと消されそうになり――
(マズい! このままでは――!)
シャウルは、咄嗟に――
「我の願いを叶えろ、〝聖魔石〟! 我を〝アンデッド〟にしろ! 我はもう、貴様を破壊しない。代わりに、我が貴様を守ってやる! 未来永劫な!」
――そう叫んだ。
〝殺されないため〟に。
そして、〝破壊〟が不可能であれば、せめて〝番人〟として、何人たりとも、〝聖魔石〟に近付けさせないようにするために。
〝聖魔石〟は――
――シャウルの願いを聞き入れた。
※―※―※
その後。
シャウルは、四百年間ずっと、〝聖魔石〟を守り続けて来た。
※―※―※
「フッ。まぁ、我が設置した〝光の壁〟が強過ぎて、この四百年間、ここまで辿り着けた者は皆無だったのだがな」
そこまで語った後、シャウルは優美に髪を掻き上げた。
「話は分かったわ。でも、あたしは、他の国の侵略なんてしないし、世界征服なんて興味ないわ。あたしはただ、妹たちと平和に暮らしたいだけ」
「どわはははははははは! そうだな、冒険者にはなれたし、僕も、父ちゃん母ちゃんと一緒に暮らせれば、それで良い! 後は、毎日筋トレして、父ちゃんみたいに強くなるだけだ!」
「リカは、お姉ちゃんに恩返しするの! そして、お兄ちゃんと二人で、大きな家で、仲睦まじくいつまでも幸せに暮らすの!」
「だから、あんただけ夢がおかしいのよ!」
仲間たちが夢を語る中――
残った一人に、シャウルの視線が移る。
「貴様はどうだ?」
ティーパは、相変わらずの無表情で答えた。
「俺が〝聖魔石〟を得たい理由は、〝究極のハーレム〟を作るためだ」
「何度聞いても、酷い理由よね」と、アンが溜息をつくが――
「嘘だな」
「!」
――先程までとは打って変わって、シャウルが鋭い眼光でティーパを刺す。
思わず、アンが瞠目する。
「見縊るなよ、青二才。我は、人間時代に、腹に一物――どころか、二物三物あるような、世界各国の首脳や重鎮たちと何度も相見えた。眼前の人間が本当の事を言っているかどうかなど、一目見れば分かる」
「………………」
無言のティーパに、「……ティーパ?」と、困惑するアン。
「本当の事を言わぬ限り、我はここを退かぬ」
戦う前から分かる、明らかに〝強者〟特有の威圧感を身に纏うシャウルに、仕方が無いとばかりに、ティーパは――
「………………」
「…………?」
――アンを一瞥すると――
「……俺の本当の目的は、とある人物を生き返らせる事だ」
――シャウルに視線を戻して、そう答えた。
「え? 誰? お爺ちゃんのこと? それとも、パパのこと?」
自分たちが孤児院で世話になったリットス神父とザーファ神父の話を持ち出すアンだったが、ティーパからの反応は無く――
「その人物とは、誰だ?」
「………………」
「黙りか。まぁ、良い」
シャウルは――
「フッ」
――表情を和らげると、流麗な動きで――
「今度の言葉は、嘘ではないようだが――人間とは、移ろいやすい生き物だ。手に入れた瞬間に、気が変わるやもしれん」
――腰の銀剣を引き抜くと――
「やはり、貴様らに〝聖魔石〟を渡す訳にはいかん。ここから立ち去れ。もし去るならば、危害は加えん。だが、それでも諦めぬと言うなら――我が剣の錆にしてくれよう」
――底冷えのする殺気を放った。
離れていても肌にビリビリと感じる程の殺気と、重圧。
その場にいる誰もが、動けずにいると――
「動かないと言う事は、諦めないという事だな?」
シャウルが――
「ならば、覚悟する事だ」
――その全身から放つ殺気と重圧を、更に膨張させた――
――直後――
「ところで、何だ、貴様がその頭の上に乗せている犬っころは?」
「犬じゃないまお! 魔王まお!」
――予想外のやり取りが為されて、思わずアンはズッコケた。
「酷いまお! お前、山の中で〝声だけ〟だった時も、魔王の事を〝子犬〟って言ったまお! 言って良い事と悪い事があるまお!」
地団駄を踏む魔王に、「人の頭の上で足踏みするな」と、ティーパが苦情を言う。
「フッ。魔王だったか。無論、分かっていたとも」
「嘘ね」
先程驚かされたことに対する意趣返しなのか、そう断言するアン。
「そうか、封印が解け掛けているのか。無理もない。もう四百年だからな」
遠い目をしたシャウルが――
「だが、中途半端に封印が解けているのならば、むしろ好都合だ。今度こそ完全に殺してやる」
――そう呟くと――
――いつの間にかその身体は、闘気に覆われており――
――次の瞬間――
「ぐぁっ!」
「まずは一匹」
「「「!」」」
――一瞬でティーパの眼前に移動した彼女は――その頭上にいる魔王の身体を薙ぎ払い、一刀両断していた。
アンによる尤もな指摘に、シャウルは仰々しく両腕を広げて、天を仰いだ。
「フッ。我の美しさは、時を超越するのだ」
「あ、そう言えば、アンデッドだったわね」
「フッ。そうとも言う」
胸に手を当てて答えるシャウル。
すると、リカがシャウルを銀杖でビシッと指した。
「でも、何で勇者がアンデッドになってるの? リカは騙されないの! あなたは、本当は勇者じゃないの! 宝を守るただのボスで、勇者を騙ってるだけなの!」
得意顔で胸を張る彼女に、横からティーパが口を挟む。
「いや、アイツは勇者だ。このパンツの匂いからすると、間違いない」
「パンツ……なるほど、特殊能力持ち――つまり、貴様は異世界転生者、と言った所だな」
勇者には特殊な力があるのか、洞察力が優れているだけなのかは分からないが、シャウルはティーパの素性を難無く看破した。
「どわはははははははは! 何で勇者が、アンデッドなんかやってるんだ?」
「フッ。良いだろう。四百年振りの邂逅だ。貴様らに教えてやろう」
マーサの問いに、右手を差し伸べるような仕草で応じたシャウルは、左手を頭上に翳しながら、再び天を仰いで、語り始めた。
※―※―※
四百年以上前。
人類は、長年、魔王によって苦しめられていた。
人智を超えた魔王の力と、数多の凶悪なモンスターたちにより、人間たちは、その数を減らしていった。
このままでは、滅んでしまう。
そう危惧するも、人間たちには、為す術も無く――
と、そこに。
勇者が現れた。
勇者シャウルは、激闘の末、魔王を倒した。
――が、尋常ならざる力を持つ魔王を完全に打ち滅ぼす事は出来ず、その力を〝封印〟する事になった。
ちなみに、この時シャウルは、〝黒魔石(モンスターを生み出していた元凶だったらしい)〟を破壊しようとしたが、自分の力を復活させるための一つ目の鍵であるためか、魔王が最後の力を振り絞って、魔王城からシャウルを締め出して、認識阻害魔法を掛けて、見る事も触れる事も出来なくしてしまったため、それは叶わなかった。
仕方が無いので、シャウルは、代わりに、全世界にある全てのダンジョンを一つずつ回って、〝モンスターにだけ効果のある、不可視の魔法障壁〟を、入口に設置して行った(各ダンジョンと魔王城は地下で繋がっており、〝黒魔石〟によって生み出されたモンスターたちが、それぞれのダンジョンへと送り込まれ続けているようだ)。
魔王が封印されたことが、世界各国に知れ渡り――
これで、世界に平和が訪れる。
誰もが、そう思っていた。
――だがしかし。
現実はそう甘くは無かった。
グロモラージ平野のど真ん中にある魔王城は、〝何でも願いを叶える〟という〝聖魔石〟がある、ダーグローツ大陸の最北端へ行く途中の、最大の障害だった。
それが無くなった事で――
――人間の王たちの〝欲望〟が露わになった。
それは、〝強大な軍事力を手に入れたい〟〝他国を侵略したい〟〝世界征服をしたい〟という、〝力〟への渇望だった。
グロモラージ平野には、数多の上級モンスターに、最上級モンスターまでいる。
しかし、大規模な軍隊を編制して、「誰か一人でも辿り着ければ良い」という考えで、人的損失を全く考慮しなければ、踏破は不可能では無かった。
各国の王たちが、同じ考えに至った結果――
――〝聖魔石〟の取り合いになり――
――人類は大規模な戦争を起こし――
――自ら滅亡し掛けた。
シャウルは、考えた。
どうすれば、愚かな為政者たちを、踏み止まらせる事が出来るか、と。
そこで思い付いたのが、〝聖魔石〟がある神殿を、〝誰も入れない聖域〟とする事だった。
シャウルは、どれだけ強力な軍隊であろうが、魔法使いであろうが、決して破れ
ない魔法障壁――〝光の壁〟を設置した(神殿前(南側)の平野を横断し、西から北、そして東へと至る海岸線に沿って聳え立つそれは、海からの侵入も阻み、更に上空にも展開されているため、空路での攻略も不可能)。
その上で、シャウルは、再び思考した。
「果たして、これで十分だろうか?」と。
〝光の壁〟に対する、絶対的な自信はある。
誰にも打ち破られないはずだ。
――が、念には念を入れるべきではないだろうか、と。
そこまで思考したシャウルは、諸悪の根源を絶つことにした。
即ち――〝聖魔石〟を破壊するのだ。
だが、いざ〝聖魔石〟に攻撃しようとすると――
「ぐっ!」
――反撃を食らった。
〝光の壁〟を発動して、かなりの魔力を消費したばかりであった事もあり、シャウルは、〝聖魔石〟が放つ、圧倒的な光の奔流により、その存在ごと消されそうになり――
(マズい! このままでは――!)
シャウルは、咄嗟に――
「我の願いを叶えろ、〝聖魔石〟! 我を〝アンデッド〟にしろ! 我はもう、貴様を破壊しない。代わりに、我が貴様を守ってやる! 未来永劫な!」
――そう叫んだ。
〝殺されないため〟に。
そして、〝破壊〟が不可能であれば、せめて〝番人〟として、何人たりとも、〝聖魔石〟に近付けさせないようにするために。
〝聖魔石〟は――
――シャウルの願いを聞き入れた。
※―※―※
その後。
シャウルは、四百年間ずっと、〝聖魔石〟を守り続けて来た。
※―※―※
「フッ。まぁ、我が設置した〝光の壁〟が強過ぎて、この四百年間、ここまで辿り着けた者は皆無だったのだがな」
そこまで語った後、シャウルは優美に髪を掻き上げた。
「話は分かったわ。でも、あたしは、他の国の侵略なんてしないし、世界征服なんて興味ないわ。あたしはただ、妹たちと平和に暮らしたいだけ」
「どわはははははははは! そうだな、冒険者にはなれたし、僕も、父ちゃん母ちゃんと一緒に暮らせれば、それで良い! 後は、毎日筋トレして、父ちゃんみたいに強くなるだけだ!」
「リカは、お姉ちゃんに恩返しするの! そして、お兄ちゃんと二人で、大きな家で、仲睦まじくいつまでも幸せに暮らすの!」
「だから、あんただけ夢がおかしいのよ!」
仲間たちが夢を語る中――
残った一人に、シャウルの視線が移る。
「貴様はどうだ?」
ティーパは、相変わらずの無表情で答えた。
「俺が〝聖魔石〟を得たい理由は、〝究極のハーレム〟を作るためだ」
「何度聞いても、酷い理由よね」と、アンが溜息をつくが――
「嘘だな」
「!」
――先程までとは打って変わって、シャウルが鋭い眼光でティーパを刺す。
思わず、アンが瞠目する。
「見縊るなよ、青二才。我は、人間時代に、腹に一物――どころか、二物三物あるような、世界各国の首脳や重鎮たちと何度も相見えた。眼前の人間が本当の事を言っているかどうかなど、一目見れば分かる」
「………………」
無言のティーパに、「……ティーパ?」と、困惑するアン。
「本当の事を言わぬ限り、我はここを退かぬ」
戦う前から分かる、明らかに〝強者〟特有の威圧感を身に纏うシャウルに、仕方が無いとばかりに、ティーパは――
「………………」
「…………?」
――アンを一瞥すると――
「……俺の本当の目的は、とある人物を生き返らせる事だ」
――シャウルに視線を戻して、そう答えた。
「え? 誰? お爺ちゃんのこと? それとも、パパのこと?」
自分たちが孤児院で世話になったリットス神父とザーファ神父の話を持ち出すアンだったが、ティーパからの反応は無く――
「その人物とは、誰だ?」
「………………」
「黙りか。まぁ、良い」
シャウルは――
「フッ」
――表情を和らげると、流麗な動きで――
「今度の言葉は、嘘ではないようだが――人間とは、移ろいやすい生き物だ。手に入れた瞬間に、気が変わるやもしれん」
――腰の銀剣を引き抜くと――
「やはり、貴様らに〝聖魔石〟を渡す訳にはいかん。ここから立ち去れ。もし去るならば、危害は加えん。だが、それでも諦めぬと言うなら――我が剣の錆にしてくれよう」
――底冷えのする殺気を放った。
離れていても肌にビリビリと感じる程の殺気と、重圧。
その場にいる誰もが、動けずにいると――
「動かないと言う事は、諦めないという事だな?」
シャウルが――
「ならば、覚悟する事だ」
――その全身から放つ殺気と重圧を、更に膨張させた――
――直後――
「ところで、何だ、貴様がその頭の上に乗せている犬っころは?」
「犬じゃないまお! 魔王まお!」
――予想外のやり取りが為されて、思わずアンはズッコケた。
「酷いまお! お前、山の中で〝声だけ〟だった時も、魔王の事を〝子犬〟って言ったまお! 言って良い事と悪い事があるまお!」
地団駄を踏む魔王に、「人の頭の上で足踏みするな」と、ティーパが苦情を言う。
「フッ。魔王だったか。無論、分かっていたとも」
「嘘ね」
先程驚かされたことに対する意趣返しなのか、そう断言するアン。
「そうか、封印が解け掛けているのか。無理もない。もう四百年だからな」
遠い目をしたシャウルが――
「だが、中途半端に封印が解けているのならば、むしろ好都合だ。今度こそ完全に殺してやる」
――そう呟くと――
――いつの間にかその身体は、闘気に覆われており――
――次の瞬間――
「ぐぁっ!」
「まずは一匹」
「「「!」」」
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