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24.「暗殺依頼(人間)」

「すごい! 大きい!」
「いくら何でも大き過ぎよ!」

 皇帝さまから頂いた家は、度肝を抜かれる程の豪邸だった。

 ウルムルさんの家も十分大きかったけど、今僕らが目の前で見上げている建物は、それを遥かに凌駕する。

「ハッ! 流石一国の王! 太っ腹じゃないか」
「ありがたいことですわ」

 帝都の中心部にある貴族街の端にあるこの邸宅は、今は亡きとある高名な貴族の方のものだったらしい。

 身寄りもなく、しかし帝国の繁栄に多大な貢献をした方なので、取り壊すなどいう選択肢は無く、どうしたものかと思っていた所だったそうだ。

「では、リュウさま。早速私たちの愛の巣へと参りましょう」
「ウ、ウルムルさん!?」
「ちょっと! 何リュウ君に腕絡ませて尻尾でさわさわしちゃってるのよ! しかも愛の巣って何よ!?」
「あら? もしかして貴方も混ざりたいんですの? 仕方ないですわね。そこまで言うなら、別に良いですわよ?」
「ま、混ざる!? だから何の話してるのよッ!?」
「ハッ! じゃあ、あたいも混ぜてもらおうかね」
「エルアまで悪ノリするんじゃないの!」

 耳まで真っ赤になりながら、マイカさんが叫ぶ。

 いきなり腕を組まれて柔らかいものが当たりドキドキしちゃったけど、みんなの仲良しなやり取りにほっこりして、少し動揺が収まった。

 それから、僕らは貰った家で寝泊まりしつつ、南部砦へと加勢しにいく日々を過ごした。

 なお、大量の金貨を持ち歩くわけにはいかないので、受け取った千枚の内、大部分は銀行に預けた。マイカさんいわく、元々いた世界でも、中世ヨーロッパでは既に銀行が存在していたらしい。

 冒険者カードは一種の簡易的な魔導具であり、銀行のカードのように、金貨などを銀行に預けておいて、また別の国で下ろすことが出来るのだ(冒険者以外の者の場合は、カード形魔導具型を用いて同様のサービスを受けられる)。

 あと、更に四日間、砦防衛をすることに対する褒美として、ドラゴンパレードが良いと言ってしまったので、「思わず僕が自分が欲しいものを言っちゃいましたが、みんなはそれで大丈夫でしたか?」と聞いたら、「良いに決まってるじゃない!」「ハッ! このパーティーのリーダーはあんただよ、リュウ!」「リュウさまの御決断に間違いなどあろうはずがありませんわ」と、みんなすごく温かかった。

 素敵な仲間たちに囲まれて、幸せだなぁ。

※―※―※

 四日間という約束の期間が過ぎて、更にその翌日の朝。

「おかげで部隊再編制も済み、無事配備することが出来た。礼を言う」
「こちらこそ色々とありがとうございました!」
「貴公らならば、きっと魔王討伐を成し遂げられると信じている」
「はい! 仲間とドラゴンと力を合わせて必ず倒してみせます!」

 皇帝さまに一礼して、僕らはガルティファーソン帝国を後にした。

※―※―※

「スピガアアア!」
「また宜しくね、スピドラ」

 ドラゴンの背に乗り、僕らは街道を北東へと進む。

 風景が草原から荒野へと変わり、また草原へと戻るのを見ながら。

 ちなみに、ファルガと千匹のモンスターを討伐したことで、僕らのレベルはまた上がった。

【基本ステータス】
 LV380
 名前 リュウ
 年齢 15歳
 性別 男
 種族 人間
 職業 ドラゴン召喚士
 状態 ミックスドラゴンブラッド(3種類)
 称号 ドラゴンマスター

【スキル】
 召喚<LV 8>(※ウォータードラゴンを新たに追加)
 硬化<LV 8>(※パッシブ(常時発動型)スキル)
 身体強化<LV 8>(※パッシブ(常時発動型)スキル)
 闘気<LV 8>

【耐性】
 状態異常(麻痺・石化・呪い・毒)
 攻撃魔法(炎・土・氷・水)

 ドラゴンと伝説の武器のおかげでどんどんレベルアップしてるけど、僕自身はまだまだ弱いから、もっと頑張らなくちゃ!

 あ! また新しいドラゴンだ! 会うのが楽しみだなぁ♪

 それと、感知ディテクションドラゴンのレベルが上がって、感知範囲が広がった!
 〝一国の領土内全て〟にまで! すごい! 更にレベルアップしたら、もっと広がりそう!

 ちなみに、マイカさんはLV165、エルアさんはLV146、そしてウルムルさんがLV139だ。
 パーティー全体でレベルが上がっていくのは嬉しい!

※―※―※

 ファーリップ皇国皇都に辿り着いた頃には、辺りは暗くなっていた。

 ロドリアス王国と同じくらいの緯度なので気温は同じくらいだが、海が近いこともあって、湿度は少し高い。

 南城門から中に入ると、中央通りの左右に立ち並ぶ建物が、ランプ形魔導具によって照らされている。
 その中でも一際目を引く建物があった。

「なんだかこの教会……やたら大きくないですか?」

 光輝こうき教の教会はロドリアス王国王都やガルティファーソン帝国帝都にもあった。
 だが、今眼前に聳え立つ建物は、それらよりも数段巨大だ。

「これは、教団本部ですわ」
「あ、本部って、ここなんですね!」

 ウルムルさんが解説してくれた。
 貴族と宗教は密接に繋がっていることが多いし、もしかしたら以前来たことがあるのかもしれない。

 夜間なのにまるで太陽のように煌びやかな光を放つ、その豪奢な佇まい。
 一体どれだけの魔導具を使用しているのか、想像もつかない。

 きっと献金がたくさんあるんだろうなぁ。

 そんなことを思いながら、僕は仲間と共に宿を取り、眠りについた。

※―※―※

 翌朝。

「是非とも、我が国の皇帝に会ってくれ」

 もしかしたら、という予感は的中。
 立ち寄った冒険者ギルドにてギルド長が、どこかで聞いた台詞を発した。

 僕たちを待ち構えていたみたいだし、恐らく、ガルティファーソン帝国から「もうすぐそっち行くよ!」みたいな感じで、魔導具で通信があったんだろうな。

 早速王城に行くと、謁見した皇帝さまは、体格の良い中年の男性だった。

「ガルティファーソン帝国では、魔王軍幹部の一人を討ったとのこと」

 あ、やっぱり聞いてたんですね。

「実力も実績も申し分ない。そんなお前たちに頼みがある。一つは、クラーケンの討伐。もう一つは――」

 煌びやかな衣装に身を包んだ皇帝さまの瞳に、冷たい光が宿った。

「〝光輝こうき教〟教皇の〝暗殺〟だ」
「「「「!?」」」」

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