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お父さんと私
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私のお父さんはとっても私にやさしいです。
「唯はお父さんのたから物だよ。」
いつもそう言ってやさしく私の頭をなでてくれます。
「唯さえいればお父さん他はいらないよ。」
そう言ってニッコリと私に笑いかけてくれます。
ところが、こないだそのやさしいお父さんが病気でたおれてしまいました。
私が、「お父さん、大丈夫?」とたずねると、
「ああ、大丈夫、大丈夫……。」
そう答えるお父さんのひたいは汗でびっしょりとぬれていて、口のはしからはよだれがこぼれ落ちています。
その後、楽になったのかお父さんはスヤスヤとね息を立てて眠り始めました。
けれど、何かうわ言を言っているようで良く耳をすませてみると、
「……もうすぐ……。もうすぐだ……。…もうすぐで唯も7才になる……。…ごめん、恵子。…俺はもうたえられそうにない……。」
と、良く分からなかったけれど、お父さんは何か死んだお母さんに謝っていました。
いったい何を謝っているのかな?
◆ ◆ ◆ ◆
その日、少女が学校から帰ると父の姿がない。
慌てて探してみると父親は洗面台の前で頭を洗い場に突っ込んで、その上からジャージャーと水を流している。
……充血した目でじっと洗い場の底を見つめながら。
少女が父親のパジャマの裾を引っ張って言う。
「お父さん、ねえ大丈夫?ねえ、お~と~う~さ~ん!」
すると、父親は洗い場から水を滴らせながら顔を上げた。
相変わらず両目は赤く充血しており、心なしかいつもより光が少なく虚ろな感じがした。
少女はいつもと違う父親の様子に怯えて一歩、二歩と後ろに後ずさる。
それをジッと見つめていたかと思うと、父親はまるで亡者のようにゆっくりと少女に向かって歩き出した。
「……お父さん、どうしちゃったの?またどこか悪くなっちゃったの?」
少女は涙ぐみながらも父親に訴えかける。
「……ごめん、唯…。お父さん、もう、我慢できないよ……。」
父親はそう言って少女に近づき、その肩に両手を乗せると、
「…だって、こんなに美味しそうに育っちゃったんだもの!!」
顎をとても人間のそれとは思えない程、大きく開いて少女を頭から…………。
◆ ◆ ◆ ◆
『××町に伝わる怪異の話』
××大学民俗学教授 高橋克臣
……そうして、彼らは人間社会に溶け込んだ。しかしながら、七五三の年の子供が側にいると、彼らはその恐ろしい本性を押さえられなくなってしまう。いくら人間に似ているとはいえ、それらはやはり化け物なのである。……
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「ああ、大丈夫、大丈夫……。」
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