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鬼の棲む場所その1
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Q大学ミステリー同好会はその名とは裏腹に、ミステリー作品を読み合い感想を言ったりとかミステリー作品を自ら書き上げる、といったサークルではなく、今や廃墟巡りのサークルと化していた。
ある日の事、ミステリー同好会の有志5人で、K市の今は使われていない廃トンネルに行こうという話になった。
その内の一人の所有する軽バンに乗り込み、とりあえずは現在使用されている方のトンネルまで5人はやって来た。
「全くここから一時間も歩くのかよ……。
ダリィな……。」
小手川が愚痴ると、
「いやいや分かってないねぇ~~~!そこ込みでの廃墟巡りっしょ!!」
と、廃墟マニアの湯川が熱弁する。
ミステリー同好会は総勢20名いるのだが、その内約半数は幽霊部員であり、実際に活動しているのはここにいる5人を含めた10名そこらだった。
今日廃トンネル巡りにやって来たのは、同好会でも1、2を争う廃墟マニアの湯川哲(20)、ちょいちょいサボるものの一応は活動している小手川徹(20)、その彼女の伊東愛実(19)、その友達の加賀しおん(19)、そして副部長の松前武(21)の5人だ。
「ねぇ、本当にここ初心者向けなんでしょうね?」
しおんが言うと、
「…ま、まあね。……昔は色々出たりとかしたみたいだけど、ここ数十年はネットで調べても何も報告とかないし、俺自身一回来たことあるけどそのときも特に何もなかったんだぜ?」
………湯川はいわゆるDTなので、女性と話すときはやや吃りがちになるし、勿論目を見て話す事も出来ない。
「…ちょっとあんた、人と話すときは目をみろっつーの!」
と、軽くしおんにいじられる。
「まあまあ、取り敢えずは旧トンネルの方へ出発しようか。懐中電灯と予備の電池は持った?」
松前が聞くと、愛実が、
「はい!バッチリです!」と元気良く返事する。
「じゃあ出発しよう!」
松前の言葉に一同は旧トンネル、正確にはW隧道の入口へと向かう山道を進んでいった。
◆ ◆ ◆ ◆
旧トンネルの入口は一応は柵で閉鎖されているものの、低い柵なので簡単に中に入ることが出来る。
深夜なので入口上部の錆びたプレートといい、所々ヒビが入り苔むした佇まいといい、かなり不気味である。
「ひょお~~~!!中々雰囲気あるじゃん!!」
さっきまでは実につまらなさそうにしていた小手川もテンションをあげて叫ぶ。
「……うっわ……。こういうのマジ無理なんだけど……。」
しおんが堪らずそう漏らす。
「僕もここへは一回湯川くんと一緒に来たことあるけど、夜だと本当不気味だね。」
そう言う松前は、どこか楽しげだ。
流石は副部長といったところか。
「は~~~い!じゃあ、皆にも懐中電灯を渡しま~~す!」
先程までは先頭の松前以外のメンバーは懐中電灯を持っていなかったので、愛実が各自に懐中電灯を渡して行く。
「それではお待ちかね!行きますか!!」
この時ばかりはテンションが上がっているためだろう、残りのメンバーの顔をザッと見渡して湯川が率先してトンネルの中へと入っていく。
「やれやれ。彼も好きだね~~。じゃあ、我々も行きますか。」
と、呑気な声で松前が言うと、残りの4人もぞろぞろと湯川に続いていった。
ある日の事、ミステリー同好会の有志5人で、K市の今は使われていない廃トンネルに行こうという話になった。
その内の一人の所有する軽バンに乗り込み、とりあえずは現在使用されている方のトンネルまで5人はやって来た。
「全くここから一時間も歩くのかよ……。
ダリィな……。」
小手川が愚痴ると、
「いやいや分かってないねぇ~~~!そこ込みでの廃墟巡りっしょ!!」
と、廃墟マニアの湯川が熱弁する。
ミステリー同好会は総勢20名いるのだが、その内約半数は幽霊部員であり、実際に活動しているのはここにいる5人を含めた10名そこらだった。
今日廃トンネル巡りにやって来たのは、同好会でも1、2を争う廃墟マニアの湯川哲(20)、ちょいちょいサボるものの一応は活動している小手川徹(20)、その彼女の伊東愛実(19)、その友達の加賀しおん(19)、そして副部長の松前武(21)の5人だ。
「ねぇ、本当にここ初心者向けなんでしょうね?」
しおんが言うと、
「…ま、まあね。……昔は色々出たりとかしたみたいだけど、ここ数十年はネットで調べても何も報告とかないし、俺自身一回来たことあるけどそのときも特に何もなかったんだぜ?」
………湯川はいわゆるDTなので、女性と話すときはやや吃りがちになるし、勿論目を見て話す事も出来ない。
「…ちょっとあんた、人と話すときは目をみろっつーの!」
と、軽くしおんにいじられる。
「まあまあ、取り敢えずは旧トンネルの方へ出発しようか。懐中電灯と予備の電池は持った?」
松前が聞くと、愛実が、
「はい!バッチリです!」と元気良く返事する。
「じゃあ出発しよう!」
松前の言葉に一同は旧トンネル、正確にはW隧道の入口へと向かう山道を進んでいった。
◆ ◆ ◆ ◆
旧トンネルの入口は一応は柵で閉鎖されているものの、低い柵なので簡単に中に入ることが出来る。
深夜なので入口上部の錆びたプレートといい、所々ヒビが入り苔むした佇まいといい、かなり不気味である。
「ひょお~~~!!中々雰囲気あるじゃん!!」
さっきまでは実につまらなさそうにしていた小手川もテンションをあげて叫ぶ。
「……うっわ……。こういうのマジ無理なんだけど……。」
しおんが堪らずそう漏らす。
「僕もここへは一回湯川くんと一緒に来たことあるけど、夜だと本当不気味だね。」
そう言う松前は、どこか楽しげだ。
流石は副部長といったところか。
「は~~~い!じゃあ、皆にも懐中電灯を渡しま~~す!」
先程までは先頭の松前以外のメンバーは懐中電灯を持っていなかったので、愛実が各自に懐中電灯を渡して行く。
「それではお待ちかね!行きますか!!」
この時ばかりはテンションが上がっているためだろう、残りのメンバーの顔をザッと見渡して湯川が率先してトンネルの中へと入っていく。
「やれやれ。彼も好きだね~~。じゃあ、我々も行きますか。」
と、呑気な声で松前が言うと、残りの4人もぞろぞろと湯川に続いていった。
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