絶望の魔王

たじ

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デル・バンバの祭壇の間でようやく目覚めたラボスに、金色のオーブから一つの人影が出てきてラボスにこう語りかけた。

「……お前の願いは私が叶えてやった。
……しかし、それには対価を必要とする。……契約により、お前の精神力が尽きたとき、お前の肉体をこの私がもらい受けよう。
そのときまで精々心残りのないように励むがいい……」

異形の姿となったラボスは、その言葉をしっかりと胸に刻んだ。

それから、デル・バンバの祭壇の間にあるオーブの力によって、異形の姿に変形して甦ったラボスは、デル・バンバの遺跡内から外へ出ると、その背中から大きな黒い翼を出現させて、一路聖都ラーヌへと飛び立つと、決然とした表情で正面を睨み付け、言った。

「…………僕は、ハルトをサーシャの魔の手から救ってみせる!……そして、やつらの薄汚い謀略もきっと、白日のもとに晒してやるぞ!!」

ラーヌへと飛行するラボスの背中は、すぐに小さくなり、やがて見えなくなった。


    ◆  ◆  ◆  ◆


魔術研究所所長、オゥル・エル・グリドラの命により、聖都ラーヌから少し離れた、古代の神殿の跡地にて魔術研究所の研究員たちがその地面に巨大な魔方陣を作り上げていた。

「おい!そっちにそのマジックアイテムを置くんじゃない!こっちだろう?それは!!」

魔方陣の片隅で作業していた年嵩の研究員が、まだ新参者の研究員を叱り飛ばした。

「……すいません。自分、この術式初めてなもんで……」

頭をかきつつ新参の研究員が、そう答える。

「……ったく、これだから最近の若いもんは……」

ブツブツ言いながら、年嵩の研究員は再び作業に戻っていく。

地面には、この世界で昔使われていた古代文字が円形の陣のあちらこちらに書かれており、その端には色とりどりのマジックアイテムがうず高く積まれていた。

この魔方陣が聖都ラーヌを元の世界に戻すため、もう一つの魔方陣の魔力をブーストさせるための魔方陣で、肝心のもう一つの魔方陣は魔術研究所内部に形成されていた。

「……我らが悲願今度こそは…………」

作業の最中の年嵩の研究員が、そう呟いた。


    ◆  ◆  ◆  ◆

「見えてきたわ~~ん♡」

その頃、再び魔王城から出撃した、旋風のパルス率いるモンスターの一団は、パルスの魔力探知により、勇者がいる、聖都ラーヌへと飛行中だった。

魔王城の手前の滅びの森には、魔導騎士団先代の、カリウス・セン・コールが魔王退治のために仕掛けた、ラーヌと滅びの森を往復するための魔方陣が存在しているものの、その魔方陣は魔王配下のモンスターたちには残念ながら使うことができなかった。

「……まあったく。あれが使えればこんなに苦労して飛ぶこともないのにね~~……」

旋風のパルスは一人、モンスターの一団の先頭でぼやくと、その飛行速度を更に上げた。
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