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パルスは、魔導騎士達の猛攻をかわしながら主である、魔王ガロンからかつて聞かされた自分達ーーこの世界のモンスター達ーーの出生の秘密を思い出していた。
この大陸では、何千年も昔から奴隷制度が蔓延っており、貴族や王族が子飼いの人買いに命じて、大陸の方々から様々な年齢性別の貧しい人間を金に権力にものを言わせて集めさせていた。
そうして聖都ラーヌに集められてきた哀れな被害者達は、愛玩用、魔術研究所の実験用、雑用用として金を出した貴族や王族のもとで飼われることになる。
その中の、魔術研究所による残虐非道な実験の果てにこの世界のモンスター達は誕生した。
しかし、彼らには魔王ガロンから話を聞かされるまで、そうやって自分達がこの世界に生まれたのだ、という記憶が甦ることはなかったのだ。
圧倒的な強さを持った魔王ガロンと交戦し、負かされてその話を聞かされたときに、パルスらモンスター達の記憶が刺激されて、はじめて彼らは忌まわしい記憶ーー奴隷だった頃のーーを取り戻すことになる。
そして、その日から彼らモンスター達は人の世をこの上もなく憎み、また一致団結して攻撃することになったのだった。
「フン…………。あたしとしたことがチョイとおセンチになっちゃったわね…………。
さあ、そろそろ反撃といきますか!!」
ラーヌの入り口上空へと飛んでくる騎士達の魔法をかわしつつ、パルスは一匹呟くと、配下のモンスター達と共に騎士団へと反撃を始めた。
◆ ◆ ◆ ◆
「グブッッ!!」
ドレイン達の攻撃をまともに食らって、ラボスがその片膝を床につける。
「思い知ったか!!我らが力!!」
ドレインが、片膝をついたラボスの姿に薄く笑いを浮かべて言った。
ラボスの切り裂かれた全身からは緑色の血液が所々から流れだし、床にうずくまったラボスは
憔悴しきっているように見えた。
「覚悟っっ!!」
ドレイン達がここぞとばかりに追撃を仕掛けた。
しかし。
「うおおおおおおおおおおおおっっ!!」
それまでうずくまっていたラボスが雄叫びを上げて魔力を全解放させると、ラボスの全身から黒い光が発せられて、攻撃を仕掛けようとしていたドレイン達は何mも吹っ飛ばされる。
「…………どうやら君たちを甘く見すぎていたようだ……。デスクロー!!」
ラボスの全身を覆っていた黒い光がラボスの両腕に集約されて、黒い禍々しい炎となって両腕に宿り、ラボスの振りかぶった両腕からその黒い炎がまだ倒れ伏しているドレイン達に襲いかかった。
「ぎゃああああああああああーー!!」
「うおおおおおおおっっーー!!」
「キャアアアアアアアアア!!」
ラボスの腕から発せられた黒い炎に焼かれてドレイン達は灰となった。
「ク、クソがっっっ……!!よくも我が可愛い部下達をっ……!!」
ラボスの正面で、裂かれた胸を押さえたトレースがそう呻く。
「…………さて、邪魔物はいなくなったね。覚悟してもらおうか」
淡々とそう告げるとラボスはうずくまって動けないトレースに止めを刺した。
この大陸では、何千年も昔から奴隷制度が蔓延っており、貴族や王族が子飼いの人買いに命じて、大陸の方々から様々な年齢性別の貧しい人間を金に権力にものを言わせて集めさせていた。
そうして聖都ラーヌに集められてきた哀れな被害者達は、愛玩用、魔術研究所の実験用、雑用用として金を出した貴族や王族のもとで飼われることになる。
その中の、魔術研究所による残虐非道な実験の果てにこの世界のモンスター達は誕生した。
しかし、彼らには魔王ガロンから話を聞かされるまで、そうやって自分達がこの世界に生まれたのだ、という記憶が甦ることはなかったのだ。
圧倒的な強さを持った魔王ガロンと交戦し、負かされてその話を聞かされたときに、パルスらモンスター達の記憶が刺激されて、はじめて彼らは忌まわしい記憶ーー奴隷だった頃のーーを取り戻すことになる。
そして、その日から彼らモンスター達は人の世をこの上もなく憎み、また一致団結して攻撃することになったのだった。
「フン…………。あたしとしたことがチョイとおセンチになっちゃったわね…………。
さあ、そろそろ反撃といきますか!!」
ラーヌの入り口上空へと飛んでくる騎士達の魔法をかわしつつ、パルスは一匹呟くと、配下のモンスター達と共に騎士団へと反撃を始めた。
◆ ◆ ◆ ◆
「グブッッ!!」
ドレイン達の攻撃をまともに食らって、ラボスがその片膝を床につける。
「思い知ったか!!我らが力!!」
ドレインが、片膝をついたラボスの姿に薄く笑いを浮かべて言った。
ラボスの切り裂かれた全身からは緑色の血液が所々から流れだし、床にうずくまったラボスは
憔悴しきっているように見えた。
「覚悟っっ!!」
ドレイン達がここぞとばかりに追撃を仕掛けた。
しかし。
「うおおおおおおおおおおおおっっ!!」
それまでうずくまっていたラボスが雄叫びを上げて魔力を全解放させると、ラボスの全身から黒い光が発せられて、攻撃を仕掛けようとしていたドレイン達は何mも吹っ飛ばされる。
「…………どうやら君たちを甘く見すぎていたようだ……。デスクロー!!」
ラボスの全身を覆っていた黒い光がラボスの両腕に集約されて、黒い禍々しい炎となって両腕に宿り、ラボスの振りかぶった両腕からその黒い炎がまだ倒れ伏しているドレイン達に襲いかかった。
「ぎゃああああああああああーー!!」
「うおおおおおおおっっーー!!」
「キャアアアアアアアアア!!」
ラボスの腕から発せられた黒い炎に焼かれてドレイン達は灰となった。
「ク、クソがっっっ……!!よくも我が可愛い部下達をっ……!!」
ラボスの正面で、裂かれた胸を押さえたトレースがそう呻く。
「…………さて、邪魔物はいなくなったね。覚悟してもらおうか」
淡々とそう告げるとラボスはうずくまって動けないトレースに止めを刺した。
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