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「……元々この世界を見守っていた全能の神たる私に、ある日邪悪な存在が勝負を挑んできたのです。彼らは、この世界の生き物たちの負の思念が長い年月積み重なって生まれた存在でした。
……私は、彼らに敗れて実体を失い、精神体を残すのみとなりました。
……私にはこのまま、邪神たちが人々を思うがままに操るこの世界を見過ごすことはできない。例えば、聖都ラーヌの魔術研究所、それを取り仕切っている貴族や王族たち、そして、その子飼の人買いたち。
私と邪神たちが古に争った際に、時空に歪みが生まれ、その為に聖都ラーヌと今では呼ばれているこの都市は元の世界からこちらの世界に都市ごと転移してくることとなりました。
……残念なことに、その時に、権力層にいた人間たちは、邪神たちにすっかり心を奪われてしまったのです。……そして、魔術研究所は、今日に至るまで非道な実験を妄執に駆られて続けてきました。……そんなことをしても、決して元の世界には帰れないというのに……。
……今や精神のみの存在となってしまった私には、それを止めたくても止める術が長らくの間、存在しなかったのです。しかし、今、恐らくは時空の歪みの干渉の結果によって、あなたという強力な魔力をもった、邪神たちに未だ心を支配されていない存在が現れました。
……どうか、私に協力して、この世界に平穏を取り戻してはいただけませんか?」
「そんな、ことを、言われても…………」
あまりに予期せぬ言葉に、先程までは、百合江を殺された怒りで頭が一杯になって、惨殺を繰り返していた春人にも幾分かの冷静さが戻ってきつつあった。
「……いいですか?彼らをこのままにしておけば、またあなたたちのように無辜の人々がその犠牲になってしまうことになるのですよ?
……彼らは手段を問わず、人々をひどい目に遭わせて負の感情の連鎖を産み出し続けていくことでしょう。
……しかし、あなたが私に協力さえしてくれれば、その悲劇は未然に回避できるのです」
暫しの間、春人は言葉を失くしてその場に茫然と立ち尽くしていた。
そして、ようやく口を開くと神と名乗る存在に質問をする。
「……待ってくれ!あんたはこの世界の神様だったんだよな?……だとしたら、死んでしまった人間を生き返らせることはできるのか!?」
「……ええ。邪神たちから奪われし力を取り戻せさえすればできるでしょう。実は、すぐにでも肉体のみであれば、蘇生させることは可能です。あるマジックアイテムを使いさえすれば……。
……しかし、今やこの世界は邪神たちに支配されてしまっているため、その邪悪な力の影響で魂まではどうとも…………。どうやら、今蘇生を行うと、本来の体の持ち主の魂の代わりに、邪神たちの闇の力が体に宿ってしまうようなのです。
死者を完全に蘇生させるためには、やはり私が元の力を取り戻して復活することが必要不可欠だ、と思います。
……見たところ、あなたは、この世界に呼び寄せられたときに、時空の歪みの干渉を受けて、2つの存在に分裂してしまっているようです。……そして、その片割れは、今よりもずっと先の未来まで飛ばされてしまっているようです。
……まずは、あなたの分裂してしまった片割れを探して、その力をあなたと同じように覚醒させて、あなたが完全に一つに戻ることが邪神たちに打ち勝つための第一歩となります。
……とても長く辛い道のりを歩むことになるとは思いますが……どうかこの私に、あなたの力を貸してはもらえないでしょうか?」
そして、しばしの逡巡の後に決然とした表情を浮かべると、春人はコクリと一つ頷いた。
……私は、彼らに敗れて実体を失い、精神体を残すのみとなりました。
……私にはこのまま、邪神たちが人々を思うがままに操るこの世界を見過ごすことはできない。例えば、聖都ラーヌの魔術研究所、それを取り仕切っている貴族や王族たち、そして、その子飼の人買いたち。
私と邪神たちが古に争った際に、時空に歪みが生まれ、その為に聖都ラーヌと今では呼ばれているこの都市は元の世界からこちらの世界に都市ごと転移してくることとなりました。
……残念なことに、その時に、権力層にいた人間たちは、邪神たちにすっかり心を奪われてしまったのです。……そして、魔術研究所は、今日に至るまで非道な実験を妄執に駆られて続けてきました。……そんなことをしても、決して元の世界には帰れないというのに……。
……今や精神のみの存在となってしまった私には、それを止めたくても止める術が長らくの間、存在しなかったのです。しかし、今、恐らくは時空の歪みの干渉の結果によって、あなたという強力な魔力をもった、邪神たちに未だ心を支配されていない存在が現れました。
……どうか、私に協力して、この世界に平穏を取り戻してはいただけませんか?」
「そんな、ことを、言われても…………」
あまりに予期せぬ言葉に、先程までは、百合江を殺された怒りで頭が一杯になって、惨殺を繰り返していた春人にも幾分かの冷静さが戻ってきつつあった。
「……いいですか?彼らをこのままにしておけば、またあなたたちのように無辜の人々がその犠牲になってしまうことになるのですよ?
……彼らは手段を問わず、人々をひどい目に遭わせて負の感情の連鎖を産み出し続けていくことでしょう。
……しかし、あなたが私に協力さえしてくれれば、その悲劇は未然に回避できるのです」
暫しの間、春人は言葉を失くしてその場に茫然と立ち尽くしていた。
そして、ようやく口を開くと神と名乗る存在に質問をする。
「……待ってくれ!あんたはこの世界の神様だったんだよな?……だとしたら、死んでしまった人間を生き返らせることはできるのか!?」
「……ええ。邪神たちから奪われし力を取り戻せさえすればできるでしょう。実は、すぐにでも肉体のみであれば、蘇生させることは可能です。あるマジックアイテムを使いさえすれば……。
……しかし、今やこの世界は邪神たちに支配されてしまっているため、その邪悪な力の影響で魂まではどうとも…………。どうやら、今蘇生を行うと、本来の体の持ち主の魂の代わりに、邪神たちの闇の力が体に宿ってしまうようなのです。
死者を完全に蘇生させるためには、やはり私が元の力を取り戻して復活することが必要不可欠だ、と思います。
……見たところ、あなたは、この世界に呼び寄せられたときに、時空の歪みの干渉を受けて、2つの存在に分裂してしまっているようです。……そして、その片割れは、今よりもずっと先の未来まで飛ばされてしまっているようです。
……まずは、あなたの分裂してしまった片割れを探して、その力をあなたと同じように覚醒させて、あなたが完全に一つに戻ることが邪神たちに打ち勝つための第一歩となります。
……とても長く辛い道のりを歩むことになるとは思いますが……どうかこの私に、あなたの力を貸してはもらえないでしょうか?」
そして、しばしの逡巡の後に決然とした表情を浮かべると、春人はコクリと一つ頷いた。
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