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ハルトたちが、山頂目指して山道を登っていると、突然ラボスが、
「2人とも気をつけてっっ!!……どうやらモンスターのお出ましのようだ!」
と言って辺りに鋭く目を走らせた。
ラボスの言葉にハルトと百合江も、思わず身構えて辺りを見回す。
すると、ゴツゴツした灰色の山肌の間を縫っていたちのような青い体の生物が数匹こちらに駆け降りてくるのが見えた。よくよく観察すると、その体の側面からは触手のようなものが左右に数本ずつ生えている。
ラボスは、ハルトたちを背後に庇ってモンスターたちに向き直って身構えると、鋭い爪の生えた両手を頭上高く掲げて一気に振り下ろした。
目には見えない風の刃がいたちのような姿のモンスターたちに襲いかかる!
「……ピギャーーーーーーーーー!!」
「ピギィーーーーーーーー!!」
風の刃に切り裂かれてモンスターたちは次々と山道に転がり絶命していった。
「……フーーッ!!……さて、先に進むとしようか。……クッ!!」
ラボスが唐突にこめかみを押さえて地面にうずくまった。
「大丈夫ですか?」
慌ててハルトと百合江がラボスに近寄る。
「……いや、ちょっと立ち眩みがして……。もう大丈夫。さあ、行こうか」
そう言って笑いかけるラボスの額には汗が玉のように浮かんでいる。
……本当に大丈夫なのかしら?
ハルトの隣を歩く百合江はなにか不穏なものを感じないではいられなかった。
◆ ◆ ◆ ◆
「……気をつけろよお前ら」
先程まで3人の騎士たちの前を歩いていた13号が、ベルの森で騎士たちの一人を襲ったときのように地面にうずくまって小刻みに震えている。
そんな13号を遠巻きに眺めながら騎士の一人が魔法を唱えた。
「反射壁!」
3人の騎士たちを光輝く魔法の壁が取り囲んだ。
「……まあ、これならばこいつが俺たちにまかり間違って襲いかかってきたとしても、多分大丈夫だろう」
「そうだな……」
そんなやり取りをしている騎士たちにガバッと身を起こして13号が襲いかかった!
13号の大きく開かれた牙の生えた口を魔法の壁が阻んだ。
バリバリバリバリッ!!
騎士の一人がすっかり安心した顔で13号に背を向けて残りの2人に言った。
「……ふーーっ!もう少し魔法を掛けるのが遅かったらまた誰かやられていたところだったな!」
その瞬間、
バリバリバリバリッッ!!キィーンッッ!!、とけたたましい音を立てて、魔法の壁が砕け散った。
「な、なにっっ!?」
13号に背を向けていた騎士が慌てて振り返ろうとした。……しかし、13号が彼の背中にかぶりつくのがわずかに早く、13号は甲冑ごとその体を咀嚼してゆく。
「……うわあああああああああああ!!」
「この化け物めぇっっ!!炎閃光!!」
騎士の一人が魔法を唱えると瞬く間に13号の体が炎に包まれる。
しかし、炎に焼かれてもなお13号は哀れな騎士の体を咀嚼し続ける。……やがて、13号に噛みつかれていた騎士の体がガックリと項垂れた。
「……くそっっ!!くそっーーーー!!」
またしても13号に仲間をやられ、無念のあまり騎士の一人が地面に這いつくばってドン、ドン、とその拳で地面を叩いた。
その間にも13号は、バリッ、バリッ、と辺りに音を響かせて哀れな被害者の体を飲み込んでゆく。
そして、13号は残された2人の騎士たちの目の前で人を一人食らい尽くすと、その場に座りこんでウトウトと微睡み始めた。
「……お、俺はもう嫌だっっーーーー!!」
「お、おいっ!!待てよっっ!!」
仲間の制止も聞かずに、残された2人の騎士のうちの一人がその場から全速力で走って逃げ出してゆく。
「……ど、どうしたら…………」
遂に一人きりになってしまった騎士が一人、
途方にくれた顔で頭を抱えてその場にうずくまった。
「2人とも気をつけてっっ!!……どうやらモンスターのお出ましのようだ!」
と言って辺りに鋭く目を走らせた。
ラボスの言葉にハルトと百合江も、思わず身構えて辺りを見回す。
すると、ゴツゴツした灰色の山肌の間を縫っていたちのような青い体の生物が数匹こちらに駆け降りてくるのが見えた。よくよく観察すると、その体の側面からは触手のようなものが左右に数本ずつ生えている。
ラボスは、ハルトたちを背後に庇ってモンスターたちに向き直って身構えると、鋭い爪の生えた両手を頭上高く掲げて一気に振り下ろした。
目には見えない風の刃がいたちのような姿のモンスターたちに襲いかかる!
「……ピギャーーーーーーーーー!!」
「ピギィーーーーーーーー!!」
風の刃に切り裂かれてモンスターたちは次々と山道に転がり絶命していった。
「……フーーッ!!……さて、先に進むとしようか。……クッ!!」
ラボスが唐突にこめかみを押さえて地面にうずくまった。
「大丈夫ですか?」
慌ててハルトと百合江がラボスに近寄る。
「……いや、ちょっと立ち眩みがして……。もう大丈夫。さあ、行こうか」
そう言って笑いかけるラボスの額には汗が玉のように浮かんでいる。
……本当に大丈夫なのかしら?
ハルトの隣を歩く百合江はなにか不穏なものを感じないではいられなかった。
◆ ◆ ◆ ◆
「……気をつけろよお前ら」
先程まで3人の騎士たちの前を歩いていた13号が、ベルの森で騎士たちの一人を襲ったときのように地面にうずくまって小刻みに震えている。
そんな13号を遠巻きに眺めながら騎士の一人が魔法を唱えた。
「反射壁!」
3人の騎士たちを光輝く魔法の壁が取り囲んだ。
「……まあ、これならばこいつが俺たちにまかり間違って襲いかかってきたとしても、多分大丈夫だろう」
「そうだな……」
そんなやり取りをしている騎士たちにガバッと身を起こして13号が襲いかかった!
13号の大きく開かれた牙の生えた口を魔法の壁が阻んだ。
バリバリバリバリッ!!
騎士の一人がすっかり安心した顔で13号に背を向けて残りの2人に言った。
「……ふーーっ!もう少し魔法を掛けるのが遅かったらまた誰かやられていたところだったな!」
その瞬間、
バリバリバリバリッッ!!キィーンッッ!!、とけたたましい音を立てて、魔法の壁が砕け散った。
「な、なにっっ!?」
13号に背を向けていた騎士が慌てて振り返ろうとした。……しかし、13号が彼の背中にかぶりつくのがわずかに早く、13号は甲冑ごとその体を咀嚼してゆく。
「……うわあああああああああああ!!」
「この化け物めぇっっ!!炎閃光!!」
騎士の一人が魔法を唱えると瞬く間に13号の体が炎に包まれる。
しかし、炎に焼かれてもなお13号は哀れな騎士の体を咀嚼し続ける。……やがて、13号に噛みつかれていた騎士の体がガックリと項垂れた。
「……くそっっ!!くそっーーーー!!」
またしても13号に仲間をやられ、無念のあまり騎士の一人が地面に這いつくばってドン、ドン、とその拳で地面を叩いた。
その間にも13号は、バリッ、バリッ、と辺りに音を響かせて哀れな被害者の体を飲み込んでゆく。
そして、13号は残された2人の騎士たちの目の前で人を一人食らい尽くすと、その場に座りこんでウトウトと微睡み始めた。
「……お、俺はもう嫌だっっーーーー!!」
「お、おいっ!!待てよっっ!!」
仲間の制止も聞かずに、残された2人の騎士のうちの一人がその場から全速力で走って逃げ出してゆく。
「……ど、どうしたら…………」
遂に一人きりになってしまった騎士が一人、
途方にくれた顔で頭を抱えてその場にうずくまった。
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