【完結】想い人の婚約者になるまで、自分を偽装します。

MAYY

文字の大きさ
1 / 10

1.

しおりを挟む
「立派な令嬢に成長しますのでお願いします。」

口ではと真逆の土下座をして令嬢らしからぬ行いを既にしてるが今の私には大事なことはそれではない。

「リンネット嬢、顔を上げなさい。あなたの気持ちはよくわかった。うちの息子のことをそこまで想ってくれてるとは嬉しいな。」

私は顔を上げ目の前にいて話をしているローレン公爵や公爵夫人、私の親でもあるハブレン侯爵夫妻とお兄様を見渡す。

公爵夫妻はニコニコした好感触のある笑顔をくれるが、お父様にお母様は呆れてものが言えないとはぁぁと深くため息をついている。
ちなみにお兄様はこの事を話してただけあって今にも噴き出しそうだ。
私は本気だから失礼だ。

「はい。オーレンお兄様と遊んでいるときにいつも私も交えてくれましたわ。とても優しくて優しくて……私好きになってしまいましたの。でも3つも年が離れておりいずれ婚約者を持つでしょう?それを考えるだけで正気じゃいられなくなり………辛くて辛くてフレリー様のことが大好きなのです。私なりに考えた結果、私はまだ8歳です。12歳くらいには皆様婚約者を選びますでしょう?フレリー様もそろそろ候補が出揃っていると思われますわ。私にも婚約者として認めてもらうための猶予を頂きたいのです。」

格好は蛙のようだが真剣な眼差しで公爵夫妻に伝える。

「リンネット嬢は可愛らしいな。」
「ふふ。リンネットちゃんは可愛いわね。フレリーも罪に置けないわね。」

おっと好感触かなこれは。
公爵夫人なんて興味ないがフレリー様の婚約者……ゆくゆくは妻の座を射止めるためなら私はなんだってする。

「リン、どんな妄想してんだ。顔がにやにやして残念なことになってるぞ。」

オーレンお兄様の指摘でハッと我に返る。
こんな時でもフレリー様のことを考えるだけで妄想がやばい。

「すみません、邪な気持ちはありますが決して権力にではありません。断言できます、フレリー様に対してだけです。」

真剣な顔で公爵夫妻を見つめて話す。
言ってることがやばいと重々承知ですが真剣なんです。

「リン、フレリーの親になんて発言を……あっ、お母様しっかりしてください。」

私の発言を聞いてお母様が倒れそうになっているし、お父様は顔を手で覆っている。
令嬢らしからぬことはわかっているが、公爵夫妻を説得しないと私とフレリー様の未来はないんだもん。
ここでしっかり私の思いを伝えておかないと。

「ふふ。フレリーね、今反抗期で異例の令嬢からの婚約申し込みを全て断ってるのよ。……まあ、理由はわかるから私達も見守ってるんだけど、そんなフレリーをリンネットちゃんは掴み取ることが出来るかしら?」

なんですと?
フレリー様には既に逆ナン……婚約申し込みが来てるんですね。
既に始まってたフレリー様争奪戦を聞いてメラメラと心が煮えたぎっていく。

「全力でフレリー様に好きになってもらうようアピールしますわ。」

拳を胸元で握りしめメラメラと決意を新たにする。

「リンネット嬢、フレリーをその気にさせたら婚約者としてこちらからも対応しよう。」

「本当ですか?」

「くくっ。これからのフレリーが見物だな。」

公爵はフレリー様と一緒のシルバーの瞳を細目優しい眼差しで私を見つめてきた。
髪色は侯爵夫人に似ているが、瞳は公爵譲りのフレリー様にそっくりでドキンと胸が高鳴る。
親子ね………その瞳に弱いのよ私は。

「私もリンネットちゃんが嫁いできてくれると毎日楽しめそうだわ。フレリーは幸せ者ね。」

微笑むだけでとてもキラキラしたオーラ放出中で目が眩しいです。
公爵夫人は別名『薔薇姫』と呼ばれていて、とっても綺麗で令嬢の鏡である。
公爵も容姿端麗で薔薇姫の息子となると言わずともフレリー様は絶世の美少年だ。

令嬢達はフレリー様の顔に群がるが、もちろん顔も好きだけど私はフレリー様の優しさが……子供の時から私も一緒に遊んでくれる優しいところがたまらない。

親の確約は取れたから、フレリー様にアタック開始だ。

「容姿端麗なフレリー様は容姿が平凡な私には見向きもしないでしょうが、これからは自分磨きも頑張ります。いつも想いを募らせ妄想で我慢するくらいフレリー様を想う気持ちは誰にも負けません。他の令嬢達が群がろうが蹴落として見せます。フレリー様本人にも幸せにするのは私だと思ってもらうように頑張りますわ。」



「「うちの娘が残念すぎる。」」
「俺の妹が残念だ。」


お父様、お母様、オーレンお兄様。ご心配無用ですよ。
自分が残念令嬢なことはわかってますが、フレリー様を諦められません。


「そうだわ。素敵な令嬢になる条件に追加していいかしら?」

「フレリー様の婚約者になるためならば火の中水の中どんなことでもしてみせますわ。」

体当たりなら任せてください。

「それを聞いて安心したわ。それでは私からの追加条件にフレリーから手を繋がれること。これはリンネットちゃんからじゃ駄目。とっさの手繋ぎも駄目。フレリーが意識して手を繋ぐことが条件ね。」

「えっ!?」

それってフレリー様の意思がかなり入ってるから、私めちゃくちゃ不利なんじゃ………。

「ふふ。不安にならなくてもきっとリンネットちゃんなら大丈夫よ。」

そんな余裕どこにもありませ~ん。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。 ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。 王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。 そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。 「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。

地味顔令嬢の私を「嘘の告白」で笑いものにするつもりですか? 結構です、なら本気で惚れさせてから逆にこっちが盛大に振ってあげます!

日々埋没。
恋愛
「お前が好きだ。この俺と付き合ってくれないか?」    学園のアイドル、マルスからの突然の告白。  憧れの人からの言葉に喜んだのも束の間、伯爵令嬢リーンベイルは偶然知ってしまう。それが退屈しのぎの「嘘の告白(ウソコク)」だったことを。 「あの地味顔令嬢が俺に釣り合うわけないだろ。ドッキリのプラカードでも用意しとくわ」  親友のミネルバと共に怒りに震える彼女は、復讐を決意する。まずは父の言いつけで隠していた「絶世の美貌」を解禁! 嘘の恋を「真実の恋(マジコク)」に変えさせ、最高のタイミングで彼を地獄へ突き落とす――。 「……今さら本気になった? 冗談はやめてください、これドッキリですよ?」

あなたの言うことが、すべて正しかったです

Mag_Mel
恋愛
「私に愛されるなどと勘違いしないでもらいたい。なにせ君は……そうだな。在庫処分間近の見切り品、というやつなのだから」  名ばかりの政略結婚の初夜、リディアは夫ナーシェン・トラヴィスにそう言い放たれた。しかも彼が愛しているのは、まだ十一歳の少女。彼女が成人する五年後には離縁するつもりだと、当然のように言い放たれる。  絶望と屈辱の中、病に倒れたことをきっかけにリディアは目を覚ます。放漫経営で傾いたトラヴィス商会の惨状を知り、持ち前の商才で立て直しに挑んだのだ。執事長ベネディクトの力を借りた彼女はやがて商会を支える柱となる。  そして、運命の五年後。  リディアに離縁を突きつけられたナーシェンは――かつて自らが吐いた「見切り品」という言葉に相応しい、哀れな姿となっていた。 *小説家になろうでも投稿中です

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました

ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」 政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。 妻カレンの反応は—— 「それ、契約不履行ですよね?」 「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」 泣き落としは通じない。 そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。 逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。 これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。

【完結】伯爵令嬢の25通の手紙 ~この手紙たちが、わたしを支えてくれますように~

朝日みらい
恋愛
煌びやかな晩餐会。クラリッサは上品に振る舞おうと努めるが、周囲の貴族は彼女の地味な外見を笑う。 婚約者ルネがワインを掲げて笑う。「俺は華のある令嬢が好きなんだ。すまないが、君では退屈だ。」 静寂と嘲笑の中、クラリッサは微笑みを崩さずに頭を下げる。 夜、涙をこらえて母宛てに手紙を書く。 「恥をかいたけれど、泣かないことを誇りに思いたいです。」 彼女の最初の手紙が、物語の始まりになるように――。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

毒見役の少女が愛を知った日

ふくろうまる
恋愛
 家に居場所を持たず、自由気ままに生きてきた貴族の次男ルーカス。 感情を捨て、毒見役として静かに生きる少女マリア。 決して交わるはずのなかった二人は、城の廊下と毒見前のわずかな待機時間で言葉を交わす。冗談めかして距離を詰めるルーカスと、戸惑いながらも少しずつ心を揺らすマリア。 これは―― 生きる意味を求める青年と、失った感情を取り戻し始める少女が紡ぐ、静かで不器用な救済の物語。

処理中です...