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20 レンエールの資産
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ネイベット侯爵がボーラン男爵に投資してから二月半。ネイベット侯爵はボーラン男爵一家には内緒でボーラン男爵領を視察に来た。レンエールとサビマナが婚約した直後にボーラン男爵領を視察した文官を連れている。
そして、その文官は『何の変化もない』と断言した。
まだ二月半だ。劇的に変わることは無理だろう。だが、工事が始まった形跡すらない。ネイベット侯爵は訝しんだ。
馬車がボーラン男爵の領屋敷に到着し、馭者によって扉が開けられる。
降り立ったネイベット侯爵と文官は冷めた目でその屋敷を睨んだ。
街道のみすぼらしさが全くそぐわぬピカピカに修繕された門と屋敷が目の前にあった。
〰️ 〰️ 〰️
レンエールとサビマナが離宮に籠もって三月。レンエールはネイベット侯爵を真夜中に呼んだ。サビマナにはネイベット侯爵と相談することを知られたくなかったのだ。
離宮の応接室にレンエールとネイベット侯爵とバロームだけで話し合いがされた。
「サビマナの勉強が全く進まないんだ……」
「はい。バローム殿より報告は受けております」
「そうか。サビマナをやる気にさせるため、王都の仕立て屋を呼びたい」
「初めに十着ほど作っておりますよね? 後から三着作り、先日こちらに届けるように指示しましたよ」
「ああ、それは届いている。サビマナがとても喜んでいたよ」
「そうですか。しかし、ボーラン男爵家には、その予算はもうございませんよ」
ネイベット侯爵はボーラン男爵領と王都屋敷の現状とネイベット侯爵が投資していることを話した。
「……。ならば、俺の金を使ってくれ。このままではサビマナはやる気を起こさない」
「殿下。殿下の貯蓄はございません。また、現在の王子費はこちらの離宮でほぼ使い切っております」
「は? 俺の個人資産はどうした? それに毎月、港からの収入があるだろう?」
レンエールは個人資産として王家領の港を持っていた。
「そちらは王妃陛下に買い取っていただきました」
「は? どういうことだ? なぜ母上に献上せねばならないのだ?」
「献上ではありません。買い取りです。殿下の貯蓄だけではバザジール公爵家への謝罪料が足りませんでしたので、王妃陛下に港を買い取っていただいたのです。それも法外な高値で」
「おいっ! 高々一人の令嬢との婚約解消だぞっ! 俺の全財産がなくなるわけがないっ!」
「まず、殿下の資産の三割はノマーリン嬢からの持参金ですので、返金いたしました。そして、ノマーリン嬢は十年に渡り王子妃となるため制約をされておりましたので、それに対する慰謝料として、持参金の倍額を支払いました」
計算上、それだけでレンエールの貯蓄は底に近い。
「さらに、バザジール公爵家は、婚約が決まってから、未来の王妃の実家として領地の開発を進めておりました。それがすべて無駄になるわけです。ですので、それらを負担なさるのは殿下です」
「ま、待てっ! 街道整備などなら、やったとしても無駄にはならないだろう?」
「それは殿下の予想ですよね? バザジール公爵家は将来は現状の倍の往来を見込んで整備していく旨を申請されております。
その将来がなくなったわけです。殿下の……浮気をするというご判断によって……」
レンエールは頭を抱えて肘をテーブルについた。
婚約解消の判断は両陛下とバザジール公爵であるが、浮気をするという判断をしたのはレンエールだ。
レンエールは、婚約解消時に謝罪料が発生し支払いをレンエールが行うと言われていたことを思い出した。サビマナとの時間ですっかり忘れていたのだった。
そして、その文官は『何の変化もない』と断言した。
まだ二月半だ。劇的に変わることは無理だろう。だが、工事が始まった形跡すらない。ネイベット侯爵は訝しんだ。
馬車がボーラン男爵の領屋敷に到着し、馭者によって扉が開けられる。
降り立ったネイベット侯爵と文官は冷めた目でその屋敷を睨んだ。
街道のみすぼらしさが全くそぐわぬピカピカに修繕された門と屋敷が目の前にあった。
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レンエールとサビマナが離宮に籠もって三月。レンエールはネイベット侯爵を真夜中に呼んだ。サビマナにはネイベット侯爵と相談することを知られたくなかったのだ。
離宮の応接室にレンエールとネイベット侯爵とバロームだけで話し合いがされた。
「サビマナの勉強が全く進まないんだ……」
「はい。バローム殿より報告は受けております」
「そうか。サビマナをやる気にさせるため、王都の仕立て屋を呼びたい」
「初めに十着ほど作っておりますよね? 後から三着作り、先日こちらに届けるように指示しましたよ」
「ああ、それは届いている。サビマナがとても喜んでいたよ」
「そうですか。しかし、ボーラン男爵家には、その予算はもうございませんよ」
ネイベット侯爵はボーラン男爵領と王都屋敷の現状とネイベット侯爵が投資していることを話した。
「……。ならば、俺の金を使ってくれ。このままではサビマナはやる気を起こさない」
「殿下。殿下の貯蓄はございません。また、現在の王子費はこちらの離宮でほぼ使い切っております」
「は? 俺の個人資産はどうした? それに毎月、港からの収入があるだろう?」
レンエールは個人資産として王家領の港を持っていた。
「そちらは王妃陛下に買い取っていただきました」
「は? どういうことだ? なぜ母上に献上せねばならないのだ?」
「献上ではありません。買い取りです。殿下の貯蓄だけではバザジール公爵家への謝罪料が足りませんでしたので、王妃陛下に港を買い取っていただいたのです。それも法外な高値で」
「おいっ! 高々一人の令嬢との婚約解消だぞっ! 俺の全財産がなくなるわけがないっ!」
「まず、殿下の資産の三割はノマーリン嬢からの持参金ですので、返金いたしました。そして、ノマーリン嬢は十年に渡り王子妃となるため制約をされておりましたので、それに対する慰謝料として、持参金の倍額を支払いました」
計算上、それだけでレンエールの貯蓄は底に近い。
「さらに、バザジール公爵家は、婚約が決まってから、未来の王妃の実家として領地の開発を進めておりました。それがすべて無駄になるわけです。ですので、それらを負担なさるのは殿下です」
「ま、待てっ! 街道整備などなら、やったとしても無駄にはならないだろう?」
「それは殿下の予想ですよね? バザジール公爵家は将来は現状の倍の往来を見込んで整備していく旨を申請されております。
その将来がなくなったわけです。殿下の……浮気をするというご判断によって……」
レンエールは頭を抱えて肘をテーブルについた。
婚約解消の判断は両陛下とバザジール公爵であるが、浮気をするという判断をしたのはレンエールだ。
レンエールは、婚約解消時に謝罪料が発生し支払いをレンエールが行うと言われていたことを思い出した。サビマナとの時間ですっかり忘れていたのだった。
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