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38 ノマーリンの恋
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「友愛は……。無理だよ。だって、俺はノマーリンのような素晴らしい女性をただの友だちだとは思うことはできない。
慈愛も無理かな……」
「そうですの?」
「俺はノマーリンを尊敬している。今や崇拝していると言っても過言ではない。
俺がノマーリンに慈愛の念を抱くなど、おこがましいにもほどがある」
「わたくしは神でも聖母でもございませんわよ」
ノマーリンはクスクスと笑っている。子供のイタズラを笑って見守っているかのようだ。
「そうかな? 今の笑顔はどう見ても聖母の慈愛の微笑みだよ」
「からかわないでくださいませ」
ノマーリンが再び薄く頬を染めた。
「自分ではわからないのかもしれないね。俺は慈愛の女神を敬愛しているんだ」
レンエールは熱い瞳でノマーリンを見た。しかし、はたと我に返り、自分の図々しさを反省した。
「そ、そのぉ……親愛と信愛はずっとあるよ。
俺は婚約破棄は望んでいなかったし、びっくりしたし、寂しかった……。
図々しくてごめん」
レンエールは婚約破棄を言われた直後の違和感が寂しさや喪失感であることを実感したのはノマーリンへの敬愛を自覚した時だった。
レンエールは心の何処かで『何をしてもノマーリンはレンエールから離れない』と信愛していた。捻れた信愛だが。
「だからかな。婚約破棄はしていなかったと言われて、ホッとしている。嬉しくて嬉しくて、ノマーリンへの信愛の気持ちがポカポカしている。
本当に勝手だよね。自分が他の女性に現を抜かしたくせに……」
レンエールは苦笑いした。
ノマーリンはスッと立ち上がりレンエールの隣に座った。
「婚約を解消したという建前を知らない者でも、殿下とサビマナ様の学園での行為を知っている者は多いです。その者たちの信頼を得ることはとても大変ですよ。お覚悟はございますか?」
「ああ。まずは恥も外聞もなく教えを請うていく。自分でできることや判断することを増やしていく。その過程で信頼されるように頑張るよ」
ノマーリンは腕を広げてレンエールの頭を胸に抱いた。レンエールは慣れた様子でノマーリンに甘えた。
学園に入学する前は、レンエールが疲れたと言うとノマーリンはこうして癒やして励ましていたのだ。
「エル。おかえりなさい」
「ただいま。リン……」
レンエールはノマーリンの腰に手を回した。
穏やかな時間が流れた。
「ねぇ、リン。『愛』の話の続きなんだけどね」
「はい。何ですか?」
「『寵愛』は受けてもらえるだろうか?」
レンエールが頬を染めて上目遣いでノマーリンの顔を見た。ノマーリンはびっくりした後、優しげに笑った。
「それはお預けです。わたくしはまだエルへの信愛を戻しておりませんもの」
レンエールは視線を戻してノマーリンの腰を抱く腕を少しだけ強くした。
「そうだね。まずはそれを取り戻すように努力するよ。リン。覚悟しておいてね」
「うふふ。わかりましたわ。
それにしても『恋』とは素敵なもののようですわね。わたくしもしてみたいですわ」
レンエールが慌てて体を起こしてノマーリンと目を合わせて首を左右にブンブンと振る。
「そっ! それはダメだっ!」
ノマーリンはレンエールのあまりの必死さに目をしばたかせた。
「あ、その、いや……。自分を棚に上げて……。ごめん。
でも……でもね……。俺に……俺に恋をしてもらえるように頑張るから。リンが恋するような男に、俺がなるから……」
レンエールの縋るような瞳にノマーリンは慈母の微笑みで答えた。
「まあ。それは楽しみですわ」
〰️ 〰️ 〰️
〰️ 〰️ 〰️
明日よりオヤジたち目線となります。
完結までもう少し!
今後ともよろしくお願いします。
慈愛も無理かな……」
「そうですの?」
「俺はノマーリンを尊敬している。今や崇拝していると言っても過言ではない。
俺がノマーリンに慈愛の念を抱くなど、おこがましいにもほどがある」
「わたくしは神でも聖母でもございませんわよ」
ノマーリンはクスクスと笑っている。子供のイタズラを笑って見守っているかのようだ。
「そうかな? 今の笑顔はどう見ても聖母の慈愛の微笑みだよ」
「からかわないでくださいませ」
ノマーリンが再び薄く頬を染めた。
「自分ではわからないのかもしれないね。俺は慈愛の女神を敬愛しているんだ」
レンエールは熱い瞳でノマーリンを見た。しかし、はたと我に返り、自分の図々しさを反省した。
「そ、そのぉ……親愛と信愛はずっとあるよ。
俺は婚約破棄は望んでいなかったし、びっくりしたし、寂しかった……。
図々しくてごめん」
レンエールは婚約破棄を言われた直後の違和感が寂しさや喪失感であることを実感したのはノマーリンへの敬愛を自覚した時だった。
レンエールは心の何処かで『何をしてもノマーリンはレンエールから離れない』と信愛していた。捻れた信愛だが。
「だからかな。婚約破棄はしていなかったと言われて、ホッとしている。嬉しくて嬉しくて、ノマーリンへの信愛の気持ちがポカポカしている。
本当に勝手だよね。自分が他の女性に現を抜かしたくせに……」
レンエールは苦笑いした。
ノマーリンはスッと立ち上がりレンエールの隣に座った。
「婚約を解消したという建前を知らない者でも、殿下とサビマナ様の学園での行為を知っている者は多いです。その者たちの信頼を得ることはとても大変ですよ。お覚悟はございますか?」
「ああ。まずは恥も外聞もなく教えを請うていく。自分でできることや判断することを増やしていく。その過程で信頼されるように頑張るよ」
ノマーリンは腕を広げてレンエールの頭を胸に抱いた。レンエールは慣れた様子でノマーリンに甘えた。
学園に入学する前は、レンエールが疲れたと言うとノマーリンはこうして癒やして励ましていたのだ。
「エル。おかえりなさい」
「ただいま。リン……」
レンエールはノマーリンの腰に手を回した。
穏やかな時間が流れた。
「ねぇ、リン。『愛』の話の続きなんだけどね」
「はい。何ですか?」
「『寵愛』は受けてもらえるだろうか?」
レンエールが頬を染めて上目遣いでノマーリンの顔を見た。ノマーリンはびっくりした後、優しげに笑った。
「それはお預けです。わたくしはまだエルへの信愛を戻しておりませんもの」
レンエールは視線を戻してノマーリンの腰を抱く腕を少しだけ強くした。
「そうだね。まずはそれを取り戻すように努力するよ。リン。覚悟しておいてね」
「うふふ。わかりましたわ。
それにしても『恋』とは素敵なもののようですわね。わたくしもしてみたいですわ」
レンエールが慌てて体を起こしてノマーリンと目を合わせて首を左右にブンブンと振る。
「そっ! それはダメだっ!」
ノマーリンはレンエールのあまりの必死さに目をしばたかせた。
「あ、その、いや……。自分を棚に上げて……。ごめん。
でも……でもね……。俺に……俺に恋をしてもらえるように頑張るから。リンが恋するような男に、俺がなるから……」
レンエールの縋るような瞳にノマーリンは慈母の微笑みで答えた。
「まあ。それは楽しみですわ」
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明日よりオヤジたち目線となります。
完結までもう少し!
今後ともよろしくお願いします。
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