【完結】おじさんに物申す! 貴方の奥さんが儚くなったのは娘さんのせいではありませんよ

宇水涼麻

文字の大きさ
14 / 17

疑問14 幼馴染みだからかしら?

しおりを挟む
 サーディルは微笑んで手を取った。

「ビアと話せるかい?」

「ええ。私はちょっと疲れました。この後のみなさまへの接待はお願いしますね」

「わかった。ビアと恙無くやっておくよ」

 サーディルの素敵なウィンクを見ながら私は意識を遠のかせた。

〰️ 〰️ 〰️

 私とオリビアの生活が始まって一ヶ月ほどしたある日、急な来訪者が現れた。

 隣の領地タニャック公爵家の次男が『隣国での留学から戻ってきたからフィゾルド侯爵夫妻に挨拶がしたい』との来訪だ。それがサーディル・タニャックだ。

 サーディルとフィゾルド侯爵夫妻の話は和やかな雰囲気であった。私は対人として様子を知るべきだと、応接室の隣の部屋で話を聞いていた。

 サーディルは一通り話をすると、改めて姿勢を正した。

「今日はフィゾルド侯爵にお願いがあってまいりました」

「何かな?」

「オリビアには現在婚約者か伴侶はいますか? もしいないのなら、プロポーズしたいのです。オリビアはノイデル伯爵領ですか? 王都暮らしですか?」

「プロポーズですって!?」

 お祖母様が珍しく声を大きくした。お祖父様は声も出ないようだ。

「はい。僕の勝手な気持ちですが、幼い頃からオリビアと結婚したいと望んでおりました。留学から戻り、父から子爵領を賜われることになったのです。今ほどの贅沢はできませんが、オリビアと穏やかに生きていきたいと思っております」

 真剣な眼差しのサーディルにお祖父様でさえもたじろいでいたと後からメイドに聞いた。

 オリビアとサーディルは幼馴染みだ。

 フィゾルド侯爵家とタニャック公爵家は、隣領であったので頻繁に行き来して交流していた。だが、オリビアがノイデル伯爵家に引き取られたこととタニャック公爵家長男が貴族子息用の学園に通うために家族で王都暮らしを始めたことで、直接の交流は少なくなっている。
 領主同士は手紙のやり取りはしていたので、今回のような急な来訪も快く迎え入れた。

「す、少し、このまま待っていてくれ。バレル。お相手を頼む」

 私は隣室から急いで部屋へ戻った。お祖父様とお祖母様が私の部屋に来て相談する。

「シズ。ビアはなんと?」

「直接誰かと話すのはまだ無理そうですね」

 オリビアは表に出るようになってきているが、四人―お祖父様お祖母様、バレル、ナッツィ―以外とはまだ話をしていない。誰かに傷つけられることに臆病になっているのだ。

「そうか。だが、ノイデル伯爵家まで行くと言っているからな。本当にあちらへ行かれては困る。だから、ここにいることを誤魔化さない方がいいだろう。
シズ。今日のところは、体調が思わしくないと挨拶だけにしよう」

「わかりました」

 私たちは連れ立って応接室に赴いた。お祖父様お祖母様に続いて入室する。

 私を見たサーディルは驚愕していた。オリビアがここにいるとは思わなかったのだろう。

 …………と、私たちは考えた。だが、サーディルの言葉はこちらが驚愕するものだった。

「君は誰? オリビア? じゃないよね? 
い、いや……。オリビアなんだけど……?」

 サーディルは瞬きもせず私を見つめている。その目を見て私は動けなくなってしまった。

「オリビア……」

 お祖母様が私の背を優しく撫ぜた。

「はい。お祖母様」

 私とオリビアは交代した。
 サーディルがあ然とするのがわかった。

「オリビア……?? え? どうして? オリビアだよね?」

「サーディルには誤魔化せないようだ。座って話をしよう」

 お祖父様の促しでこれまでの話と現状をサーディルに話すことになった。
 サーディルはこれまでのオリビアの話を驚きと怒りと後悔を隠すことなく顔に出して聞き入っていた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

側妃ですか!? ありがとうございます!!

Ryo-k
ファンタジー
『側妃制度』 それは陛下のためにある制度では決してなかった。 ではだれのためにあるのか…… 「――ありがとうございます!!」

姑に嫁いびりされている姿を見た夫に、離縁を突きつけられました

碧井 汐桜香
ファンタジー
姑に嫁いびりされている姿を見た夫が、嬉しそうに便乗してきます。 学園進学と同時に婚約を公表し、卒業と同時に結婚したわたくしたち。 昔から憧れていた姑を「お義母様」と呼べる新生活に胸躍らせていると、いろいろと想定外ですわ。

絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました

toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。 残酷シーンが多く含まれます。 誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。 両親に 「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」 と宣言した彼女は有言実行をするのだった。 一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。 4/5 21時完結予定。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

【 完 結 】言祝ぎの聖女

しずもり
ファンタジー
聖女ミーシェは断罪された。 『言祝ぎの聖女』の座を聖女ラヴィーナから不当に奪ったとして、聖女の資格を剥奪され国外追放の罰を受けたのだ。 だが、隣国との国境へ向かう馬車は、同乗していた聖騎士ウィルと共に崖から落ちた。 誤字脱字があると思います。見つけ次第、修正を入れています。 恋愛要素は完結までほぼありませんが、ハッピーエンド予定です。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

大好きなおねえさまが死んだ

Ruhuna
ファンタジー
大好きなエステルおねえさまが死んでしまった まだ18歳という若さで

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

処理中です...