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第三章 隣国王子の恋愛事情 恋の事情編
5 恋の結 1
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謁見室でガーリウム国王陛下から許可をもらった次の日、卒業パーティー本番の日。
やっと、やっと、アリーシャ嬢へ思いを伝えられる。はやる気持ちを抑え、ヨアンシェル殿との待ち合わせ場所へ行く。
そこには、ヨアンシェル殿に寄りそうように立つイメルダリア嬢もいた。
軽い挨拶の後、さりげなくイメルダリア嬢に視線を送り、ヨアンシェル殿に説明を促す。
「ゼファーライト殿、実は昨日、姉上を含む5人でお茶をいたしました。姉上に、今回の件について話をしました。
あ、ゼファーライト殿のことは一言も話してませんので、姉上は何も知りませんよ。」
アリーシャ嬢を除く3人のご令嬢は、すでに幸せに向かって進んでいる。本当によかったと思う。
あとはアリーシャ嬢だ。アリーシャ嬢は、私が幸せにしてみせる。
そして、三人で、アリーシャ嬢たちとの待ち合わせ場所へ向かった。
私は本当に驚いた。なんということか、そこには、夜空を纏う女神がいたのだ。私はこの女神を一番近くで崇める権利をいただきたい。心から思った。
アリーシャ嬢の纏うドレスは、ダークな紺色の少し光沢のあるもので、体の線を強調するようなAライン、腰から下は前面で左右に広がっていき、左右に分かれた間の布に銀のレースが上から下まで贅沢に使われている。デコルテの下で切り替えが入り、デコルテまわりは透け感のある銀のレースでハイネックになっている。肩は出ているものの、長めの手袋で露出をおさえている。形は大人びているのに、後ろのリボンはこれまた銀のレースで輪の部分は大きめであり、端の部分は裾まで延びていて可愛らしい。太めのウエストリボンとのバランスが絶妙だ。
マダムの仕事に称賛を贈りたい。
そして、私は、ズボンやシャツ、ベストなどは白を基調にした爽やかな装いをしている。そして、タキシードは少し光沢のあるダーク紺色で、襟に透け感のある銀のレースが飾り縫いしてある。
そう、アリーシャ嬢とお揃いという衣装なのだ。
女神に湾曲な言葉はいらないだろう。
アリーシャ嬢の右手をとり、ストレートな言葉で気持ちを伝えた。
「アリーシャ嬢、そのドレス、とても似合っている。予想以上の美しさだ。今日、貴女をエスコートする幸運を私にいただけないだろうか?」
「ゼファー様、どうして…」
アリーシャ嬢は混乱しているようだ。揃いのタキシードとドレスであることは、わかってくれているはずだ。
「貴女の一生に一度の卒業パーティーを貴女と過ごしたかったんだ。」
「こ、こちらこそ、よろしくお願いいたしますわ。」
きっとアリーシャ嬢は、混乱のままだろう。しかし、了承はとった。あとはゆっくり、話をしよう。
〰️ 〰️
アリーシャ嬢が復活したようには見えないが、もうすぐ時間だ。集まった令息令嬢たちと紹介挨拶を済ませ、とりあえず会場入りする。
エマローズとオーリオダム
ヴィオリアとカザシュタント
イメルダリアとヨアンシェル
アリーシャとゼファー
の順で入場した。
我々が、入口から舞台の方へ進んでいくと話声がやみ、我々が通りすぎると黄色い声やらため息やらがする。
アリーシャ嬢と私が通ると、斜め前に立っていた男子生徒が、いきなり尻餅をついた。なかなか高級そうな燕尾服を着ている。きっと、上位貴族令息であろう。
その奥には、膝から落ちてこちらを凝視している男子生徒もいる。
会場をよく見れば、そのように崩れたり、顔を青くしたり、はらはらと泣いている者までいる。すべて、男子生徒だ。
やはりな!アリーシャ嬢の婚約白紙は、隠して正解だったのだ。口角があがってしまうのは、許してほしい。
チャンスの神様は、私を一番に選んでくださった!このチャンスは、絶対にものにする!改めて心に誓う。
舞台の前まで進むと、丁度、学園長の話が始まり、パーティーがスタートした。
アリーシャ嬢は、まだ、夢?の中だ。ヨアンシェル殿たちは、ダンスへ向かうことになったようだ。
私は、外へとアリーシャ嬢をお誘いした。
「アリーシャ嬢、外で少し涼まないか?」
私は、できるだけ紳士的にアリーシャ嬢をエスコートし、シャンパンを2つ持ち、外へと進んだ。
昼間ではあるが、人々の溢れるパーティー会場よりは、風があり涼しく感じる。
日陰のあるベンチの前で、アリーシャ嬢にシャンパンを2つ持っていてもらい、ポケットからハンカチを取り出しベンチへ敷いた。
再びアリーシャ嬢からシャンパンを2つ受けとる。
「こちらへどうぞ。」
「ありがとうございます。」
アリーシャ嬢は、素直に座ってくれた。
ドレスに皺ができにくいようにベンチに座る姿でさえ、洗練されていて美しい。思わず、見惚れてしまった。
「どうぞ。」
シャンパンを1つアリーシャ嬢に渡し、となりに座る。
やっと、やっと、アリーシャ嬢へ思いを伝えられる。はやる気持ちを抑え、ヨアンシェル殿との待ち合わせ場所へ行く。
そこには、ヨアンシェル殿に寄りそうように立つイメルダリア嬢もいた。
軽い挨拶の後、さりげなくイメルダリア嬢に視線を送り、ヨアンシェル殿に説明を促す。
「ゼファーライト殿、実は昨日、姉上を含む5人でお茶をいたしました。姉上に、今回の件について話をしました。
あ、ゼファーライト殿のことは一言も話してませんので、姉上は何も知りませんよ。」
アリーシャ嬢を除く3人のご令嬢は、すでに幸せに向かって進んでいる。本当によかったと思う。
あとはアリーシャ嬢だ。アリーシャ嬢は、私が幸せにしてみせる。
そして、三人で、アリーシャ嬢たちとの待ち合わせ場所へ向かった。
私は本当に驚いた。なんということか、そこには、夜空を纏う女神がいたのだ。私はこの女神を一番近くで崇める権利をいただきたい。心から思った。
アリーシャ嬢の纏うドレスは、ダークな紺色の少し光沢のあるもので、体の線を強調するようなAライン、腰から下は前面で左右に広がっていき、左右に分かれた間の布に銀のレースが上から下まで贅沢に使われている。デコルテの下で切り替えが入り、デコルテまわりは透け感のある銀のレースでハイネックになっている。肩は出ているものの、長めの手袋で露出をおさえている。形は大人びているのに、後ろのリボンはこれまた銀のレースで輪の部分は大きめであり、端の部分は裾まで延びていて可愛らしい。太めのウエストリボンとのバランスが絶妙だ。
マダムの仕事に称賛を贈りたい。
そして、私は、ズボンやシャツ、ベストなどは白を基調にした爽やかな装いをしている。そして、タキシードは少し光沢のあるダーク紺色で、襟に透け感のある銀のレースが飾り縫いしてある。
そう、アリーシャ嬢とお揃いという衣装なのだ。
女神に湾曲な言葉はいらないだろう。
アリーシャ嬢の右手をとり、ストレートな言葉で気持ちを伝えた。
「アリーシャ嬢、そのドレス、とても似合っている。予想以上の美しさだ。今日、貴女をエスコートする幸運を私にいただけないだろうか?」
「ゼファー様、どうして…」
アリーシャ嬢は混乱しているようだ。揃いのタキシードとドレスであることは、わかってくれているはずだ。
「貴女の一生に一度の卒業パーティーを貴女と過ごしたかったんだ。」
「こ、こちらこそ、よろしくお願いいたしますわ。」
きっとアリーシャ嬢は、混乱のままだろう。しかし、了承はとった。あとはゆっくり、話をしよう。
〰️ 〰️
アリーシャ嬢が復活したようには見えないが、もうすぐ時間だ。集まった令息令嬢たちと紹介挨拶を済ませ、とりあえず会場入りする。
エマローズとオーリオダム
ヴィオリアとカザシュタント
イメルダリアとヨアンシェル
アリーシャとゼファー
の順で入場した。
我々が、入口から舞台の方へ進んでいくと話声がやみ、我々が通りすぎると黄色い声やらため息やらがする。
アリーシャ嬢と私が通ると、斜め前に立っていた男子生徒が、いきなり尻餅をついた。なかなか高級そうな燕尾服を着ている。きっと、上位貴族令息であろう。
その奥には、膝から落ちてこちらを凝視している男子生徒もいる。
会場をよく見れば、そのように崩れたり、顔を青くしたり、はらはらと泣いている者までいる。すべて、男子生徒だ。
やはりな!アリーシャ嬢の婚約白紙は、隠して正解だったのだ。口角があがってしまうのは、許してほしい。
チャンスの神様は、私を一番に選んでくださった!このチャンスは、絶対にものにする!改めて心に誓う。
舞台の前まで進むと、丁度、学園長の話が始まり、パーティーがスタートした。
アリーシャ嬢は、まだ、夢?の中だ。ヨアンシェル殿たちは、ダンスへ向かうことになったようだ。
私は、外へとアリーシャ嬢をお誘いした。
「アリーシャ嬢、外で少し涼まないか?」
私は、できるだけ紳士的にアリーシャ嬢をエスコートし、シャンパンを2つ持ち、外へと進んだ。
昼間ではあるが、人々の溢れるパーティー会場よりは、風があり涼しく感じる。
日陰のあるベンチの前で、アリーシャ嬢にシャンパンを2つ持っていてもらい、ポケットからハンカチを取り出しベンチへ敷いた。
再びアリーシャ嬢からシャンパンを2つ受けとる。
「こちらへどうぞ。」
「ありがとうございます。」
アリーシャ嬢は、素直に座ってくれた。
ドレスに皺ができにくいようにベンチに座る姿でさえ、洗練されていて美しい。思わず、見惚れてしまった。
「どうぞ。」
シャンパンを1つアリーシャ嬢に渡し、となりに座る。
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