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44 白い結婚
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僕は伯爵様にいつまでも謝られていたくなくってすぐに結果を聞くことにした。
「それであの後はどうなったのですか?」
伯爵様とは昨日の夕刻にこの応接室で別れてから話をしていない。
「うん、今朝早くにあの二人は実家に戻したよ。妻に雇われた者たちも子爵家へ戻した」
伯爵様が目を伏せたまま話が進む。
「子爵家の方だったのですね」
ダリアナ嬢から『七歳でオールポッド侯爵家を出た』とは聞いていたがエイダ夫人の実家が子爵家だとは知らなかった。
「ああ、彼女も夫と死別していてね。彼女の場合は五年以上前だ。
前に彼女が嫁いだオールポッド侯爵家は彼女の夫が病気で亡くなると夫の弟である次男が継ぐことになったんだよ。それで彼女は娘とともに実家の子爵家へ戻されたらしい」
『え? まさかエイダ夫人は元侯爵夫人ということか? 嘘だろう??』
僕はそんなことは聞けるはずもなくマクナイト伯爵様は説明を続けていく。
「オールポッド侯爵の子供が娘でなく息子だったら違っていたかもしれないね。それに、その次男との再婚も貴族ならあり得た話のはずなんだがな……。それもなく実家の子爵家に戻されていた。それも彼女だけでなく実孫のダリアナも一緒に、だ」
血筋を重んじる貴族ならではのことなんだろうけど兄の後に弟との結婚は有り得ないことではないのだ。
「彼女たちは見ての通り親子で美しいからね。引く手数多だったろうに。
なぜか五年も未亡人でね。再婚の意思がないのだろうとまで言われていたようだ」
確かに喚いていないときならばそう思わなくもない。しかし二人の酷い有様を見た僕には頷くことはできなかった。
テーブルの模様を意識なく見つめている伯爵様のお話はゆっくりと進んでいく。
「私は妻となる人の見た目などは気にしないがクララが寂しい思いをしないようにと少し慌てていたのかもしれないな。紹介されてすぐに決断してしまった。
私はクララのために白い結婚を望んだからそれを受け入れてくれるだけでも有りがたかったんだ」
「え? 白い結婚って?」
「ん? 君にはまだ早い話だったか?」
「いえ、理解はできます」
僕には『システムを理解できる』という意味であり伯爵様のご年齢で白い結婚を望むことは理解できない。
「その約束だったはず、なのだがな。彼女に何度か誘惑されて、な。彼女は美貌には自信があっただろうからね。私が完全に拒否をしたんだ。そのときにキチンと話をしておけばよかったのかもしれんな。私のせいでクララの婚約者の君に矛先が向いたのかもしれん」
『美貌に自信のある人が閨を拒絶されたらどう思うのだろうか? 僕にはまだわからない世界の話だ』
「それにしても君とダリアナではここは継げぬのにな。本当によくわからん」
伯爵様は小さく首を振っている。
「……ですね……」
僕はダリアナ嬢が兄上のこと言っていたことと昨晩の夢を思い出して顔を顰めてしまったが伯爵様は僕がダリアナ嬢とエイダ夫人を思い出してそうしたと思ってくれたようで『そうだよな』というように頷いた。
「君が言っていたように君がクララに興味がないと思わせるようにクララを洗脳していたようだ。
私に向かってもクララのことを…その…………。
まあ、それを言われて思わず、な」
伯爵様はご自分の手の平を確認なさった。夫人を叩いてしまったのかもしれない。おそらく夫人に『不細工』という言葉を使われたのだろう。
「それであの後はどうなったのですか?」
伯爵様とは昨日の夕刻にこの応接室で別れてから話をしていない。
「うん、今朝早くにあの二人は実家に戻したよ。妻に雇われた者たちも子爵家へ戻した」
伯爵様が目を伏せたまま話が進む。
「子爵家の方だったのですね」
ダリアナ嬢から『七歳でオールポッド侯爵家を出た』とは聞いていたがエイダ夫人の実家が子爵家だとは知らなかった。
「ああ、彼女も夫と死別していてね。彼女の場合は五年以上前だ。
前に彼女が嫁いだオールポッド侯爵家は彼女の夫が病気で亡くなると夫の弟である次男が継ぐことになったんだよ。それで彼女は娘とともに実家の子爵家へ戻されたらしい」
『え? まさかエイダ夫人は元侯爵夫人ということか? 嘘だろう??』
僕はそんなことは聞けるはずもなくマクナイト伯爵様は説明を続けていく。
「オールポッド侯爵の子供が娘でなく息子だったら違っていたかもしれないね。それに、その次男との再婚も貴族ならあり得た話のはずなんだがな……。それもなく実家の子爵家に戻されていた。それも彼女だけでなく実孫のダリアナも一緒に、だ」
血筋を重んじる貴族ならではのことなんだろうけど兄の後に弟との結婚は有り得ないことではないのだ。
「彼女たちは見ての通り親子で美しいからね。引く手数多だったろうに。
なぜか五年も未亡人でね。再婚の意思がないのだろうとまで言われていたようだ」
確かに喚いていないときならばそう思わなくもない。しかし二人の酷い有様を見た僕には頷くことはできなかった。
テーブルの模様を意識なく見つめている伯爵様のお話はゆっくりと進んでいく。
「私は妻となる人の見た目などは気にしないがクララが寂しい思いをしないようにと少し慌てていたのかもしれないな。紹介されてすぐに決断してしまった。
私はクララのために白い結婚を望んだからそれを受け入れてくれるだけでも有りがたかったんだ」
「え? 白い結婚って?」
「ん? 君にはまだ早い話だったか?」
「いえ、理解はできます」
僕には『システムを理解できる』という意味であり伯爵様のご年齢で白い結婚を望むことは理解できない。
「その約束だったはず、なのだがな。彼女に何度か誘惑されて、な。彼女は美貌には自信があっただろうからね。私が完全に拒否をしたんだ。そのときにキチンと話をしておけばよかったのかもしれんな。私のせいでクララの婚約者の君に矛先が向いたのかもしれん」
『美貌に自信のある人が閨を拒絶されたらどう思うのだろうか? 僕にはまだわからない世界の話だ』
「それにしても君とダリアナではここは継げぬのにな。本当によくわからん」
伯爵様は小さく首を振っている。
「……ですね……」
僕はダリアナ嬢が兄上のこと言っていたことと昨晩の夢を思い出して顔を顰めてしまったが伯爵様は僕がダリアナ嬢とエイダ夫人を思い出してそうしたと思ってくれたようで『そうだよな』というように頷いた。
「君が言っていたように君がクララに興味がないと思わせるようにクララを洗脳していたようだ。
私に向かってもクララのことを…その…………。
まあ、それを言われて思わず、な」
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