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第一章 外れスキル【レバレッジたったの1.0】
1-47 スキル・チェンジ
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「よくやった、リムル。怪我は大丈夫か」
セラシアが追加の強力な回復魔法を放ってくれたので、ほどなく俺は全快した。
いくら強力な回復魔法を受けたって普通の人間ならしばらく寝込んでいないといけないほどの大怪我だったのだが、回復力二十一倍は、とんでもない回復と再生をもたらす。
まるで、あの真っ二つにされながらも神速で元通りになったミスリルの槍であるかのようだ。
俺は彼女の傍らに寄り添い確認した。
「大丈夫です。
お蔭で全回復しました。
敵は四人ですよね」
「ああ、間違いない。
さすがに、お前が放った予想以上の威力のあの特大魔法を食らったのだから、上級だけがかろうじて生き残ったようだな。
あの魔法陣を認め、瞬時に部下を見捨ててこちらへ向かったのだろう」
いやあ、さすが賊だけあって命汚いねえ。
むしろ感心するわ。
他の三人が一対一で戦闘している気配が遠くに感じられる。
技と力を極めた、経験の深い上級冒険者同士の激闘だ。
俺だったら、もうとっくに切り伏せられているだろう。
「ほお、お前は餓鬼の癖になかなかやるな。
確かに斬ったはずだが、まあ素早く避けた分だけ威力が浅かったか。
わざわざ起き上がってくるとはいい根性だ。
そのまま寝ておれば長生きできたものを」
は、お褒めに預かって光栄だねえ。
だがそれは、おくびにも出さない
「抜かせ、盗賊。
あんたなんか、あのクレジネスに比べたらどうって事ないさ」
まあ俺だって先輩を倒したわけじゃあないのだが、狙われて生き延びた事には変わりない。
それにスキルを先輩から借りたとはいえ、俺はあの特級の怪物を倒したのだ。
カミエの野郎はそれを聞いて怒るどころか不敵に笑った。
くそ、あのイカれた先輩と比べられる事など自慢でしかないってか。
うっかりと敵を喜ばせちまったな。
そういうのって妙に戦闘中でも力になる事があるんだ。
リクルよ、減点1だな。
頭の中でブライアンの見えない拳骨が飛んできて、俺は思い出し痛みに顔を顰めた。
「姐御、今回のブーストはあと残り三分ほどで終了します。
その後のクールタイムは十分間。
何か近接で使える攻撃魔法をください。
使い勝手のいい物理系の奴を」
「よし、では行くぞ、小僧」
そして姐御が放ったのは、蛇のように放った刺突魔法だ。
こいつは素早く放てるらしい。
さしずめニードルスネークってところか。
俺はそいつをコピーして、重ねてのコピーに成功した。
先程の大魔法は俺の手持ちの駒からは消滅し、代わりに入手したそれを放ち続けた。
威力はオリジナルの実に四十二倍で、今の姐御の十四倍だ。
今、俺のスキルはバージョン7.0。
基本能力には自動で発動する【攻撃力二倍】を持っている。
俺があまりにも特殊技能に特化して進化させるので、基本能力の部分で攻撃へのブーストがかかってしまったようだ。
どうやらこいつは借りてきたスキルや魔法にもブーストがかかるらしい。
このタイミングで実にありがたい。
いや、この修羅場のタイミングだからこそ、俺の魂の中からそれが生まれてきたのだ。
次々と繰り出す超高速の刺突魔法は奴を追い回した。
だが素早い。
俺のブーストされたニードルスネークは、一撃でちょっとした岩でも砕いてしまう。
俺の魔法には魔法力が必要ない。
スキルとして発動しているからだ。
そうでなければ、さっきみたいな超強力な爆炎魔法は俺なんかには使えない。
だが、男は不敵な表情を隠さない。
「リクル、不用意にあまり近づくな!」
俺はその瞬間に大きく背後へ飛び跳ねた。
ふいー、危ない!
だが今度はショルダーアーマーを切り裂かれるだけで済んだ。
こいつめ、近接の斬撃魔法を使うのか。
だから疾風と呼ばれるような神速を身に付けたのだな。
こいつは凄い威力だ。
さっき俺がやられたのもこれなんだろう。
おそらくはこいつが彼の魂のスキルなのだ。
こいつの本性は、さしずめ【切り裂きハヤテ】ってところか。
有名な犯罪者をもじったフレーズだけどな。
まるで通り魔のような奴だ。
こりゃあ街を所払いになるわけだぜ。
こいつならば街で辻斬りすらやっていたかもしれない。
あの先輩だってそこまでイカれていやしないさ。
畜生、どうせならこっちのスキルをパクるのだった。
もうタイムアップ寸前だから間に合わないだろうが。
「いや、まだ間に合うかも。
試してみるか」
俺はそいつの斬撃魔法を刺突魔法の超連続で往なしながら、それを試した。
次に放った時に俺の刺突魔法は出せなかった。
奴は嘲笑い、スキルで俺を叩き切ろうとしたが、次の瞬間にはもう笑えなかったようだ。
奴は見事に真っ二つになっていたのだから。
奴が放った斬撃のスキルごと。
吃驚した表情が印象的な、兇道徳的な悪党の最期だった。
その三秒後にマグナム・ルーレットによるブーストの効果が切れた。
セラシアが追加の強力な回復魔法を放ってくれたので、ほどなく俺は全快した。
いくら強力な回復魔法を受けたって普通の人間ならしばらく寝込んでいないといけないほどの大怪我だったのだが、回復力二十一倍は、とんでもない回復と再生をもたらす。
まるで、あの真っ二つにされながらも神速で元通りになったミスリルの槍であるかのようだ。
俺は彼女の傍らに寄り添い確認した。
「大丈夫です。
お蔭で全回復しました。
敵は四人ですよね」
「ああ、間違いない。
さすがに、お前が放った予想以上の威力のあの特大魔法を食らったのだから、上級だけがかろうじて生き残ったようだな。
あの魔法陣を認め、瞬時に部下を見捨ててこちらへ向かったのだろう」
いやあ、さすが賊だけあって命汚いねえ。
むしろ感心するわ。
他の三人が一対一で戦闘している気配が遠くに感じられる。
技と力を極めた、経験の深い上級冒険者同士の激闘だ。
俺だったら、もうとっくに切り伏せられているだろう。
「ほお、お前は餓鬼の癖になかなかやるな。
確かに斬ったはずだが、まあ素早く避けた分だけ威力が浅かったか。
わざわざ起き上がってくるとはいい根性だ。
そのまま寝ておれば長生きできたものを」
は、お褒めに預かって光栄だねえ。
だがそれは、おくびにも出さない
「抜かせ、盗賊。
あんたなんか、あのクレジネスに比べたらどうって事ないさ」
まあ俺だって先輩を倒したわけじゃあないのだが、狙われて生き延びた事には変わりない。
それにスキルを先輩から借りたとはいえ、俺はあの特級の怪物を倒したのだ。
カミエの野郎はそれを聞いて怒るどころか不敵に笑った。
くそ、あのイカれた先輩と比べられる事など自慢でしかないってか。
うっかりと敵を喜ばせちまったな。
そういうのって妙に戦闘中でも力になる事があるんだ。
リクルよ、減点1だな。
頭の中でブライアンの見えない拳骨が飛んできて、俺は思い出し痛みに顔を顰めた。
「姐御、今回のブーストはあと残り三分ほどで終了します。
その後のクールタイムは十分間。
何か近接で使える攻撃魔法をください。
使い勝手のいい物理系の奴を」
「よし、では行くぞ、小僧」
そして姐御が放ったのは、蛇のように放った刺突魔法だ。
こいつは素早く放てるらしい。
さしずめニードルスネークってところか。
俺はそいつをコピーして、重ねてのコピーに成功した。
先程の大魔法は俺の手持ちの駒からは消滅し、代わりに入手したそれを放ち続けた。
威力はオリジナルの実に四十二倍で、今の姐御の十四倍だ。
今、俺のスキルはバージョン7.0。
基本能力には自動で発動する【攻撃力二倍】を持っている。
俺があまりにも特殊技能に特化して進化させるので、基本能力の部分で攻撃へのブーストがかかってしまったようだ。
どうやらこいつは借りてきたスキルや魔法にもブーストがかかるらしい。
このタイミングで実にありがたい。
いや、この修羅場のタイミングだからこそ、俺の魂の中からそれが生まれてきたのだ。
次々と繰り出す超高速の刺突魔法は奴を追い回した。
だが素早い。
俺のブーストされたニードルスネークは、一撃でちょっとした岩でも砕いてしまう。
俺の魔法には魔法力が必要ない。
スキルとして発動しているからだ。
そうでなければ、さっきみたいな超強力な爆炎魔法は俺なんかには使えない。
だが、男は不敵な表情を隠さない。
「リクル、不用意にあまり近づくな!」
俺はその瞬間に大きく背後へ飛び跳ねた。
ふいー、危ない!
だが今度はショルダーアーマーを切り裂かれるだけで済んだ。
こいつめ、近接の斬撃魔法を使うのか。
だから疾風と呼ばれるような神速を身に付けたのだな。
こいつは凄い威力だ。
さっき俺がやられたのもこれなんだろう。
おそらくはこいつが彼の魂のスキルなのだ。
こいつの本性は、さしずめ【切り裂きハヤテ】ってところか。
有名な犯罪者をもじったフレーズだけどな。
まるで通り魔のような奴だ。
こりゃあ街を所払いになるわけだぜ。
こいつならば街で辻斬りすらやっていたかもしれない。
あの先輩だってそこまでイカれていやしないさ。
畜生、どうせならこっちのスキルをパクるのだった。
もうタイムアップ寸前だから間に合わないだろうが。
「いや、まだ間に合うかも。
試してみるか」
俺はそいつの斬撃魔法を刺突魔法の超連続で往なしながら、それを試した。
次に放った時に俺の刺突魔法は出せなかった。
奴は嘲笑い、スキルで俺を叩き切ろうとしたが、次の瞬間にはもう笑えなかったようだ。
奴は見事に真っ二つになっていたのだから。
奴が放った斬撃のスキルごと。
吃驚した表情が印象的な、兇道徳的な悪党の最期だった。
その三秒後にマグナム・ルーレットによるブーストの効果が切れた。
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