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第一章 幸せの青い鳥?
1-15 大物
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「おい、起きなさい」
誰かが肩を揺すっていた。
「う、お願い。あと五分寝かせて~」
何故か、どっと笑い声が聞こえてくる。
誰だー、私を嗤っている奴は。
またカラスどもか。
あいつら、本当に性質が悪いんだから。
なまじ人間の言葉が通じる事もあるだけに余計に性質が悪いわー。
「副騎士団長、大物っすねー、その子」
「あ、ああ。
いろいろ訳ありっぽいのだが、こんなに寝起きが悪いとは。
それにしてもよく寝ているものだ」
「それにしても、おめでとうございます。
これで、団長やあなたも肩の荷が下りますね」
「まったくだ」
う、あれ? 今何をやっていたんだっけ。
き、記憶が飛んでるー。
「は! こ、ここは!?」
「王国騎士団本部へようこそ、お嬢さん。
よくお休みでしたね」
「あわわわわ、す、すいません。
春なもんで、ついー」
しまったー、やってしまった。
なんと騎士団の他の人と初対面で、のっけからこれか。
まあ笑われている分には親しみを持ってもらえていいくらいのものだけど、さすがにちょっと恥ずかしいー。
おっと、ちょっと涎の後が付いてるー。
それを慌てて擦っていると、イケメンな副騎士団長閣下が叫んでいらした。
「ベロニカ、ベロニカはいるか」
すると、建物の奥から白い上下のピシっとした礼装のような服を着込んで帯剣した美女が現れた。
アメリカなんかでも最近は少ないと言われる純ブロンド。
その宝石のエメラルドのような感じで、深みのあるグリーンの瞳が映える。
リュールさんが同じような金髪と、綺麗な青い目だから二人並ぶと凄い。
目の覚めるような美女とは、まさにこの人の事だ。
異世界すげえ。
「何でしょう、副団長」
「お前に、この子の世話を頼みたい」
「は? その子を⁇」
まあそういう反応が返るのは無理もない。
その副騎士団長閣下にも、先程散々言われてしまったほど頼りない女なのだ。
ここにいるのは場違いにもほどがある。
「その子は、うちで住居や仕事の世話をする事になった。
この子は我が騎士団の恩人だ。
丁重に扱え。
名はサヤ・アド。
サヤ、これが例の、うちの紅一点の女騎士だ。
ベロニカ、しばらくその子の警護につけ」
「はあ、よろしいですが、いつまで?
私も自分の仕事がありますので」
「お前の判断に任せる。
その子が一人歩き出来るようになるまでだ。
お前の仕事は手伝わせてやってもいい。
その子に仕事を紹介してやらないといけないのでな。
それまでは騎士団から仕事を与えよう」
彼女は私を無遠慮に眺めつつ、しばし考えていたようだったが、ふと気になったらしくて上官に訊ねた。
「リュール副団長。
この子はどこに住んでいるのです?」
「ああ、今日王都へ来たばかりだから、住むところもない。
とりあえず、うちの宿舎の空いた部屋にでも入れようかと」
だが、次の瞬間に彼女は猛烈に怒り出した。
「副団長、あんたはアホですかあ。
こんな女の子を、男臭い騎士団宿舎の中に放り込む馬鹿がどこにいますかーっ」
うはっ、彼の頭の中ではそういう予定になっていたのねー!
それは、さすがにキツイわ。
のんびり屋の私も思わず顔が引き攣った。
一応は花の女子高生なのですが、ここにはこの素敵なブレザーとチェックのスカートの意味を知る人間すら一人もいない。
「わ、わかったわかった。
そう怒るな。
では、この子は我が家の屋敷に住まわせよう」
「当り前です。この子は、あなたが拾ってきたんでしょうにー。
最初っからそうしなさい」
それから、彼女は私に向かってこう言った。
「いいですか?
うちの副団長は真面目で融通が利かない頑固者で、見目麗しいだけではなく大変骨のある男なので尊敬はしていますが、万事がこういう感じなので、あなたも気を付けなさい。
油断していると、さっきみたいな酷い事になりますから」
「あ、はい。
よくわかりました。
あまり気が利かないっていうか、気が回らないっていうか、天然っていうか。
そういう感じの人なんですよね」
それを聞いて、満足そうな感じで「どうよ」と言わんばかりに、かなりサイズがありそうな胸を張って副団長様に向かってドヤ顔を放ち、彼から苦笑されていた。
いいな、この人。
凄く気に入った。
いっぱい仲良くしておこうっと。
それから、副団長様はベロニカさんの耳元に囁いていた。
「その子は収納持ちで、高価な物品も持ち歩いているようだ。
連れ歩くときは気を付けてやってくれ。
本人はまだあまり自覚がないようだ」
彼女は少し眉を寄せたが、そのまま頷いた。
「わかりました。
そのように取り計らいます」
「後で事務の方へ連れていってくれ。
その子の身分証を作らせておく」
それから、副団長様は団旗の飾り付けがあるらしくて、かなり忙しそうに立ち働いていた。
それをボーっとして見送っていたが、ベロニカさんから声をかけられた。
「さて、どうしようか。
あなたって、何が得意なのかな」
「主に動物の相手ですね。
もっぱら、彼らと一緒に遊ぶ方ですが」
「あーと、働く方面の話だったのですが」
「えー、そう特技はないのですが、多少の算術とか、あと多少の回復魔法は使えます」
「へえ、回復魔法か。
凄いじゃない。
それなら騎士団なんかでも引っ張りだこよ。
どこで習ったの?」
「ナナさんから」
「へえ、どこの人なの」
「私のような、このあたりの地理に不案内な外国人にはよくわからないところに住んでいらっしゃる七色ガルーダのナナさんです。
そこで、たくさん彼らの羽根を御土産にいただいてきました」
思わず沈黙した彼女。
あれ、あまり正直に言ってはまずかっただろうか。
「えーと、じゃあどこに行きたいのかな。
今日王都へ来たばっかりなんだよね」
「ああ、素材の買い取りをしてもらいたくて。
あと、お金が出来たら服を買いたいです。
それと、魔物や魔獣に詳しい場所へ行きたいです」
「わかったわ。
じゃあ、そっちの方面から行きましょうか」
誰かが肩を揺すっていた。
「う、お願い。あと五分寝かせて~」
何故か、どっと笑い声が聞こえてくる。
誰だー、私を嗤っている奴は。
またカラスどもか。
あいつら、本当に性質が悪いんだから。
なまじ人間の言葉が通じる事もあるだけに余計に性質が悪いわー。
「副騎士団長、大物っすねー、その子」
「あ、ああ。
いろいろ訳ありっぽいのだが、こんなに寝起きが悪いとは。
それにしてもよく寝ているものだ」
「それにしても、おめでとうございます。
これで、団長やあなたも肩の荷が下りますね」
「まったくだ」
う、あれ? 今何をやっていたんだっけ。
き、記憶が飛んでるー。
「は! こ、ここは!?」
「王国騎士団本部へようこそ、お嬢さん。
よくお休みでしたね」
「あわわわわ、す、すいません。
春なもんで、ついー」
しまったー、やってしまった。
なんと騎士団の他の人と初対面で、のっけからこれか。
まあ笑われている分には親しみを持ってもらえていいくらいのものだけど、さすがにちょっと恥ずかしいー。
おっと、ちょっと涎の後が付いてるー。
それを慌てて擦っていると、イケメンな副騎士団長閣下が叫んでいらした。
「ベロニカ、ベロニカはいるか」
すると、建物の奥から白い上下のピシっとした礼装のような服を着込んで帯剣した美女が現れた。
アメリカなんかでも最近は少ないと言われる純ブロンド。
その宝石のエメラルドのような感じで、深みのあるグリーンの瞳が映える。
リュールさんが同じような金髪と、綺麗な青い目だから二人並ぶと凄い。
目の覚めるような美女とは、まさにこの人の事だ。
異世界すげえ。
「何でしょう、副団長」
「お前に、この子の世話を頼みたい」
「は? その子を⁇」
まあそういう反応が返るのは無理もない。
その副騎士団長閣下にも、先程散々言われてしまったほど頼りない女なのだ。
ここにいるのは場違いにもほどがある。
「その子は、うちで住居や仕事の世話をする事になった。
この子は我が騎士団の恩人だ。
丁重に扱え。
名はサヤ・アド。
サヤ、これが例の、うちの紅一点の女騎士だ。
ベロニカ、しばらくその子の警護につけ」
「はあ、よろしいですが、いつまで?
私も自分の仕事がありますので」
「お前の判断に任せる。
その子が一人歩き出来るようになるまでだ。
お前の仕事は手伝わせてやってもいい。
その子に仕事を紹介してやらないといけないのでな。
それまでは騎士団から仕事を与えよう」
彼女は私を無遠慮に眺めつつ、しばし考えていたようだったが、ふと気になったらしくて上官に訊ねた。
「リュール副団長。
この子はどこに住んでいるのです?」
「ああ、今日王都へ来たばかりだから、住むところもない。
とりあえず、うちの宿舎の空いた部屋にでも入れようかと」
だが、次の瞬間に彼女は猛烈に怒り出した。
「副団長、あんたはアホですかあ。
こんな女の子を、男臭い騎士団宿舎の中に放り込む馬鹿がどこにいますかーっ」
うはっ、彼の頭の中ではそういう予定になっていたのねー!
それは、さすがにキツイわ。
のんびり屋の私も思わず顔が引き攣った。
一応は花の女子高生なのですが、ここにはこの素敵なブレザーとチェックのスカートの意味を知る人間すら一人もいない。
「わ、わかったわかった。
そう怒るな。
では、この子は我が家の屋敷に住まわせよう」
「当り前です。この子は、あなたが拾ってきたんでしょうにー。
最初っからそうしなさい」
それから、彼女は私に向かってこう言った。
「いいですか?
うちの副団長は真面目で融通が利かない頑固者で、見目麗しいだけではなく大変骨のある男なので尊敬はしていますが、万事がこういう感じなので、あなたも気を付けなさい。
油断していると、さっきみたいな酷い事になりますから」
「あ、はい。
よくわかりました。
あまり気が利かないっていうか、気が回らないっていうか、天然っていうか。
そういう感じの人なんですよね」
それを聞いて、満足そうな感じで「どうよ」と言わんばかりに、かなりサイズがありそうな胸を張って副団長様に向かってドヤ顔を放ち、彼から苦笑されていた。
いいな、この人。
凄く気に入った。
いっぱい仲良くしておこうっと。
それから、副団長様はベロニカさんの耳元に囁いていた。
「その子は収納持ちで、高価な物品も持ち歩いているようだ。
連れ歩くときは気を付けてやってくれ。
本人はまだあまり自覚がないようだ」
彼女は少し眉を寄せたが、そのまま頷いた。
「わかりました。
そのように取り計らいます」
「後で事務の方へ連れていってくれ。
その子の身分証を作らせておく」
それから、副団長様は団旗の飾り付けがあるらしくて、かなり忙しそうに立ち働いていた。
それをボーっとして見送っていたが、ベロニカさんから声をかけられた。
「さて、どうしようか。
あなたって、何が得意なのかな」
「主に動物の相手ですね。
もっぱら、彼らと一緒に遊ぶ方ですが」
「あーと、働く方面の話だったのですが」
「えー、そう特技はないのですが、多少の算術とか、あと多少の回復魔法は使えます」
「へえ、回復魔法か。
凄いじゃない。
それなら騎士団なんかでも引っ張りだこよ。
どこで習ったの?」
「ナナさんから」
「へえ、どこの人なの」
「私のような、このあたりの地理に不案内な外国人にはよくわからないところに住んでいらっしゃる七色ガルーダのナナさんです。
そこで、たくさん彼らの羽根を御土産にいただいてきました」
思わず沈黙した彼女。
あれ、あまり正直に言ってはまずかっただろうか。
「えーと、じゃあどこに行きたいのかな。
今日王都へ来たばっかりなんだよね」
「ああ、素材の買い取りをしてもらいたくて。
あと、お金が出来たら服を買いたいです。
それと、魔物や魔獣に詳しい場所へ行きたいです」
「わかったわ。
じゃあ、そっちの方面から行きましょうか」
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