DNAにセーブ&ロード 【前世は散々でしたが、他人のDNAからスキルを集めて、今度こそ女の子を幸せにしてみせます】

緋色優希

文字の大きさ
7 / 66
第一章 渡り人

1-7 お魔法様

しおりを挟む
「やったぜ、初魔法ゲット!」
「ほう、それはいいものを貰ったのう。さっそく使ってみるがいい」
 そして、ぶっぱなした魔法は。

『ライト』
 これで夜中にも本が読めるぜ。灯りを見咎められないようにしないとな。ベビーベッドの上で魔法の明かりで真剣に本を読んでいる姿を親に見られようものなら!

 この世界、電気が無いから閉口していたんだ。油で灯す暗いランプはあるんだけど、赤ん坊が本を読むためにつけちゃあくれないからな。

 そして教会の人は、さらに学があった。かなり文章や、この世界の会話力なんかに物凄く幅が出たぜ。将来はこれで女の子にもてる可能性が更にアップだ。

「やれやれ。坊は本当に懲りないのお。どうして、この世界にリーンカーネーションする羽目になったのか、もう忘れたとみえる」

「ギクギクギク~」
 そうだった。あまり羽目をはずすと、この世界じゃあっさり首が飛びかねないぞ。

 自重しろよな。貴族の娘に手を出したなんていったらさ。まだ生まれたばっかりなんだぞ。まだ女に手が出せる年じゃないけどね。

「ねえ、魔法って魔法力みたいな物が切れると使えないの?」

「そういう訳ではない。ライトなんか、どれだけ使ったって困りはせん。だが、この世界に大きく干渉する物を使うと負荷も大きい。世界と契約して、その魔法を使わせてもらうわけなのでな。

 精神への負担がきつくなる。続けて何度も使えぬだろうの。そもそも世界と契約するという事自体が難しいのじゃ。後は世界が自動でやってくれる」

「なんだか難しいんだな。MPとかがあって、それがある間は使えるとか、そういうのを想像していたんだけど」

「MPって何じゃ?」
 あー、逆にわからないのか。そうだな、それってゲームの世界の概念だものな。

「魔法の呪文みたいなのはないの?」

「特に必要はないかの。世界へのオーダーのようなものじゃから。使う資格のあるものが魔法名を唱えると、世界が実行に移してくれる」

 なるほど、コマンド命令みたいなものなのか。だが、まずは魔法を一つコレクション。御機嫌だぜー。ファイヤーボールとかないのかねえ。

「ファイヤーボール」
 唱えたが、もちろん何も起こらない。世界と契約されていない命令は遂行されないのだ。

 個人的には水魔法とか希望だな。どこかで野垂れ死にかかった時、それがあるだけで生存確率が増すし。

 何より、我が家は農家なのだ。水は大切なものだ。ここは日本ではないのだから。黒猫先生の話によると、この村、メスリム村は水に恵まれたいい土地らしい。

 近くに大河があり、それでいて水害はなく、井戸からも水は湧く。山からも素晴らしい湧き水があるようだ。それって絶対にいい酒があるって事だよなあ。大人になってからの楽しみにしよう。

 それから来る日も来る日も、魔法持ちの来訪者を待ち望んだが、当然のように誰もやってこなかった。

 当り前だ。ここはただの農家の集まりの田舎の村なのだ。来るはずがない。ああ、早く大人になりたいと思いつつ、その前にはきっと山ほど畑仕事が待っているのだ。

「なあ、先生。この村で他に魔法持ちの人とかいないの?」
「あ? おるよ」
「本当! だ、誰」

「神父様じゃ。回復を司る福音のスキルじゃ。神父様なら、どこの教会でも持っておるよ。というか、教会の威厳を保つために、それが最低の資格になっている。あとは教養とかじゃの」

「あ、ああ。なるほど」
 そういう政治色の強い配置の訳ね。じゃあファイヤーボールとかは持っていないだろうな。

「そう、露骨にがっかりするでない。この世界には、坊が言っておったような医療の技術は無いのだ。それに冒険者になったら、引っ張りだこじゃぞい。大概は、教会や貴族などが囲ってしまうしのう」

「考えようによっては素晴らしい就職先と言えない事もない。是非獲得したい技術ですな。それで、神父様が我が家を訪れるのはいつ?」

「馬鹿者、そんな機会がある訳がなかろう。甘えるでない。歩けるようになったら自分で行ってこい!」
「そうですよねー」

 世間は赤ん坊に冷たいな。洗礼とかの有用な儀式はないようだ。それで、あのアルスラムさんが、わざわざ家まで祝福に来てくれたんだものな。まあ村の人口なんか知れているしなあ。

 そして、その後も黒猫先生の講義に耳を傾ける毎日だった。なんだかんだ言って、この新しい世界について学ぶ事は実に楽しかった。

 そして、ある日、ついに『這い這い』に成功した。通常は首が座るのは3か月から4~5ヶ月までの間と言われるが、セオリーなんか糞食らえで、スキル頼みに強引に首を座らせた。

 単に体を成長させただけである。赤ん坊にはあるまじき強引さだ。そして同時に、物に手を伸ばす、寝返りなどを強引にマスターした。

 夜泣きなど一度もやった事が無い。男のする事ではないからだ。泣くのは『おっぱいを呼ぶ時だけ』と固く定めているのだ。

 お座りはちょっと手強かった。赤ん坊は頭周りから成長していくので。だが、そこからは早かった。俺は6か月のうちに這い這いマスターの称号を受けた。

 俺は這った。一生懸命に這った。それはもうナメクジのように這った。生憎、怪しげな粘液を残す事はできなかったが。いつの日か、ナメクジからスキルを奪ってその技を手に入れたい。その頃にはもう絶対に歩いているけどな。

「まあ、この子はよく這うわねえ」
「はい、アンソニー。お姉ちゃんがゴールよ」

 よっしゃあ、金髪美少女のお姉さまがゴールやあ。だが、お姉さまったら結構スパルタだな。さりげなく、しゃがんだまま後ずさっていくのだけど。

 だが、俺はスキルを発動した。
『スキル這い這い』

 我がDNAに残る、歴代先祖の内、もっとも這い這いのスピードキングであられる藤原大五郎その人のスキルだ。

 俺は超速のスキルでもって、お姉さまの洗濯板な胸に飛び込み、見事に押し倒すのに成功した。そして浮かべる満面の笑顔。

「うわあ、アンソニー凄い。こんな這い這い見た事が無いわあ」
「いや、たいしたものね。お父さんにも見せたかったわ」

 ふふ。この世界にはない日本のご先祖様のスキルですから。異世界から魂の記憶として持ち込んだ藤原隆のDNAは何故かアンソニーにも見事に組み込まれていた。

 金髪美少女のお姉さまに抱かれながら、俺は満面の笑顔を浮かべていた。いや、赤ん坊はこれくらい天真爛漫じゃなくっちゃな。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生者は冒険者となって教会と国に復讐する!

克全
ファンタジー
東洋医学従事者でアマチュア作家でもあった男が異世界に転生した。リアムと名付けられた赤子は、生まれて直ぐに極貧の両親に捨てられてしまう。捨てられたのはメタトロン教の孤児院だったが、この世界の教会孤児院は神官達が劣情のはけ口にしていた。神官達に襲われるのを嫌ったリアムは、3歳にして孤児院を脱走して大魔境に逃げ込んだ。前世の知識と創造力を駆使したリアムは、スライムを従魔とした。スライムを知識と創造力、魔力を総動員して最強魔獣に育てたリアムは、前世での唯一の後悔、子供を作ろうと10歳にして魔境を出て冒険者ギルドを訪ねた。 アルファポリスオンリー

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

処理中です...