DNAにセーブ&ロード 【前世は散々でしたが、他人のDNAからスキルを集めて、今度こそ女の子を幸せにしてみせます】

緋色優希

文字の大きさ
52 / 66
第一章 渡り人

1―52 フラム領主館

しおりを挟む
 そして、俺達がお強請りしたので、この街で盗賊の報奨金の交渉をしてもらえる事になった。こいつらに盗賊を担がせたままにさせていると、また王都に入る時に、入り口で揉めそうだし。

「ねえ、ねえ、ロザンナったら~」
「お願いー、ここで換金してー」
 おチビ二人に両側から引っ張られて閉口する、母性とはあまり縁の無さそうなロザンナ。

「わかった、わかった。わかったから! ちょっと、狂王とばあやまで一緒にひっぱらないで。アンソニー! そいつらはまた騒ぎになっちゃうから、仕舞っておきなさい」

 俺とミョンデ姉は「イエーイ」と、狂王とばあやと一緒に幼児の手の届く高さでハイタッチし、彼らは収納に帰っていった。

 そして連れていかれたのは、町の領主館。淡い灰色の石造りの立派な建物だ。それなりの大きさを誇っている。領主館というと、どうしてもあの『家』を想像してしまうのですがね。

「おや、スカーレット様。どうなさいました」
 おっと、門番レベルでお知り合いらしい。まあ美少女だから名前は憶えてもらえるよね。代わりにロザンナが答える。

「ちょっと盗賊に襲われてね。うちの冒険者が全滅したわ」
「え!」

 どうやら、ロザンナは冒険者ではあるがマネージャー業なので、雇う冒険者の管理をする管理者のような人間で、本人はもう冒険者の枠に入らない商会側の人間扱いらしい。

 俺はと言えば、当然ミミズクのように首を動かして、ミョンデ姉と同じくきょときょとしている。さすがに走り回ったりしないが。

 そして盗賊どもは、その門番の目の前にゴロンっと転がされて呻いている。
「あのう。そこの方々は?」

 そういわれたのは当然のように、立派なものを股間からぶらぶらさせた五名の三メートルの巨人達の事だ。

 そして俺が全員を撫でながら、声をかけて労ってやると、皆は素敵な笑顔を浮かべ、一礼をして収納に帰っていった。門番の人はそれをガン見していたが、ロザンナはポンポンと肩を叩いて言った。

「まあ気にしないでやってくれ。深く考えると、面倒くさいですよ」
「そ、そうですね。まあいいのですが」

 あまり、よくなさそうな感じで眉の間を揉んでいる門番のおっさん。しかし、もう一人が係の人を呼びにいってくれたらしい。

 そして、やってきた係官。その瞬間、盗賊の一人が素早く縄を切って逃げ出そうとしたが、俺の収納から飛び出したばあやが、鋭い手刀の一撃で沈めた。

 その盗賊の、目を見開いた「信じられない」という表情の眼を見て、他の奴等は大人しくなった。係の人に見事な一礼を見せて、ばあやは戻っていった。彼は首を捻りこう言った。

「あー、今のは一体なんだったのかな。まあ、盗賊は逃げだせませんでしたよね」
「気にしない、気にしない。それより報奨金の計算は~。伯爵~」

「あー、わかった。わかった。すまないが、お金の計算をしてやってくれ。今から買い物に行くらしいから煩くて敵わん」
「はあ」

 そして、なんとこちらも魔法金貨十枚分になった。案外ともらえたので、奴らには悪いが、俺とミョンデ姉はほくほくだった。困った幼児達である。

「盗賊狩りって結構美味しいなあ。ねえ係の人、盗賊ってまだいる~」
「そりゃあいるのでしょうが、簡単に見つかるくらいなら苦労はしませんよ」

「そうかあ、残念!」
「ねえ、アンソニー。早く買い物に行こう」
 スカーレットさんは俺達の頭を撫でて宥めた。

「先に宿に行きましょう。お買い物だけなら、王都の方がいいのよ」
「へえ。でも、ここも見ておきたいな」

「そうね。遠くから来たんですものね」
 俺達は手を繋いでもらい、馬車に乗せてもらった。まずは宿を目指すのだ。

 窓の外を流れる風景に俺とミョンデ姉はもう夢中だった。
「ねえ、こんなに建物が並んでいるなんて信じられないわ」

「うちは畑ですら、こんなに並んでいないけどね。それに建物の作りがまったく違うよ」
「高さも高いし」

 さすがに高層建築はないな。あれをやるにはコンクリートが必要だ。ここには存在しないのだろうか。だが、他の国へ行けばあるかもしれない。地球のローマ時代のように。

 立ち並ぶ建物、物流基地だけあって倉庫も多いようだ。街道のこちら側から来る物資が一手に集積されるのだ。役人とか美味しい思いしてそうだなあ。きっと、貴族のいい家の人間がなるのだろう。俺には縁のない話だ。

 通りの様子が少し雅やかな感じに変わってきた。
「ほら、君達。今日泊まる宿が見えてきたわよ」

 言われて見れば、なかなか豪奢な感じの宿の門構えが見えてきた。おそらく富裕な商人の泊まる高級宿なのだろう。ここはそういう人のためのホテル街なのだ。

「さあ、行きましょう。あなた達は私と同じ部屋でね」

 俺達はお母さんに手を引かれる子供達の如くにそれぞれ手を引かれて言った。もう、このスタイルがすっかり板についてしまった。出迎えてくれた支配人らしき人がにこやかに挨拶してくれる。

「これはスカーレット様、ようこそ。おや、今回はお子様連れですか?」
「「ママー」」
「これこれ」

 支配人の笑い声を水先案内人に、俺達はホテルの部屋に向かった。なんとなく貴賓室っぽい感じだ。部屋の長さとドアの具合でわかる。ドアも奥まった感じにわざわざ作られている。

 中は豪華絢爛。完全にスイートルームだ。
「うわあ、お姫様の部屋だあ」

 ミョンデ姉は、教会で見せてもらった絵本の挿絵にあるような部屋に大興奮だ。奴はそのまま天蓋付きのお姫様ベッドにダイブした。

「ミョンデお姉ちゃん、そういう事は、埃くらい、はたいてからやりなよ」
 だが、俺はある予感がして、それ以上馬鹿姉には構わずに走った。そして見つけたのだ。『お・風・呂』を!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生者は冒険者となって教会と国に復讐する!

克全
ファンタジー
東洋医学従事者でアマチュア作家でもあった男が異世界に転生した。リアムと名付けられた赤子は、生まれて直ぐに極貧の両親に捨てられてしまう。捨てられたのはメタトロン教の孤児院だったが、この世界の教会孤児院は神官達が劣情のはけ口にしていた。神官達に襲われるのを嫌ったリアムは、3歳にして孤児院を脱走して大魔境に逃げ込んだ。前世の知識と創造力を駆使したリアムは、スライムを従魔とした。スライムを知識と創造力、魔力を総動員して最強魔獣に育てたリアムは、前世での唯一の後悔、子供を作ろうと10歳にして魔境を出て冒険者ギルドを訪ねた。 アルファポリスオンリー

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

処理中です...