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第一章 渡り人
1―52 フラム領主館
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そして、俺達がお強請りしたので、この街で盗賊の報奨金の交渉をしてもらえる事になった。こいつらに盗賊を担がせたままにさせていると、また王都に入る時に、入り口で揉めそうだし。
「ねえ、ねえ、ロザンナったら~」
「お願いー、ここで換金してー」
おチビ二人に両側から引っ張られて閉口する、母性とはあまり縁の無さそうなロザンナ。
「わかった、わかった。わかったから! ちょっと、狂王とばあやまで一緒にひっぱらないで。アンソニー! そいつらはまた騒ぎになっちゃうから、仕舞っておきなさい」
俺とミョンデ姉は「イエーイ」と、狂王とばあやと一緒に幼児の手の届く高さでハイタッチし、彼らは収納に帰っていった。
そして連れていかれたのは、町の領主館。淡い灰色の石造りの立派な建物だ。それなりの大きさを誇っている。領主館というと、どうしてもあの『家』を想像してしまうのですがね。
「おや、スカーレット様。どうなさいました」
おっと、門番レベルでお知り合いらしい。まあ美少女だから名前は憶えてもらえるよね。代わりにロザンナが答える。
「ちょっと盗賊に襲われてね。うちの冒険者が全滅したわ」
「え!」
どうやら、ロザンナは冒険者ではあるがマネージャー業なので、雇う冒険者の管理をする管理者のような人間で、本人はもう冒険者の枠に入らない商会側の人間扱いらしい。
俺はと言えば、当然ミミズクのように首を動かして、ミョンデ姉と同じくきょときょとしている。さすがに走り回ったりしないが。
そして盗賊どもは、その門番の目の前にゴロンっと転がされて呻いている。
「あのう。そこの方々は?」
そういわれたのは当然のように、立派なものを股間からぶらぶらさせた五名の三メートルの巨人達の事だ。
そして俺が全員を撫でながら、声をかけて労ってやると、皆は素敵な笑顔を浮かべ、一礼をして収納に帰っていった。門番の人はそれをガン見していたが、ロザンナはポンポンと肩を叩いて言った。
「まあ気にしないでやってくれ。深く考えると、面倒くさいですよ」
「そ、そうですね。まあいいのですが」
あまり、よくなさそうな感じで眉の間を揉んでいる門番のおっさん。しかし、もう一人が係の人を呼びにいってくれたらしい。
そして、やってきた係官。その瞬間、盗賊の一人が素早く縄を切って逃げ出そうとしたが、俺の収納から飛び出したばあやが、鋭い手刀の一撃で沈めた。
その盗賊の、目を見開いた「信じられない」という表情の眼を見て、他の奴等は大人しくなった。係の人に見事な一礼を見せて、ばあやは戻っていった。彼は首を捻りこう言った。
「あー、今のは一体なんだったのかな。まあ、盗賊は逃げだせませんでしたよね」
「気にしない、気にしない。それより報奨金の計算は~。伯爵~」
「あー、わかった。わかった。すまないが、お金の計算をしてやってくれ。今から買い物に行くらしいから煩くて敵わん」
「はあ」
そして、なんとこちらも魔法金貨十枚分になった。案外ともらえたので、奴らには悪いが、俺とミョンデ姉はほくほくだった。困った幼児達である。
「盗賊狩りって結構美味しいなあ。ねえ係の人、盗賊ってまだいる~」
「そりゃあいるのでしょうが、簡単に見つかるくらいなら苦労はしませんよ」
「そうかあ、残念!」
「ねえ、アンソニー。早く買い物に行こう」
スカーレットさんは俺達の頭を撫でて宥めた。
「先に宿に行きましょう。お買い物だけなら、王都の方がいいのよ」
「へえ。でも、ここも見ておきたいな」
「そうね。遠くから来たんですものね」
俺達は手を繋いでもらい、馬車に乗せてもらった。まずは宿を目指すのだ。
窓の外を流れる風景に俺とミョンデ姉はもう夢中だった。
「ねえ、こんなに建物が並んでいるなんて信じられないわ」
「うちは畑ですら、こんなに並んでいないけどね。それに建物の作りがまったく違うよ」
「高さも高いし」
さすがに高層建築はないな。あれをやるにはコンクリートが必要だ。ここには存在しないのだろうか。だが、他の国へ行けばあるかもしれない。地球のローマ時代のように。
立ち並ぶ建物、物流基地だけあって倉庫も多いようだ。街道のこちら側から来る物資が一手に集積されるのだ。役人とか美味しい思いしてそうだなあ。きっと、貴族のいい家の人間がなるのだろう。俺には縁のない話だ。
通りの様子が少し雅やかな感じに変わってきた。
「ほら、君達。今日泊まる宿が見えてきたわよ」
言われて見れば、なかなか豪奢な感じの宿の門構えが見えてきた。おそらく富裕な商人の泊まる高級宿なのだろう。ここはそういう人のためのホテル街なのだ。
「さあ、行きましょう。あなた達は私と同じ部屋でね」
俺達はお母さんに手を引かれる子供達の如くにそれぞれ手を引かれて言った。もう、このスタイルがすっかり板についてしまった。出迎えてくれた支配人らしき人がにこやかに挨拶してくれる。
「これはスカーレット様、ようこそ。おや、今回はお子様連れですか?」
「「ママー」」
「これこれ」
支配人の笑い声を水先案内人に、俺達はホテルの部屋に向かった。なんとなく貴賓室っぽい感じだ。部屋の長さとドアの具合でわかる。ドアも奥まった感じにわざわざ作られている。
中は豪華絢爛。完全にスイートルームだ。
「うわあ、お姫様の部屋だあ」
ミョンデ姉は、教会で見せてもらった絵本の挿絵にあるような部屋に大興奮だ。奴はそのまま天蓋付きのお姫様ベッドにダイブした。
「ミョンデお姉ちゃん、そういう事は、埃くらい、はたいてからやりなよ」
だが、俺はある予感がして、それ以上馬鹿姉には構わずに走った。そして見つけたのだ。『お・風・呂』を!
「ねえ、ねえ、ロザンナったら~」
「お願いー、ここで換金してー」
おチビ二人に両側から引っ張られて閉口する、母性とはあまり縁の無さそうなロザンナ。
「わかった、わかった。わかったから! ちょっと、狂王とばあやまで一緒にひっぱらないで。アンソニー! そいつらはまた騒ぎになっちゃうから、仕舞っておきなさい」
俺とミョンデ姉は「イエーイ」と、狂王とばあやと一緒に幼児の手の届く高さでハイタッチし、彼らは収納に帰っていった。
そして連れていかれたのは、町の領主館。淡い灰色の石造りの立派な建物だ。それなりの大きさを誇っている。領主館というと、どうしてもあの『家』を想像してしまうのですがね。
「おや、スカーレット様。どうなさいました」
おっと、門番レベルでお知り合いらしい。まあ美少女だから名前は憶えてもらえるよね。代わりにロザンナが答える。
「ちょっと盗賊に襲われてね。うちの冒険者が全滅したわ」
「え!」
どうやら、ロザンナは冒険者ではあるがマネージャー業なので、雇う冒険者の管理をする管理者のような人間で、本人はもう冒険者の枠に入らない商会側の人間扱いらしい。
俺はと言えば、当然ミミズクのように首を動かして、ミョンデ姉と同じくきょときょとしている。さすがに走り回ったりしないが。
そして盗賊どもは、その門番の目の前にゴロンっと転がされて呻いている。
「あのう。そこの方々は?」
そういわれたのは当然のように、立派なものを股間からぶらぶらさせた五名の三メートルの巨人達の事だ。
そして俺が全員を撫でながら、声をかけて労ってやると、皆は素敵な笑顔を浮かべ、一礼をして収納に帰っていった。門番の人はそれをガン見していたが、ロザンナはポンポンと肩を叩いて言った。
「まあ気にしないでやってくれ。深く考えると、面倒くさいですよ」
「そ、そうですね。まあいいのですが」
あまり、よくなさそうな感じで眉の間を揉んでいる門番のおっさん。しかし、もう一人が係の人を呼びにいってくれたらしい。
そして、やってきた係官。その瞬間、盗賊の一人が素早く縄を切って逃げ出そうとしたが、俺の収納から飛び出したばあやが、鋭い手刀の一撃で沈めた。
その盗賊の、目を見開いた「信じられない」という表情の眼を見て、他の奴等は大人しくなった。係の人に見事な一礼を見せて、ばあやは戻っていった。彼は首を捻りこう言った。
「あー、今のは一体なんだったのかな。まあ、盗賊は逃げだせませんでしたよね」
「気にしない、気にしない。それより報奨金の計算は~。伯爵~」
「あー、わかった。わかった。すまないが、お金の計算をしてやってくれ。今から買い物に行くらしいから煩くて敵わん」
「はあ」
そして、なんとこちらも魔法金貨十枚分になった。案外ともらえたので、奴らには悪いが、俺とミョンデ姉はほくほくだった。困った幼児達である。
「盗賊狩りって結構美味しいなあ。ねえ係の人、盗賊ってまだいる~」
「そりゃあいるのでしょうが、簡単に見つかるくらいなら苦労はしませんよ」
「そうかあ、残念!」
「ねえ、アンソニー。早く買い物に行こう」
スカーレットさんは俺達の頭を撫でて宥めた。
「先に宿に行きましょう。お買い物だけなら、王都の方がいいのよ」
「へえ。でも、ここも見ておきたいな」
「そうね。遠くから来たんですものね」
俺達は手を繋いでもらい、馬車に乗せてもらった。まずは宿を目指すのだ。
窓の外を流れる風景に俺とミョンデ姉はもう夢中だった。
「ねえ、こんなに建物が並んでいるなんて信じられないわ」
「うちは畑ですら、こんなに並んでいないけどね。それに建物の作りがまったく違うよ」
「高さも高いし」
さすがに高層建築はないな。あれをやるにはコンクリートが必要だ。ここには存在しないのだろうか。だが、他の国へ行けばあるかもしれない。地球のローマ時代のように。
立ち並ぶ建物、物流基地だけあって倉庫も多いようだ。街道のこちら側から来る物資が一手に集積されるのだ。役人とか美味しい思いしてそうだなあ。きっと、貴族のいい家の人間がなるのだろう。俺には縁のない話だ。
通りの様子が少し雅やかな感じに変わってきた。
「ほら、君達。今日泊まる宿が見えてきたわよ」
言われて見れば、なかなか豪奢な感じの宿の門構えが見えてきた。おそらく富裕な商人の泊まる高級宿なのだろう。ここはそういう人のためのホテル街なのだ。
「さあ、行きましょう。あなた達は私と同じ部屋でね」
俺達はお母さんに手を引かれる子供達の如くにそれぞれ手を引かれて言った。もう、このスタイルがすっかり板についてしまった。出迎えてくれた支配人らしき人がにこやかに挨拶してくれる。
「これはスカーレット様、ようこそ。おや、今回はお子様連れですか?」
「「ママー」」
「これこれ」
支配人の笑い声を水先案内人に、俺達はホテルの部屋に向かった。なんとなく貴賓室っぽい感じだ。部屋の長さとドアの具合でわかる。ドアも奥まった感じにわざわざ作られている。
中は豪華絢爛。完全にスイートルームだ。
「うわあ、お姫様の部屋だあ」
ミョンデ姉は、教会で見せてもらった絵本の挿絵にあるような部屋に大興奮だ。奴はそのまま天蓋付きのお姫様ベッドにダイブした。
「ミョンデお姉ちゃん、そういう事は、埃くらい、はたいてからやりなよ」
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