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第二章 王都へ
2-13 忠誠の剣
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間もなく、かなり手狭になった謁見の間に小姓が急ぎやってきた。そう、あの狂王の魔核を手にして。いや、本当に狭いわ。
この謁見の間、やたらと広いのだが。まるで、この間の広さで国威を表さんとするかの如く。だが、さすがに六千二百体もの巨人が埋め尽くせば、芋洗いの海水浴場の如くだ。
あ、海水浴行きたいな。この軍勢なら、村総出でも行けちゃいそうだ。海までどれくらいの距離があるのだろうな。きっと海が綺麗なんだぜ。工場とか全然ないものなあ。
とにかく天井は十メートル以上ありそうなので、狂王が立ち上がっても超余裕の高さだ。俺の家だと多分天井板を突き抜けちゃうけどね。
「アンソニーよ、それ褒美を与えよう。それにしても、まったく欲のない事だ。本来なれば、貴族の地位を与えてもよい功績なのだからな」
王様、二歳の農民の子に、さすがにそれはないでしょう。そんな事をしたら風当たりがきつくて堪りませんわ。絶対にごめんですわね。それだったら金でも頂いた方がまだマシですわ。
俺の顔にそう書いてあったのを読んだかの如くに王様は笑った。やれやれ。そして、俺は狂王の肩から降りて、進み出て一礼をすると恩賞を受け取った。
そして振り返って狂王を呼んだ。
「狂王、お前の魔核だよ。取りにおいで」
彼はおずおずといった立ち居振る舞いで、周りの兵士を刺激せぬように進み出ると、両膝を着き、膝立ちとなった。
そして魔核を受け取り、それを天に翳して吠えた。威嚇のためではないのだが、兵士たちはまたビクっとして剣を構えたが、王様が手で制したので剣は降ろされた。伯爵が生きた心地もしないという感じで縮み上がっていた。
そして狂王が感謝の言葉を王様に捧げた。
「ありがとう、王様。これで、我の魔核、主に捧げる事ができる」
え、今渡したのをまた返してきちゃうのか?
だが、違ったようだ。胸の前に両手で挟まれ、捧げられたそれはティムの体の光の輝度を上げたかのように光り輝き、そしてその耀きの中で徐々に形を変えていった。
『光の剣』
そう称するのがもっとも相応しいような、聖なる剣とでもいうかのようなイメージの美しい芸術品のような剣へと形を変えた。
「我、この霊剣クラウ・ソラスを我が主アンソニーに捧げる」
そして王は驚愕した。
「クラウ・ソラスだと。それこそは神話の世界の聖剣ではないか」
その神話読みたいな。後で伯爵に強請ろうっと。
どうも話が見えなくていけねえや。大体、それってケルトの神話か何かに出てくる光の剣の名前だよな。
そして、俺の収納からすべての魔核が飛び出していき、残りのティムのところに飛んでいった。狂王のクラウ・ソラスの影響を受けた同期現象なのか。そして、彼らも漏れなく光の剣を手にしていた。
「うーむ、これぞ剣属化。ソードナイズというものだ。この目でみるまで、あの伝承が事実だとは思ってもみなんだ」
そんな物があったとは知りませんでしたわ。俺ってば、そんな大切なキーアイテムを売っぱらっちゃっていたのね。いやあ、これはまた迂闊だねえ。
「へえ、みんな。草刈りにぴったりのアイテムが手に入ってよかったねえ」
うんうんと頷くティム軍団。そして、ずっこける王様。
「いやはや、二歳児というものは」
「し、仕方がありませんよ、王様。だって、この国は平和なんでしょう? この王宮の有り方をみれば、わかりますよ。一番の脅威が、あのゴブリン・スタンピードでしたものねえ」
俺は、まるで他人事のように言い放った。
「やれやれ。ブルームン伯爵」
「は」
まるで先生に叱られている小学生のように縮こまった伯爵が、そーっと王様を見た。
「とりあえず、アンソニーの事は御前に任せよう。よいな?」
「は、ははあーっ」
今度はその場で平伏する伯爵。俺達はどうしよう!
「アンソニー、難しく考えなくていいんだよ。ほら、困ったら伯爵の真似をすればいいんだからさ!」
「そうだったね。ミョンデ姉、冴えてる~」
「当り前よ、私はお姉ちゃんなんだからね」
そして、俺とミョンデ姉はスライディング土下座を楽しむ事にした。
そして狂王以下のティム軍団も、光の剣を体内に仕舞い込むと俺達に倣ったので、土下座の間になってしまった。凄い絵面だな。まるで時代劇だぜ。そして王様を大いに苦笑させたのだった。
「もうよい、皆の者。面を上げよ。アンソニー、もう少し話があるので昼食に来なさい」
「王様の⁉」
おっと、うっかり王様って言っちゃったぜ。つい、お食事に気が行ってしまって。
「ミョンデ姉、王様のお食事だってさ」
「やった~!」
王様の御前なのに、ついうっかりと二人して飛び上がってはしゃいでしまったが、すかさず狂王とばあやに座らされて頭をぐいぐいと下げさせられていた。
「はっはっは、子供はそれくらい元気でなければなあ」
それを聞いて王妃様も朗らかにお笑いになっていたのだった。
たくさん読んでいただき、大変ありがとうございました。
お話も本日で一区切りとなり、一旦終了とさせていただきます。
またお目にかかれる日を楽しみにしております。
この謁見の間、やたらと広いのだが。まるで、この間の広さで国威を表さんとするかの如く。だが、さすがに六千二百体もの巨人が埋め尽くせば、芋洗いの海水浴場の如くだ。
あ、海水浴行きたいな。この軍勢なら、村総出でも行けちゃいそうだ。海までどれくらいの距離があるのだろうな。きっと海が綺麗なんだぜ。工場とか全然ないものなあ。
とにかく天井は十メートル以上ありそうなので、狂王が立ち上がっても超余裕の高さだ。俺の家だと多分天井板を突き抜けちゃうけどね。
「アンソニーよ、それ褒美を与えよう。それにしても、まったく欲のない事だ。本来なれば、貴族の地位を与えてもよい功績なのだからな」
王様、二歳の農民の子に、さすがにそれはないでしょう。そんな事をしたら風当たりがきつくて堪りませんわ。絶対にごめんですわね。それだったら金でも頂いた方がまだマシですわ。
俺の顔にそう書いてあったのを読んだかの如くに王様は笑った。やれやれ。そして、俺は狂王の肩から降りて、進み出て一礼をすると恩賞を受け取った。
そして振り返って狂王を呼んだ。
「狂王、お前の魔核だよ。取りにおいで」
彼はおずおずといった立ち居振る舞いで、周りの兵士を刺激せぬように進み出ると、両膝を着き、膝立ちとなった。
そして魔核を受け取り、それを天に翳して吠えた。威嚇のためではないのだが、兵士たちはまたビクっとして剣を構えたが、王様が手で制したので剣は降ろされた。伯爵が生きた心地もしないという感じで縮み上がっていた。
そして狂王が感謝の言葉を王様に捧げた。
「ありがとう、王様。これで、我の魔核、主に捧げる事ができる」
え、今渡したのをまた返してきちゃうのか?
だが、違ったようだ。胸の前に両手で挟まれ、捧げられたそれはティムの体の光の輝度を上げたかのように光り輝き、そしてその耀きの中で徐々に形を変えていった。
『光の剣』
そう称するのがもっとも相応しいような、聖なる剣とでもいうかのようなイメージの美しい芸術品のような剣へと形を変えた。
「我、この霊剣クラウ・ソラスを我が主アンソニーに捧げる」
そして王は驚愕した。
「クラウ・ソラスだと。それこそは神話の世界の聖剣ではないか」
その神話読みたいな。後で伯爵に強請ろうっと。
どうも話が見えなくていけねえや。大体、それってケルトの神話か何かに出てくる光の剣の名前だよな。
そして、俺の収納からすべての魔核が飛び出していき、残りのティムのところに飛んでいった。狂王のクラウ・ソラスの影響を受けた同期現象なのか。そして、彼らも漏れなく光の剣を手にしていた。
「うーむ、これぞ剣属化。ソードナイズというものだ。この目でみるまで、あの伝承が事実だとは思ってもみなんだ」
そんな物があったとは知りませんでしたわ。俺ってば、そんな大切なキーアイテムを売っぱらっちゃっていたのね。いやあ、これはまた迂闊だねえ。
「へえ、みんな。草刈りにぴったりのアイテムが手に入ってよかったねえ」
うんうんと頷くティム軍団。そして、ずっこける王様。
「いやはや、二歳児というものは」
「し、仕方がありませんよ、王様。だって、この国は平和なんでしょう? この王宮の有り方をみれば、わかりますよ。一番の脅威が、あのゴブリン・スタンピードでしたものねえ」
俺は、まるで他人事のように言い放った。
「やれやれ。ブルームン伯爵」
「は」
まるで先生に叱られている小学生のように縮こまった伯爵が、そーっと王様を見た。
「とりあえず、アンソニーの事は御前に任せよう。よいな?」
「は、ははあーっ」
今度はその場で平伏する伯爵。俺達はどうしよう!
「アンソニー、難しく考えなくていいんだよ。ほら、困ったら伯爵の真似をすればいいんだからさ!」
「そうだったね。ミョンデ姉、冴えてる~」
「当り前よ、私はお姉ちゃんなんだからね」
そして、俺とミョンデ姉はスライディング土下座を楽しむ事にした。
そして狂王以下のティム軍団も、光の剣を体内に仕舞い込むと俺達に倣ったので、土下座の間になってしまった。凄い絵面だな。まるで時代劇だぜ。そして王様を大いに苦笑させたのだった。
「もうよい、皆の者。面を上げよ。アンソニー、もう少し話があるので昼食に来なさい」
「王様の⁉」
おっと、うっかり王様って言っちゃったぜ。つい、お食事に気が行ってしまって。
「ミョンデ姉、王様のお食事だってさ」
「やった~!」
王様の御前なのに、ついうっかりと二人して飛び上がってはしゃいでしまったが、すかさず狂王とばあやに座らされて頭をぐいぐいと下げさせられていた。
「はっはっは、子供はそれくらい元気でなければなあ」
それを聞いて王妃様も朗らかにお笑いになっていたのだった。
たくさん読んでいただき、大変ありがとうございました。
お話も本日で一区切りとなり、一旦終了とさせていただきます。
またお目にかかれる日を楽しみにしております。
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