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まるで

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「では敵国英雄マテウスに此度の戦の敗戦処理を請け負わせます。」
「お、お待ち下さい!」
「なんだ?」
「マテウスの帰国は認めますが、此度の敗戦処理に彼を関わらせることはできません。」
「では誰がこの事態を収めるのだ?まさかお前が収めるのか?」
国王がそう問うと宰相は俯きながら答える。
「いいえ、この国には英雄と呼ばれるに相応しい人物が他におりませんので、やはりマテウスが適任であると言わざるを得ません。」

「決定!マテウスを敵国将軍の手による陵遅刑に処させる!」
「ふざけるな!なぜ私が戦を仕掛けたわけでもないのに敗戦処理をしなければならんのだ!」
「それはお前がこの国の英雄だからだろう。」
国王は当然の様な顔でそう答えると、マテウスは諦めた様子で口を開く。
「わ、分かった。でも俺には老眼があって」
「構わん!貴様の身柄さえ押さえれば後はなんとでもなるわ!」
マテウスの問いに宰相はすぐに返答をする。
さぁ処刑の始まりだ。


当日。


マテウスは王城の近くにある教会に幽閉されていた。
「俺の処刑を見届けると言っていたよな?」
マテウスの問いかけに神官服を着た男は答える。
「あぁ、そのつもりではあったが、お前の処刑が延期になった。」
「な、なんで!?」
「だから明日まで延期だ。」
「ふざけるなよぉ!」


いよいよ死刑執行日。
「さぁ、お前は死刑だ。楽しみだな。俺たちの嗜虐心を存分に満たしてくれよ。」

「わーんいやだいやだいやだいやだ!」

敵国将軍達が磔にされ横たわらされた形のマテウスを取り囲み、それぞれに小型のナイフを持っている。
まずは老眼だという目の周りからざくざくとくり抜いて穴を開けていく。
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