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レイズの未来を変える。
ハードな現実
しおりを挟むレイズは拳を握りしめ、吐き捨てるように呟いた。
(……なのに俺はどうだ?)
“イージーな世界”だと、どこかで甘く見ていた。
アルバードには最強が三人もいる。
王国も蹴散らせる。
魔族とだって渡り合える。
そんな都合のいい幻想にしがみついていた。
――その幻想が、本来のレイズを殺した。
未来を知っているつもりで、実際には何も知らなかった自分。
「……本当に、何も分かってなかったのは俺の方だったのか。」
アルバードは守られてなどいない。
最強の三人がいるからこそ、標的にされ、狙われ、利用され、そして――滅ぼされる。
わざと魔族を煽り、
わざとアルバードを疲弊させ、
わざとアルバード戦力と魔族の戦力を底まで削り落とす。
その後にふりかかるのは、王国とレイバードの“処刑”だった。
(イージーなんて言葉……この世界には、一度だって存在してねぇじゃねぇかよ…)
胸の奥で、じわりと熱が立ち昇ってくる。
そして――もう一つの疑問が、深く突き刺さる。
(……なぜ、“本来のレイズ”は魔法を使えなかった?)
ゲームでは確かに存在した人物。
主人公カイルが出会う前に、すでに死んでいた少年。
だが――魔法を使えないなんて、ありえない。
死属性は“生まれた瞬間に宿る”異質の力。
本人が望もうが望むまいが、身体の奥底で必ず反応する。
それなのに、レイズは何も持たず、何も残さず、消えていた。
(……使わなかったのか?
それとも――“使わせてもらえなかった”のか?)
誰かが封じた?
誰かが奪った?
誰かが“レイズという存在”を意図的に無力化した?
嫌な想像が、次々と浮かぶ。
そのとき――
レイズの脳裏に、確かに残っているゲームの記憶がよぎる。
三つの視点。
三つの陣営。
そして立ちはだかる三つの強敵。
◇一人目――人の側の最強、グレサス。
王国最強の騎士。
主人公の前に立ちはだかる、“正義”そのものの壁。
◇二人目――魔族の側の最優の魔剣士、ガイル。
狂気と誇りの両方を宿し、戦いの意味を自ら定義する怪物。
◇三人目――どちらにも属さぬ最凶の戦士、ウラトス。
ただ強さだけを追い求め、世界そのものへ挑戦する“理不尽の塊”。
そして――主人公カイルは、これらすべてを越えて英雄へと至る物語を歩んだ。
だが。
(……ここに“レイズ”は存在しない)
どの視点にも、どの物語にも、本来なら彼はいなかった。
序盤ですでに死んでいるからだ。
けれど──
今は違う。
今のレイズは、彼らの手前で立ち止まる側ではなく、
“同じ盤上に立つ側”へと踏み出している。
グレサスと剣を交える未来。
ガイルと笑いながら殺し合う未来。
ウラトスと命を賭して踏み越える未来。
そのどれもが、今のレイズならあり得る。
むしろ――避けられない。
静かに、しかし確かにレイズの胸に炎が灯る。
(カイルにできたなら……俺にもできる)
英雄の物語を辿るのではなく、
英雄を“越える側”へ進む。
アルバードを救い、魔族と契り、王国を壊し、レイバードを潰す。
すべては一つへとつながる。
――レイズは、自分自身の物語を歩くためにここにいる。
そして今、その始まりの真ん中に立っていた,
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