3 / 3
Episode 3-真実と魔法
しおりを挟む
「ところでじじい。前に話してた、特殊訓練ってなんのことだ?」
「そろそろ頃合いか...。」
「だから、質問に答えろ!」
「それはな、魔法じゃよ。」
「マホウ...?」
原点は首を傾げて、クエスチョンマークを掲げている。
こういうところだけ見れば、ただの2才児で可愛いんだがな...。
「チッ、お前なんか今変なこと考えてただろ?」
「い、いや?そんなわけないじゃろぉ。」
こ、こやつ、第六感も鋭いな...。
油断はできぬ。
「そんで、マホウって何なんだよ?」
「魔法っていうのは、精神を集中させ、体に流れる轆轤を調整し、何もない状態から炎や水、風などを生んで相手を攻撃する術だ。」
「それ、俺に必要あんのかよ?睨むだけで奴らは逃げんじゃねぇか。掛かってきても拳で勝てんだろ。」
た、確かにそうかもしれない...。
そうだ。そろそろこの世の残酷な真理を伝えてしまうか。
この世に存在する、悪龍のことを。
「しょうがない。この世の真実を伝えてやろう。それは、3000万年前。」
◇◇◇
その世には二つの大陸が存在し、それぞれが異なる文化と習慣を持っている。
この二つの大陸間には大洋が存在し、向こうの大陸まで航海するのに果てしないほどの日数がかかるという。
二つの大陸はそれぞれ、鬼巖獅大陸と龍真天大陸という。
鬼巖獅大陸は、鬼が平和の象徴とされ、正義の神だと称えられていた。
龍真天大陸では、龍が最高神とされ、この世の全ての権力を握っているとされていた。
そして、ある日。鬼巖獅大陸に、訳の分からないことを話す人間どもがやって来た。
言語が通じないのだ。我々とは違う言葉を喋っている。
だが、なんとか情報の交換に成功し、この世界以外にもう一つの世界があることを知った。
しかし、どうも二つの大陸の人々は仲良くすることができなかった。
文化の違いがあり、当たり前のことなのだが、昔にはそんな考えができる人はいなかった。
そして、戦乱の時代が始まったんだ。
だが、結果はどう見ても龍真天の方が上回っていた。
鬼巖獅は降伏し、これからは仲良くしていこうと平和条約を結ぼうとした。
のだが、...龍真天は構わず、龍の力で鬼巖獅を焼き払ったのだ。
その時だった。鬼巖獅側に、九つの鬼が現れたのは。
九つの鬼は龍真天の龍たちの攻撃から、鬼巖獅を守ったのだ。
そうして、龍真天は去っていったのだが、龍真天はその後も鬼巖獅を滅すべしと攻撃を仕掛けてくる。
だが、毎度九つの鬼が鬼巖獅を守ってくれた。
この時から、鬼巖獅大陸には“九鬼”という名字が増えたのだ。
そしてある時、九つの鬼が魔法というものを生み出した。
炎を使う鬼を、炎鬼
水を使う鬼を、水鬼
風を使う鬼を、風鬼
雷を使う鬼を、雷鬼
魔を使う鬼を、魔鬼
気を使う鬼を、気鬼
念を使う鬼を、念鬼
癒を使う鬼を、癒鬼
無を使う鬼を、無鬼
こうして魔法が生まれたのだ。
この九つの根元魔法と呼ばれるものから、どんどん派生して多くの属性が生まれた。
そうして龍に抗う術を身に付けた鬼たちは、次の龍の襲撃に備えた。
そして龍真天がまたやって来たとき。
鬼は習得した魔法を使って、龍を攻撃した。
それを見た龍真天側は、去っていった。
誰もが龍真天に勝ったと思った矢先。
龍真天は鬼巖獅大陸に、爆弾を落とした。
しかも、数百近い数の、とんでもない爆弾を。
こうして、鬼巖獅大陸は平野が広がる、荒れた地と化した。
◇◇◇
「まぁ、こんなことがあって、戦乱の時代は終わったんだが、鬼巖獅はそれから龍真天を目の敵にしている。しかも、魔法が栄えて、力を蓄えているんだ。この大陸には、九つの鬼の亡霊が彷徨いている。龍真天は悪いことばっか考えている。そこでだ。鬼巖獅にとってお前は、希望の光である。お前に頼みたいことがある。九つの鬼の復活と、轆轤神岩の解放と、兵を募って龍真天に復讐してほしい。」
とにかく話が長すぎて、聞いていないところもあったが、どうやら復讐をすればいいらしい。
「なんで何も関係のない俺が、復讐を手伝わなきゃなんねぇんだ?」
「頼む!わしの一族に代々伝えられた、“復讐の誓い”があるんだ!それなのに、わしは子孫を残せなかった...!だから、お前に代わりに仇を取ってほしいんだ!」
なんだかよく分からないが、このじじいの先祖に何かがあったのか...。
それでどんどん子孫にそれを伝えていって、チャンスがあれば復讐しろって、そういうことか?
なのにこのじじいはモテなかったから、女ができずに、子孫を残せなかったのか。
なるほど、こんなキモい顔してたらモテねぇよな。
「可哀想だし、手伝ってやるよ。どうせ、雑魚だろ?今すぐに向かったって、俺なら勝てるぜ?」
「そう上手くいかないんだ。向こうは、鬼巖獅より遥かに超越した技術や能力を持っている。武器も発展していれば、防具も発展している。更には魔法も。そして悪龍は、向こうに恐らく数百体存在する。それぞれがとんでもない戦闘能力を持ち合わせている。人口もこっちの十数倍はいると考えていいだろう。更には、向こうに突っ込んでいく場合、向こうの方が上手く戦いができるように、地形や城塞が完成している。数多くの魔法使いがいて、とにかくそれぞれの魔法がこっちの比にならないほど凄いんだ。さすがのお前でも、善戦はできるだろうが負ける可能性が高い。」
この老いぼれは何を言ってるんだ?
俺でも勝てないほどのものが、向こうにあるって言うのか?
ふざけやがって。
でも、もし本当にそうなら、楽しめそうじゃねぇか。
「わかった。そんで、九つの鬼の復活と、轆轤神岩の解放って何なんだ?」
「九つの鬼は今、亡霊として九つの山に奉られている。そこに行って、鬼の亡霊から復活の条件に必要なものを聞くんだ。それでお前が集めてきて、復活させるといった算段だ。鬼は必ず九つ復活させろ。でなければ真価は発揮されない。それと、轆轤神岩は、地図上で九つの山に点の印を付けたとき、その中心に存在する岩だ。その岩に、5つの宝石をはめることで、九つの鬼と、更に岩に宝石をはめた者、つまりお前の体に流れる轆轤が強化されて更に強くなることができる。その10人が集まれば、恐らく龍真天に勝てる。」
めんどくせぇ。このじじいのために、俺がそれをやるのか?
ダルくないか?相当ダルいな。
でも、まぁ、このじじいには世話になってるし、これからも世話してくれるんだろうから、それくらい受けるか。
「めんどくせぇけど、やってやるよ。」
「すまないな。わしはもう体が弱っていて、まともに体が動かせない。」
「うるせぇ、みじめったらしいことは言うな。」
クソじじいが、見てっとイライラすんだよ。
まぁ、いいや。とりあえず、頭使いすぎたから、飯食って寝よ。
「そろそろ頃合いか...。」
「だから、質問に答えろ!」
「それはな、魔法じゃよ。」
「マホウ...?」
原点は首を傾げて、クエスチョンマークを掲げている。
こういうところだけ見れば、ただの2才児で可愛いんだがな...。
「チッ、お前なんか今変なこと考えてただろ?」
「い、いや?そんなわけないじゃろぉ。」
こ、こやつ、第六感も鋭いな...。
油断はできぬ。
「そんで、マホウって何なんだよ?」
「魔法っていうのは、精神を集中させ、体に流れる轆轤を調整し、何もない状態から炎や水、風などを生んで相手を攻撃する術だ。」
「それ、俺に必要あんのかよ?睨むだけで奴らは逃げんじゃねぇか。掛かってきても拳で勝てんだろ。」
た、確かにそうかもしれない...。
そうだ。そろそろこの世の残酷な真理を伝えてしまうか。
この世に存在する、悪龍のことを。
「しょうがない。この世の真実を伝えてやろう。それは、3000万年前。」
◇◇◇
その世には二つの大陸が存在し、それぞれが異なる文化と習慣を持っている。
この二つの大陸間には大洋が存在し、向こうの大陸まで航海するのに果てしないほどの日数がかかるという。
二つの大陸はそれぞれ、鬼巖獅大陸と龍真天大陸という。
鬼巖獅大陸は、鬼が平和の象徴とされ、正義の神だと称えられていた。
龍真天大陸では、龍が最高神とされ、この世の全ての権力を握っているとされていた。
そして、ある日。鬼巖獅大陸に、訳の分からないことを話す人間どもがやって来た。
言語が通じないのだ。我々とは違う言葉を喋っている。
だが、なんとか情報の交換に成功し、この世界以外にもう一つの世界があることを知った。
しかし、どうも二つの大陸の人々は仲良くすることができなかった。
文化の違いがあり、当たり前のことなのだが、昔にはそんな考えができる人はいなかった。
そして、戦乱の時代が始まったんだ。
だが、結果はどう見ても龍真天の方が上回っていた。
鬼巖獅は降伏し、これからは仲良くしていこうと平和条約を結ぼうとした。
のだが、...龍真天は構わず、龍の力で鬼巖獅を焼き払ったのだ。
その時だった。鬼巖獅側に、九つの鬼が現れたのは。
九つの鬼は龍真天の龍たちの攻撃から、鬼巖獅を守ったのだ。
そうして、龍真天は去っていったのだが、龍真天はその後も鬼巖獅を滅すべしと攻撃を仕掛けてくる。
だが、毎度九つの鬼が鬼巖獅を守ってくれた。
この時から、鬼巖獅大陸には“九鬼”という名字が増えたのだ。
そしてある時、九つの鬼が魔法というものを生み出した。
炎を使う鬼を、炎鬼
水を使う鬼を、水鬼
風を使う鬼を、風鬼
雷を使う鬼を、雷鬼
魔を使う鬼を、魔鬼
気を使う鬼を、気鬼
念を使う鬼を、念鬼
癒を使う鬼を、癒鬼
無を使う鬼を、無鬼
こうして魔法が生まれたのだ。
この九つの根元魔法と呼ばれるものから、どんどん派生して多くの属性が生まれた。
そうして龍に抗う術を身に付けた鬼たちは、次の龍の襲撃に備えた。
そして龍真天がまたやって来たとき。
鬼は習得した魔法を使って、龍を攻撃した。
それを見た龍真天側は、去っていった。
誰もが龍真天に勝ったと思った矢先。
龍真天は鬼巖獅大陸に、爆弾を落とした。
しかも、数百近い数の、とんでもない爆弾を。
こうして、鬼巖獅大陸は平野が広がる、荒れた地と化した。
◇◇◇
「まぁ、こんなことがあって、戦乱の時代は終わったんだが、鬼巖獅はそれから龍真天を目の敵にしている。しかも、魔法が栄えて、力を蓄えているんだ。この大陸には、九つの鬼の亡霊が彷徨いている。龍真天は悪いことばっか考えている。そこでだ。鬼巖獅にとってお前は、希望の光である。お前に頼みたいことがある。九つの鬼の復活と、轆轤神岩の解放と、兵を募って龍真天に復讐してほしい。」
とにかく話が長すぎて、聞いていないところもあったが、どうやら復讐をすればいいらしい。
「なんで何も関係のない俺が、復讐を手伝わなきゃなんねぇんだ?」
「頼む!わしの一族に代々伝えられた、“復讐の誓い”があるんだ!それなのに、わしは子孫を残せなかった...!だから、お前に代わりに仇を取ってほしいんだ!」
なんだかよく分からないが、このじじいの先祖に何かがあったのか...。
それでどんどん子孫にそれを伝えていって、チャンスがあれば復讐しろって、そういうことか?
なのにこのじじいはモテなかったから、女ができずに、子孫を残せなかったのか。
なるほど、こんなキモい顔してたらモテねぇよな。
「可哀想だし、手伝ってやるよ。どうせ、雑魚だろ?今すぐに向かったって、俺なら勝てるぜ?」
「そう上手くいかないんだ。向こうは、鬼巖獅より遥かに超越した技術や能力を持っている。武器も発展していれば、防具も発展している。更には魔法も。そして悪龍は、向こうに恐らく数百体存在する。それぞれがとんでもない戦闘能力を持ち合わせている。人口もこっちの十数倍はいると考えていいだろう。更には、向こうに突っ込んでいく場合、向こうの方が上手く戦いができるように、地形や城塞が完成している。数多くの魔法使いがいて、とにかくそれぞれの魔法がこっちの比にならないほど凄いんだ。さすがのお前でも、善戦はできるだろうが負ける可能性が高い。」
この老いぼれは何を言ってるんだ?
俺でも勝てないほどのものが、向こうにあるって言うのか?
ふざけやがって。
でも、もし本当にそうなら、楽しめそうじゃねぇか。
「わかった。そんで、九つの鬼の復活と、轆轤神岩の解放って何なんだ?」
「九つの鬼は今、亡霊として九つの山に奉られている。そこに行って、鬼の亡霊から復活の条件に必要なものを聞くんだ。それでお前が集めてきて、復活させるといった算段だ。鬼は必ず九つ復活させろ。でなければ真価は発揮されない。それと、轆轤神岩は、地図上で九つの山に点の印を付けたとき、その中心に存在する岩だ。その岩に、5つの宝石をはめることで、九つの鬼と、更に岩に宝石をはめた者、つまりお前の体に流れる轆轤が強化されて更に強くなることができる。その10人が集まれば、恐らく龍真天に勝てる。」
めんどくせぇ。このじじいのために、俺がそれをやるのか?
ダルくないか?相当ダルいな。
でも、まぁ、このじじいには世話になってるし、これからも世話してくれるんだろうから、それくらい受けるか。
「めんどくせぇけど、やってやるよ。」
「すまないな。わしはもう体が弱っていて、まともに体が動かせない。」
「うるせぇ、みじめったらしいことは言うな。」
クソじじいが、見てっとイライラすんだよ。
まぁ、いいや。とりあえず、頭使いすぎたから、飯食って寝よ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる