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6話
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「ビル!ほら走るぞ!」
リードを緩め朝陽が全力で走ると、ピンッと耳を立ち上げたビルが、後ろを追いかけてくる。
今日は、少し遠いが広い公園に来ていた。
芝生が広く敷き詰められており、そこは犬も入っていい事になっている。
走りながら朝陽が振り返ると、葵が後ろの方からのんびり歩いてくる姿が見え、クスッと笑う。
あっと言う間にビルに追いつかれ、朝陽は芝の上にごろんと寝ころび、呼吸を整える。
まだ走り足りのないのか、横でピョンピョン跳ねているビルを見て、元気だな~と声を掛けた。
そこにのんびりと歩いてきた葵が、朝陽の隣にゴロンと横になった。
「いい天気‥」
「だな‥」
青い空には白い綿アメの様な雲がプカプカと浮かび、そろそろ夏も本番になろうとしている。
ビルを飼い始めてから3年が経とうとしていた。
朝陽と葵は大学4年生になり、就職活動も終了し、今のアパートから通勤できる会社に内定を貰い、来年の4月から社会人となる。
いつしかビルも二人の傍でのんびりと横になり、目を瞑っていた。
隣を見ると、葵が空を見上げている。
綺麗だな‥この男が自分の恋人なんて、何年経っても嬉しさが込み上げてくる。
「ふふっ‥」
思わず声が漏れる。
「‥なに?」
こちらを向いた葵も笑っている。
「‥いや、俺の恋人は、綺麗だなって‥ふふっ‥」
その言葉が口から出た瞬間、その綺麗な顔が近づき、唇を重ねてきた。
チュッと音を立て離れていくと、朝陽が赤い顔をして睨む。
「‥ここ外だぞ」
「煽ってきたお前が悪い‥クスッ‥」
起き上がり笑った葵が、モゾモゾとポケットから何かを取り出してくる。
「‥はい、誕生日プレゼント」
今日、7月30日は朝陽の誕生日で、ケーキを買って帰ろうと話していたのだが、この場でプレゼントを貰えるなんて思ってもいなかった朝陽は、嬉しくて満面の笑みになる。
「‥ありがとう。開けていい?」
うんと頷いた葵が、ふわっと笑う。
綺麗にラッピングされている包装を剥がすと、中からリングケースが出てきて、それをパカッと開くと、細身のシルバーの指輪が二つ並んでいた。
「‥これって‥‥」
「ペアリング‥付けてくれる?」
覗き込んできた葵の顔が目の前に来ると、朝日の瞳に涙の膜が張る。
そして、葵が指輪をひとつ手に取る。
「‥‥Always with you いつも貴方の傍に‥」
そう言って朝陽の左の薬指に指輪を嵌めた。
そして、もう一つの指輪を取り、朝陽に渡してきた。
「‥嵌めてくれる?」
コクンと頷いた朝陽が、指輪を受け取ると、リングの内側にBeloved Asahiと刻まれていた。
「‥‥Beloved 最愛の人‥」
朝陽も葵の差し出された左手の薬指に指輪を嵌めた。
いつの間に用意していたのか、まったく気が付かず、朝陽は周りの目の気にせず、葵を抱き寄せた。
「ありがとう‥葵」
身体を離し、改めて自分に嵌められた指輪を見ると、葵の物と同じ様に、内側に刻印がされていた。
Always with you aoi‥嬉しくてギュッと握り締めた。
再びゴロンと芝の上に横になり、二人で空に手を伸ばす。
キラキラと光る指輪が、くすぐったくて朝陽はニヤニヤしてしまい、ずっと眺めていた。
「頑張って働いてお金を貯めて、ジャズを流せるカフェを作ろうな」
ずっと前から口にしている事。
二人にとって、それが今の一番の夢。
「うん!」
暫く今のアパートに住み、お金を貯めようと二人で約束している。
カフェなら、老若男女どんな人でも入れるし、若い人にも、もっとジャズの楽しさを知って欲しいと、そう思っていた。
握り合った手から、互いの体温が感じられ、二人は視線を合わせ微笑んだ。
ただ、それだけなのに、心が温かくなる。
その日、二人はこんな幸せな日が、いつまでも続くと信じていた。
リードを緩め朝陽が全力で走ると、ピンッと耳を立ち上げたビルが、後ろを追いかけてくる。
今日は、少し遠いが広い公園に来ていた。
芝生が広く敷き詰められており、そこは犬も入っていい事になっている。
走りながら朝陽が振り返ると、葵が後ろの方からのんびり歩いてくる姿が見え、クスッと笑う。
あっと言う間にビルに追いつかれ、朝陽は芝の上にごろんと寝ころび、呼吸を整える。
まだ走り足りのないのか、横でピョンピョン跳ねているビルを見て、元気だな~と声を掛けた。
そこにのんびりと歩いてきた葵が、朝陽の隣にゴロンと横になった。
「いい天気‥」
「だな‥」
青い空には白い綿アメの様な雲がプカプカと浮かび、そろそろ夏も本番になろうとしている。
ビルを飼い始めてから3年が経とうとしていた。
朝陽と葵は大学4年生になり、就職活動も終了し、今のアパートから通勤できる会社に内定を貰い、来年の4月から社会人となる。
いつしかビルも二人の傍でのんびりと横になり、目を瞑っていた。
隣を見ると、葵が空を見上げている。
綺麗だな‥この男が自分の恋人なんて、何年経っても嬉しさが込み上げてくる。
「ふふっ‥」
思わず声が漏れる。
「‥なに?」
こちらを向いた葵も笑っている。
「‥いや、俺の恋人は、綺麗だなって‥ふふっ‥」
その言葉が口から出た瞬間、その綺麗な顔が近づき、唇を重ねてきた。
チュッと音を立て離れていくと、朝陽が赤い顔をして睨む。
「‥ここ外だぞ」
「煽ってきたお前が悪い‥クスッ‥」
起き上がり笑った葵が、モゾモゾとポケットから何かを取り出してくる。
「‥はい、誕生日プレゼント」
今日、7月30日は朝陽の誕生日で、ケーキを買って帰ろうと話していたのだが、この場でプレゼントを貰えるなんて思ってもいなかった朝陽は、嬉しくて満面の笑みになる。
「‥ありがとう。開けていい?」
うんと頷いた葵が、ふわっと笑う。
綺麗にラッピングされている包装を剥がすと、中からリングケースが出てきて、それをパカッと開くと、細身のシルバーの指輪が二つ並んでいた。
「‥これって‥‥」
「ペアリング‥付けてくれる?」
覗き込んできた葵の顔が目の前に来ると、朝日の瞳に涙の膜が張る。
そして、葵が指輪をひとつ手に取る。
「‥‥Always with you いつも貴方の傍に‥」
そう言って朝陽の左の薬指に指輪を嵌めた。
そして、もう一つの指輪を取り、朝陽に渡してきた。
「‥嵌めてくれる?」
コクンと頷いた朝陽が、指輪を受け取ると、リングの内側にBeloved Asahiと刻まれていた。
「‥‥Beloved 最愛の人‥」
朝陽も葵の差し出された左手の薬指に指輪を嵌めた。
いつの間に用意していたのか、まったく気が付かず、朝陽は周りの目の気にせず、葵を抱き寄せた。
「ありがとう‥葵」
身体を離し、改めて自分に嵌められた指輪を見ると、葵の物と同じ様に、内側に刻印がされていた。
Always with you aoi‥嬉しくてギュッと握り締めた。
再びゴロンと芝の上に横になり、二人で空に手を伸ばす。
キラキラと光る指輪が、くすぐったくて朝陽はニヤニヤしてしまい、ずっと眺めていた。
「頑張って働いてお金を貯めて、ジャズを流せるカフェを作ろうな」
ずっと前から口にしている事。
二人にとって、それが今の一番の夢。
「うん!」
暫く今のアパートに住み、お金を貯めようと二人で約束している。
カフェなら、老若男女どんな人でも入れるし、若い人にも、もっとジャズの楽しさを知って欲しいと、そう思っていた。
握り合った手から、互いの体温が感じられ、二人は視線を合わせ微笑んだ。
ただ、それだけなのに、心が温かくなる。
その日、二人はこんな幸せな日が、いつまでも続くと信じていた。
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