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火を恋う青蛾は焔に焼かれ
7話
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頭の奥がズキズキと脈打っているのが分かる程の痛みで、響は意識を取り戻した。
ゆっくり目を開くと、そこは薄暗くあまり人が踏み入れていないような、古い埃のすえた匂いがした。
何度か瞬きを繰り返すと、ピントが合ってくる。
どうして自分がこんな所にいるのだろうかと、ズキズキする頭で考え、先程、誰かに襲われ意識を失った事を思い出した。
どうやら響は寝かされているようで、身体に力を入れ起き上がろうとして気が付く、両手足が縛られているのだ。
「おっ、気が付いたか?」
頭の上の方から声がして、反射的にそちらを向こうと体を捻るが、縛られている身体が言うことをきかない。
「‥だっ‥誰だ!」
幸い口が塞がれておらず、声の方に向かって言葉を放った。
「クックッ‥威勢だけは良いんだな~それが、いつまで持つか‥クックッ‥」
ねっとりとした声が部屋に響き渡り、薄暗く周りは見えないが、ここが広い場所だと分かる。
「‥俺をどうするつもりだ!」
何とかこの場から逃げ出さなくてはならないと、頭の中で考えるが、名案が浮かぶわけでもなく相手が誰かさえも分からず、成すすべもなかった。
「クックッ‥可愛いねぇ~ほんとに‥いいよ‥」
男はそう言うと、ポケットから携帯を取り出し、鼻歌を歌いながら電話を掛けた。
呼び出し音が鳴ると、すぐに相手が出たようだ。
「あ~もしもし?‥‥どうした?‥そんなに慌てて‥クックッ‥」
可笑しくて堪らないと笑いが漏れる男は、そのまま携帯をスピーカーにする。
『石塚!!お前がやったのは分かっている!‥すぐに響を返せ!」
今まで聞いたことのない程の怒りの獅道の声が、響の耳にも聞こえてきた。
「ん?お前、誰に物言ってんだ?人にお願いする言葉じゃねぇな」
男‥石塚の声も、先程とは打って変わり低く冷ややかだった。
『すぐに居場所は分かる。響に何かあれば、分かってんだろうな。お前が生きて帰る場所は無いと思え』
こんな怒りの声を聞き、響は胸が熱くなる気持ちと、先程の目にした光景を思い出し、二人の邪魔をしてた自分なんて、放っておけばいいのに‥と苦しく思う気持ち。
その二つの気持ちが入り混じり、どうすれば良いのか自分でも分からなくなりそうだった。
それでも、確実に言えるのは、獅道の声を聞き、心が喜びで震えているという事だ。
「俺の場所~?それはお前が消えれば、必然と出来るぜ‥クックッ‥なぁ、権守。お前の大切なモノ、壊していいか?」
その言葉を吐くや否や、石塚がズカズカと響に歩み寄り、響の腹を蹴り上げた。
「‥‥ぐふっ‥っ‥‥」
石塚の磨き上げられている靴が、響の腹にめり込む。
「ほら、啼いてみろ‥可愛い子ちゃん‥助けを求めろよ‥ほらっ‥」
何度蹴り上げられても、響は奥歯を噛み締め声を出さない。
「‥‥くっ‥‥っ‥」
『やっ‥止めろ!!石塚!やめるんだ!!』
電話口からも、響を蹴り上げる音が聞こえるのか、悲痛な獅道の声が聞こえる。
「あ~あ、強情だな。クックッ‥まぁ、これからがお楽しみだから‥じゃあ、権守、どうするか考えとけよ。1時間後にまた連絡入れるわ。その時には、お前のペットは俺達に突っ込まれてグズグズになってるんだろうがな‥‥クックッ‥」
『まっ‥待て!お前と話がしたい!場所を教えろ』
「クックッ‥残念だな。それも1時間後だ。お前は、俺の連絡があるまで、マンションから一歩も出るなよ。もし出たら、生きているこいつに会えると思うな。1時間‥‥お前は俺にした事を後悔しながら、こいつが犯されている事を想像でもしとけ‥ハッハッハッ‥‥」
電話を切った後も、石塚はしばらく笑っていた。
自分をコケにした獅道が、あんなにも簡単に下手に出る事が可笑しかったのだろう。
「じゃあ、可愛い子ちゃんは、そろそろ俺達を楽しませてくれなくっちゃな‥」
石塚はそう言うと、響の目の前にしゃがみこみ、睨みつけている響の顎をグイッと持ち上げた。
石塚の細い瞳が欲情を持ちギラッと光り、薄い唇からチラリと舌が覗く。
「ほんと、男にしておくのは勿体ない顔だな、お前は‥っ‥」
目の前にいる石塚の顔に、怒りにまかせ響は唾を吐きかけた。
次の瞬間、ゴンッと耳元で音がしたと思ったら、目の前に稲妻が走り、頭が地面に叩きつけられた。
石塚が思いっきり響を殴りつけたのだ。
横に吹っ飛んだ響の口の中に鉄の味がしてくると、鼻と口からツーと血が垂れる。
「オイッ‥お前、威勢が良いのも大概にしとけよ‥」
石塚は頬に飛んだ響の唾液を手で拭い、ニヤリと笑みを浮かべ響の身体に乗り上げると、白く細い響の首を片手でグッと抑え込んだ。
「‥うぐっ‥‥かぁっ‥‥っ‥‥ぁ‥‥」
縛られている手足をバタつかせても、抵抗できない‥声が出ない‥顔に血液がたまり段々と熱くなる。
酸素を取り込みたい口がパクパクと開き、だらしなく唾液を溢す。
――獅道さん・・。
頭の中で、そう叫び、響は意識を失った。
ゆっくり目を開くと、そこは薄暗くあまり人が踏み入れていないような、古い埃のすえた匂いがした。
何度か瞬きを繰り返すと、ピントが合ってくる。
どうして自分がこんな所にいるのだろうかと、ズキズキする頭で考え、先程、誰かに襲われ意識を失った事を思い出した。
どうやら響は寝かされているようで、身体に力を入れ起き上がろうとして気が付く、両手足が縛られているのだ。
「おっ、気が付いたか?」
頭の上の方から声がして、反射的にそちらを向こうと体を捻るが、縛られている身体が言うことをきかない。
「‥だっ‥誰だ!」
幸い口が塞がれておらず、声の方に向かって言葉を放った。
「クックッ‥威勢だけは良いんだな~それが、いつまで持つか‥クックッ‥」
ねっとりとした声が部屋に響き渡り、薄暗く周りは見えないが、ここが広い場所だと分かる。
「‥俺をどうするつもりだ!」
何とかこの場から逃げ出さなくてはならないと、頭の中で考えるが、名案が浮かぶわけでもなく相手が誰かさえも分からず、成すすべもなかった。
「クックッ‥可愛いねぇ~ほんとに‥いいよ‥」
男はそう言うと、ポケットから携帯を取り出し、鼻歌を歌いながら電話を掛けた。
呼び出し音が鳴ると、すぐに相手が出たようだ。
「あ~もしもし?‥‥どうした?‥そんなに慌てて‥クックッ‥」
可笑しくて堪らないと笑いが漏れる男は、そのまま携帯をスピーカーにする。
『石塚!!お前がやったのは分かっている!‥すぐに響を返せ!」
今まで聞いたことのない程の怒りの獅道の声が、響の耳にも聞こえてきた。
「ん?お前、誰に物言ってんだ?人にお願いする言葉じゃねぇな」
男‥石塚の声も、先程とは打って変わり低く冷ややかだった。
『すぐに居場所は分かる。響に何かあれば、分かってんだろうな。お前が生きて帰る場所は無いと思え』
こんな怒りの声を聞き、響は胸が熱くなる気持ちと、先程の目にした光景を思い出し、二人の邪魔をしてた自分なんて、放っておけばいいのに‥と苦しく思う気持ち。
その二つの気持ちが入り混じり、どうすれば良いのか自分でも分からなくなりそうだった。
それでも、確実に言えるのは、獅道の声を聞き、心が喜びで震えているという事だ。
「俺の場所~?それはお前が消えれば、必然と出来るぜ‥クックッ‥なぁ、権守。お前の大切なモノ、壊していいか?」
その言葉を吐くや否や、石塚がズカズカと響に歩み寄り、響の腹を蹴り上げた。
「‥‥ぐふっ‥っ‥‥」
石塚の磨き上げられている靴が、響の腹にめり込む。
「ほら、啼いてみろ‥可愛い子ちゃん‥助けを求めろよ‥ほらっ‥」
何度蹴り上げられても、響は奥歯を噛み締め声を出さない。
「‥‥くっ‥‥っ‥」
『やっ‥止めろ!!石塚!やめるんだ!!』
電話口からも、響を蹴り上げる音が聞こえるのか、悲痛な獅道の声が聞こえる。
「あ~あ、強情だな。クックッ‥まぁ、これからがお楽しみだから‥じゃあ、権守、どうするか考えとけよ。1時間後にまた連絡入れるわ。その時には、お前のペットは俺達に突っ込まれてグズグズになってるんだろうがな‥‥クックッ‥」
『まっ‥待て!お前と話がしたい!場所を教えろ』
「クックッ‥残念だな。それも1時間後だ。お前は、俺の連絡があるまで、マンションから一歩も出るなよ。もし出たら、生きているこいつに会えると思うな。1時間‥‥お前は俺にした事を後悔しながら、こいつが犯されている事を想像でもしとけ‥ハッハッハッ‥‥」
電話を切った後も、石塚はしばらく笑っていた。
自分をコケにした獅道が、あんなにも簡単に下手に出る事が可笑しかったのだろう。
「じゃあ、可愛い子ちゃんは、そろそろ俺達を楽しませてくれなくっちゃな‥」
石塚はそう言うと、響の目の前にしゃがみこみ、睨みつけている響の顎をグイッと持ち上げた。
石塚の細い瞳が欲情を持ちギラッと光り、薄い唇からチラリと舌が覗く。
「ほんと、男にしておくのは勿体ない顔だな、お前は‥っ‥」
目の前にいる石塚の顔に、怒りにまかせ響は唾を吐きかけた。
次の瞬間、ゴンッと耳元で音がしたと思ったら、目の前に稲妻が走り、頭が地面に叩きつけられた。
石塚が思いっきり響を殴りつけたのだ。
横に吹っ飛んだ響の口の中に鉄の味がしてくると、鼻と口からツーと血が垂れる。
「オイッ‥お前、威勢が良いのも大概にしとけよ‥」
石塚は頬に飛んだ響の唾液を手で拭い、ニヤリと笑みを浮かべ響の身体に乗り上げると、白く細い響の首を片手でグッと抑え込んだ。
「‥うぐっ‥‥かぁっ‥‥っ‥‥ぁ‥‥」
縛られている手足をバタつかせても、抵抗できない‥声が出ない‥顔に血液がたまり段々と熱くなる。
酸素を取り込みたい口がパクパクと開き、だらしなく唾液を溢す。
――獅道さん・・。
頭の中で、そう叫び、響は意識を失った。
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