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日課にしているウォーキング。いつもなら取り止めもなく音楽を聴きながら、頭を空にして歩くのに、今日のミライの頭の中は昨夜のことでモヤモヤとしていた。
突如現れた男。追われている、なんて自分の日常にはない世界の話だった。強面の男は、状況に反して飲めない酒を隣で飲み、甘い声で自分の名前を呼び、笑い、そして去っていった。
非日常の夜が印象深かっただけだと思おうとしても、頭から離れないのは、一人の男のことだ。
「リッキーさん、か」
名前を口にして、自分の心臓が強く脈打つのを感じた。それの意味を考えることもなく、まだひんやりとした朝の空気を頬に感じながら歩いた。
ミライが家に戻ると、子どもたちは登校したあと。妻と少しの時間二人きりの時間を過ごす。
「あ、ミライさん、おかえり。朝食できてるよ」
コーヒーの香りとともに節子が迎えてくれる。結婚して何年たっても、子供ができても彼女はミライを名前で呼んでいる。ミライもそうだ。
「せっちゃん、ありがとう。いい匂いだ」
いつもならここで今日の予定や子供の話をするところだが、つい黙り込んでしまう。節子は何も気づかないようだ。そういうところが、彼女のいいところだとミライは思う。余計に鋭くない、しかし気遣いがないわけではない。
突如現れた男。追われている、なんて自分の日常にはない世界の話だった。強面の男は、状況に反して飲めない酒を隣で飲み、甘い声で自分の名前を呼び、笑い、そして去っていった。
非日常の夜が印象深かっただけだと思おうとしても、頭から離れないのは、一人の男のことだ。
「リッキーさん、か」
名前を口にして、自分の心臓が強く脈打つのを感じた。それの意味を考えることもなく、まだひんやりとした朝の空気を頬に感じながら歩いた。
ミライが家に戻ると、子どもたちは登校したあと。妻と少しの時間二人きりの時間を過ごす。
「あ、ミライさん、おかえり。朝食できてるよ」
コーヒーの香りとともに節子が迎えてくれる。結婚して何年たっても、子供ができても彼女はミライを名前で呼んでいる。ミライもそうだ。
「せっちゃん、ありがとう。いい匂いだ」
いつもならここで今日の予定や子供の話をするところだが、つい黙り込んでしまう。節子は何も気づかないようだ。そういうところが、彼女のいいところだとミライは思う。余計に鋭くない、しかし気遣いがないわけではない。
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