転生幼女はお願いしたい~100万年に1人と言われた力で自由気ままな異世界ライフ~

土偶の友

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9章 ウィザリア

179話 魔法生物の授業!

 ポロックちゃんの様子がおかしいような……。

「それでは、授業を始める」

 しかし、わたしがポロックちゃんのことに悩む間もなく授業が始まる。

 彼女は教授の方を向くので、わたしも同じようにして話を聞く。

 でも、彼女はどういうことなんだろう?
 周囲の人の反応を見ても、明らかに避けられている様子。
 悪いことをした……様には見えない。

 これまで彼女と一緒にいたけれど、いたずら心はあっても悪いということまではなかったからだ。

 そんな彼女がどうして……と思うが、答えは出ない。

「さて、それではここを……君」
「はい。それは……」

 と、わたしが考えている間にも授業が進んでいく。

 これではいけない。
 このことは後で考えよう。
 今はちゃんと授業を受けなければ。

 わたしは集中し直して授業を受ける。
 今回の授業は魔法生物についてだった。
 といっても、あくまで基礎についてだったけれど。

 魔法生物とは、作られた物に魔法陣を描き、その物の中で魔力を循環させることによって動く存在であるらしい。
 厳密に言うとそういう感じらしいが、それをわかりやすくすると。
 まずは粘土等で形を造る。
 その中に、決められた行動をする魔法陣を描く。
 そして、魔力を注ぎ、それを循環させる。

 こうすることによって、決められた行動をする魔法生物という物が出来上がるらしい。
 ただ、魔法陣によって決められた行動をとるだけなので、生物というよりはAI……とかの方が近いかもしれない。

 それに、厳密に懐いたりするわけでもないので、あくまで道具……という扱いだと言う。

 軍事用のあのハトなどはかなり高度な魔法陣で作られているけれど、適当な出店で作ることができるのは最低限の機能しかない。
 という感じ。

 実際にこの国で使われているハトの魔法生物を見たりして、授業が終わった。


 教室から出て、わたしはポロックちゃんに話しかける。

「魔法生物ってあんなのだったんだね。知らなかった」
「サクヤちゃんは魔法生物についてどう思うの?」
「え? どうって……別に? まだよく知らないし、ああ、でも最初に会った軍用のハト? あの子は結構可愛かったと思う」

 なんでこんなところにいるのかと思ったが、撫でさせてくれたし。

「そっか」
「うん。そうだよ。それで……」
「あ、お兄ちゃん」

 と、彼女のことも聞こうとすると、視線は遠くにいるカストリオ君に注がれていた。

「ちょっと行ってみていい?」
「いいよ」

 行きたいという彼女の言葉を聞き、わたし達はカストリオ君を追いかける。

「お兄ちゃん!」
「ん? ポロックゥ!?」

 ポロックちゃんの突進を受け、カストリオ君は身体をくの字に曲げて倒れ込む。

「ポロック……今は……今はお兄ちゃんはやることがあるから……」
「えー何してるの? 私も手伝うよ?」
「いや、それは必要ない。お兄ちゃんだけで……」
「いいから! 私もやる!」
「ポロック……」

 と、大声で話して注目を集めている所に、わたし達も近づいていく。

「大丈夫? 2人とも」
「サクヤちゃん! ちょっとお兄ちゃんのこと手伝ってきていい!?」
「ポロック!? 俺様だけで大丈夫だ!」
「え、どうするの?」
「いいじゃん! 私だって力になれるよ!」
「ダメだ! お前はそこにいろ!」

 カストリオ君はそう言って、1人で走っていく。

 えぇ……行っちゃったよ……。

「お兄ちゃん! 待って!」
「ポロックちゃん!?」
「サクヤちゃんごめん! 私、行かないと!」

 ポロックちゃんは焦った様子で、カストリオ君を追いかけていく。
 一体全体どうしたのか、と思うけれど、何か困ったことがあるのかもしれない。

「追いかけようか」
『ああ』

 ウィンは念話でそう応えて、わたしを背に乗せてくれる。

 その速度は風を切るように早く、すぐにポロックちゃんに追いつく。

 彼女の視線の先には先を走るカストリオ君がいる。

 ウィンの速度であればすぐに追いつく。

 しかし、カストリオ君が誰を追っているのか分からない。
 場所はT字路の突き当りで、道の左右には誰もいないのだ。

「カストリオ君! 誰を追いかけるの!?」
「な、もう……いや……いいんだ。すまない。気にしないでくれ」
「え……どういうこと?」

 彼は私達に追いつかれるなりそう言って足を緩める。

「いや……なんでもない……俺様の……俺様の勘違いかもしれないんだ」
「どういうことなの……?」

 話が全く見えない上に、ちょっとメンタルがやられているみたい。

「話を聞かせて? 何かあるんでしょ?」

 わたしとポロックちゃんはウィンから降りて彼にそう聞く。

「……人のいない所に行ってくれるか?」
「うん……いいけど」

 ということで、わたし達はひとけの少ない場所に移動した。
 彼は周囲を確認し、口をひらく。

「実は……この学園に、学園の知識を狙うスパイがいるみたいなんだ」
「スパイ!?」

 わたしは目を丸くして驚いた。

「ああ、この学園は周辺諸国……いや、世界中を見てももっともと魔法が発達している国だ」
「うん」
「それは、長きにわたって紡いできた魔法研究の歴史もあるんだ。それらを狙う奴がいる」
「そんな……」

 でも、確かにこの国は周辺諸国から警戒されていると聞いた。
 そして、正面から攻められないのであれば、スパイなどを送り込んで情報を得ようとするのはおかしくない。

 彼は話を続ける。

「そして、最近になって、この国が観光に力を入れ始めたのは知っているな?」
「それで良くなったんだよね?」
「そうだ。そういう見方もできる。だが、それと同時に、この学園の知識を狙う連中も入るようになってしまった」
「それは……」
「今も、この学園の禁書庫に侵入している連中がいる」

 いきなり知らない単語が出てきた。

「禁書庫? って何?」
「その名の通りだ。ここは学園で、学生であれば誰でも入れる、大きな図書館があるな?」
「うん」
「そこには収納されていない、危険な魔法や、戦争を変えかねない魔法について記した本とか、むやみに人に見せてはいけない本が収納されている場所だ」
「そこに誰かが侵入しているっていうこと?」
「ああ、それも、俺様が所属する、由緒正しい生徒会に、スパイはいるみたいなんだ」

 そう言う彼はとても暗い表情をしていた。
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